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【終焉】
 
ぷっくりと膨らんだお腹をさすり、
べろんと舌で口元を舐める。
ニドキングは満足そうな笑みを浮かべ、
暗い部屋の中で一匹でたたずんでいた。

満腹感に浸り眠くなってくる頭で、
彼はぼんやりと食べた獲物達を思い出す。
最初の奴は小さかったけどとても柔らくておいしい味がした、
これでもっと食べ応えがあったら最高の餌だった。
この前食べた大きい奴らもおいしかったけど、
今日食べた奴が味だけなら一番だ。

そしてさっき食べた奴はちょっと固かったけど、
口に広がる味が彼の好みの味でおもわず何度も噛みしめてしまった。
口いっぱいに広がったあの味も、
喉を落ちていく感触も、
なによりあいつが浮かべた恐怖の表情もどれをとっても最高の獲物だった。
できればもっと味わって食べればよかった、
思い返すだけでも口中に涎が溢れてくる。

今だってありありと思いだせる、
あの恐怖に染まったあいつの顔、
あいつの…かお…。

ニド「……う…え…。」

急に動きを止め、
ニドキングは額に手を当てて何かを思い出そうとする。
さっき食べたあいつの顔、
あの顔はどこかで見たことがある、
ずっと一緒にいたような…、
あいつは……、
あいつは………。

ニド「う…あ…ぐ…ああああああああああぁ!!」

突然頭を抱えニドキングは苦しみだす、
尻尾をばしばしと床にたたきつけ、
悲鳴のような声をあげた。

ニド「オレハ……おれは……俺は……!」

しばらくの間その状態が続くと、
彼は突然はいつくばるように地面に手を付き、
がくがくと体を震わせて何かに耐えるように歯を食いしばる。
頭が割れるようにずきずきと痛み、
床についた爪が地面をガリガリとひっ掻いていく、

やがて彼の体にまとