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早朝、街の地下に作られている丸呑み団基地。
まだ団員達の往来も少ない基地内にある訓練室にサンダースとバンギラスはきていた。
二匹は他に誰もいないバトル訓練場に対峙し、お互いににらみ合っている。
・・・いや、正確にはサンダースのみにらんでいる。
対峙するバンギラスの方はというとかまえをとらずにうっすらと笑みを浮かべてサンダースを見つめていた。
「うりゃあああああ!」
威勢のいい掛け声とともに後ろ足を蹴り、サンダースは突進するように攻撃を仕掛ける。
一気に間合いをつめたところで足に力をこめ飛び掛るが、バンギラスはひょいっとそれをかわしてしまう。
空を切るサンダースの体は空振りのまま着地すると、そのまま勢いを殺さず再びバンギラスに飛びかかった。
バンギラスもまたその攻撃をかわすが、サンダースは何度も同じ攻撃を繰り返す。
弾丸のようなその攻撃方法はなかなか速度も威力もかね合わせていそうなのだが・・・。
「ぜぇ・・・ぜぇっ・・・。」
当然そんな激しく動く攻撃が何度も続けられるわけがなく、あっというまにバテてしまっていた。
対してほとんど動くことなくよけていたバンギラスだったが、動きの遅くなってきたサンダースに狙いをすませるとその胴体にむけて拳を突き出した。
「でいっ!」
「ギャウンッ!!?」
アッパーのように拳を叩き込まれたサンダースの体が、受身もとれずに天井までぶちあたる。
そしてそのまま落下してくるサンダースの位置にあわせて、バンギラスはぐぱぁっと大きく口を開けた。
「いただきま~~♪」
「いやぁぁぁぁ、キャウッ!」
頭から落ちてきたサンダースの体がずぽっとバンギラスの口の中におさまり、ジタバタ暴れる足がずりゅりゅっとその中に滑り落ちていく。
まるごと口内におさまっったのを見計らいバクンと口を閉じると、ゴクリと音を立てて小柄な体を飲みこんだ。
硬いヨロイもようなバンギラスの喉がぼこりと膨れ上がりながら内側をグププっと音を立てて滑り落ちていき、大きな腹と同化していく。
「げふっ、ごちそうさん♪」
小さなゲップをひとつしぽんっと自分の腹を軽く叩くバンギラス。
こぽぽっと音を立てるお腹を眺めながら、彼はしばらく腹の中の獲物の感触を楽しんでいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ぶー・・・・・・」
「ふあああ、・・・で?」
ところ変わってバンギラスの部屋。
そこには部屋の隅っこでむくれているサンダースと、寝床に転がりながら眠たそうにしているバンギラスの姿があった。
あまり聞いていなさそうなバンギラスにサンダースすねた様な声で口を開く。
「で、じゃないよぉ。 オイラ本当に強くなってるのって聞いてるの~!」
「ああ、しらねえよんなもん」
「ええ~!」
ショックを受けているサンダースを尻目に、バンギラスは座りなおして彼のほうをじぃっと見る。
肉付き、変わらない。
毛並み、変わらない。
耳の先から尻尾の先までであったころからまるで成長していないように見える。
しいて言うなら丸呑み団マークの入ったひじあてを付けたぐらいだろうか。
このサンダースをつれてきてはや一ヶ月。
『丸呑み団』とよばれる秘密組織の一員となった彼は、とりあえずバンギラスが面倒を見ることになっていた。
なんだかんだいっても自分を後一歩まで追い詰めてたポケモンである。
バンギラスの見立てでは、素人ながらも少しは戦闘経験があるものかと踏んでいたのだが・・・。
なんというか、もしかしたらその辺にいるコラッタでも苦戦するんじゃないだろうかというレベルだ。
というかこの前食卓に出てきたコラッタにやられていた、縛られてる相手にやられるってどんだけどんくさいんだよといいたくなってくる。
「お前が強くなってるかどうかなんて俺が知るわけねえだろ、自分で分かることだろうが。」
「だってぇ~、毎日毎日訓練してるけど、あんなふうに食べられてるだけじゃんか~。」
「んなもんお前が弱いからだろ。」
「あうう~・・・・・・」
サンダースのいうとおり、時間があれば昼夜問わず訓練場に連れて行きバトルの練習を手伝っている。
練習とはいっても手加減する気は一切なく、基本的に全力で向かってくるこいつを全力で叩きのめしているだけである。
そして隙あらば叩きのめした後に、おやつがわりに小腹を満たさせてもらうことがほとんどであった。
ちなみに現在の戦績はというと、以前負けた2戦を追加して135戦133勝2敗となっている。
うち9割はおやつになってもらっただろうかと味を思い出していると、口の中につばがわいてきた。
一応自分が勝利するまで鍛えてやろうとそばに置いているため、その条件だけならすでに達成してはいる。
だが流石にこんなスリルもない勝利なんかで食べてしまうのはもったいなさすぎるだろう。
もう少し時間をかければもっと強くなるはずだ・・・たぶん。
そう心の中でほくそ笑みながらも、顔には出さずにサンダースに話しかける。
「だいたいお前でんきタイプだろ、なんでたいあたりしかしてこねえんだよ。」
「あう、だってこうげきしながら充電するの難しいんだもん。」
「お前本当にでんきタイプか?」
「でんきです~!」
ぷぅっと頬を膨らませるサンダースに対し、バンギラスはやや呆れたような表情を浮かべる。
でんき技は専門外だからよくは分からないが、他のでんきタイプのポケモンなら使ってくる【でんきショック】や【でんじは】といったでんき技を使われた覚えがほとんどない。
少なくとも彼が今まで戦ったことのあるでんきタイプの誰よりも戦闘馴れしないというか・・・弱い。
「ほれちっと撃ってみろよ、【でんきショック】ぐらい覚えてんだろ?」
「うん、もちろん! バトルじゃなければ撃てるもん!」
「それもどうかと思うけどよ、ほれじゃあこのりんごにでもやってみろよ。」
「いいよ、おいしい焼きリンゴ作るから!」
そういって荷物袋からりんごをひとつだすと、サンダースの前にとんっと置く。
自信満々にふんぞり返りながらサンダースはでんきを貯め始めると、バチチッと音を立てて【電気ショック】を撃ちだした。
そして電流が見事りんごに・・・命中せず床をこがした。
バンギラスの冷たい視線が漂う中、気まずい顔でサンダースがこっちを見ている。
「あの・・・もう一回だけ・・・!」
「決めなかったら分かってんだろうな・・・。」
「はい、わかってます・・・!」
いやな汗が噴出すのをこらえながら、サンダースはしっかりと狙いをさだめる。
念には念をこめて電流も十分に貯めて貯めて・・・!
「ちぇぇいっ!」
かけ声とともに放った電流の束が正確にリンゴを貫き、黒こげを通り越して破裂する。
はじけとんだリンゴの欠片がサンダースの額にぼこっとあたり、のけぞった。
「あうう、いたた。 ちょっとでんき強すぎたなぁ~・・・。」
「・・・・・・。」
「あ、でもオイラちゃんとでんき撃てたでしょ。 威力だってばっちり・・・・・・。」
そこでバンギラスを見たサンダースは固まった。
破裂したリンゴの果汁が部屋中に飛び散り、ベッドや家具が果汁に汚染されていた。
おまけに破裂したリンゴの塊がバンギラスの顔面にでも飛んだのだろうか、口でキャッチされたこげたリンゴとその上に怒気のはらんだ目が見える。
ぐしゃりと響く音がこげリンゴが噛み潰された音なのだと気がついたときにはすでに距離をつめられ、硬いゲンコツがサンダースの頭に命中していた。
「はうおおっ・・・・・・!」
「撃ちゃいいってもんじゃねえんだよボケちん!」
頭を抱えて涙目になっているサンダースを見ながら、なんでこいつに負けたのだろうかと。
いっそここで食べてしまったほうが早いんじゃないかとさえおもってくる。
そんなことも知らずサンダースはふてくされたように地面に座り込んでいる。
「うう~、オイラも早く強くなりたいのにな~。」
「んなもん適当にやってれば強くなるっての。」
ぼりぼりと頭をかきながら答えるバンギラス。
バンギラス自身の場合も、とりあえず戦い続けていたらいつの間にか実力がついていたという感じなのでいまいち修行とかそういうのはした覚えがない。
いっそギルドの連中の前にでも放り出せばいい訓練になるだろうかと、かなり無茶なことさえ思案し始めている。
「じゃあバンギラスさんはどうやって強くなったのさ~?」
「さあな、ここの任務とかやってたからじゃねえの。」
「にんむ? あ、そういえばオイラまだ一回も任務ってやったことないよ!」
「そりゃそうだろ、お前まだ下級の団員だし。」
「かきゅう?」
そういえばこいつにこの組織のことを教えてなかったなと思い出す。
正直面倒くさいが、説明しないでいるとヘルガー辺りにまたぐちぐちと文句を言われかねないだろう。
「めんどいから簡単に説明するぞ、ここの団員には下から下級・中級・上級・特級の4段階で分かれてんだ。」
「4段階?」
「下級はお前みたいに入団したばっかりや戦闘が得意じゃないやつらで、アジトの中で仕事をする連中。」
「中級から上の奴らは、まあ外に出て『俺達用の』食料をとってきたり、連中だな。 上に行くほどえらい奴ってこった。」
「へ~、あれ、オイラは?」
「さっきも言っただろ、下級! したっぱ! ようは入ったばっかの新人だからたいした仕事は回ってこねえんだよ。」
「ふ~ん、あれ? オイラ手伝いとかはしたことあるけど、仕事を頼まれたことはほとんどないよ?」
「めんどくせえから全部断ってやってる。」
「なにそれひっどい! オイラだって団員になったんだから任務やりたいよ!」
がーんと見るからにショックを受けた様子のサンダースである。
そこまでしてやりたいか任務って・・・正直こいつにつきあって任務に行くのもめんどくさいからって断ってたのもあるのだが。
「お前が『オイラ強くなりたいから訓練してください!』って言って来たから、集中できるように断ってやってたんだろうが!」
「だって『任務』って言い方がかっこいいじゃん、オイラもなんかやってみたい!」
「だ~ううっせえうっせえ! 言っとくが下級団員の任務なんて雑用もいいとこだぞ、雑用!」
「やだやだ、オイラも一回ぐらい任務やってみたいよ~!」
半泣きになりながら足元にしがみついてくるサンダース、足をぶんぶんと振り引き剥がそうとするもしっかりとしがみついている。
こいつ変なところでいじっぱりだなとおもいつつ、少しスイングをつけて足を振りぬくとぽーんとサンダースが飛んでいきベッドの上に落下する。
「・・・ぐえっ!」
「たっく、どうすっかな~。」
さてどうするかとバンギラスは腕を組み考え込む。
下級団員の受けられる任務はほとんどが基地内の掃除やら荷物運びやらと小腹を満たす要素もなければバトルのできる要素もない。
こいつに受けさせるのはいいが、「一緒にやって」とかせがまれたら面倒くさいだけである。
どうしたもんかと考えていたバンギラスだったが、ふと果汁まみれにされた戸棚に目がとまった。
「お、そうだ。」
「あうう~、何?」
「ん、ちょうどいい任務があったのを思い出してな。 めんど・・・いやいや、お前のためにこの任務をくれてやるぜ!」
「え、ほんと! やった~!」
そういいながらバンギラスは寝床横の戸棚を開けると、中から小さな紙袋を取り出しサンダースに放り投げた。
あわてて受け取ったそれを軽く振ってみると、中からはチャリンという金属質な音が聞こえてきた。
サンダースは紙袋の中を少しのぞいてみると、中に文字がたくさん書かれた紙切れと赤いプレートのようなものが入っているのが見えた。
金属のわっかのようなものもついており、どうやら首からかけて使うものらしい。
「ほえ、何の任務なのこれ?」
「ん、ああ~なんだっけかな。 たしか『餌やり』だったか?」
「なにそれ?」
「その紙袋の中に任務書と一緒に首からさげるプレートが入ってるだろ、それつけて食料庫行って餌やってくるだけ。 お前一匹でもできる簡単なやつだよ。」
「え、それだけ?」
「後は食料庫のやつが色々言ってくるからそれ聞きながらやりゃあいいんだよ、わかったか。」
そういわれたサンダースから少ししらけたような視線を感じる。
任務って響きでもっとこう・・・『凶悪なポケモンと戦う!』とか想像していたらしい。
下級の団員にそんな大層な任務がまわってくるわけないだろう。
ヘルガーから渡された任務で『餌やり』と聞いただけだが、まあ任務書見ても下級団員の仕事っぽかったしこいつにやらせても大丈夫だろう。
「本当に雑用だね。」
「だから言っただろ。 でもまさか、やるって言っといてやめるとかいわねえよなぁ・・・!」
顔を上げるサンダースの目に、手をゴキッと鳴らしているバンギラスが見えた。
流石に一ヶ月も一緒にすごしていればこれが本気で怒っているわけでないことは分かるが、ここでウジウジ言おうものなら今度はゲンコツではすまないだろう。
「ヒャウッ!? はい、やります!」
「おう、行ってこい行ってこい。」
にげあしで逃げていくポケモンのように、脱兎のごとく部屋から飛び出していった。
急いで持っていこうとしたせいか紙袋が破れプレートと紙が床に落ちたが、慌てて戻ってきて拾うと再び飛び出していった。
騒がしいのがいなくなり、バンギラスはせいせいしたといわんばかりに大きく伸びをする。
「ふああ、さてと俺もひとねむりするか~。 ・・・後で部屋も掃除させねえとな、あのやろう。」
そういってから彼はごろんと寝床に横になると、しばらくしていびきをかきはじめた。
いびきの響く部屋の中、サンダースが落していったのか一枚の手配書のような紙が落ちている。
そこにはこちらを憤怒の目でにらみつけるような、両腕を縛られた紫色のポケモンが写っていた・・・。
3DSから買わないといけないから、まだしばらくはいいかな?
モンハンデザインの3DSが気になるので、それにあわせて買おうかなと画策中です!
続きで新ポケ御三家 水タイプ最終進化のあの子でvore!
一応ネタバレ注意のため隠させていただきますです~。
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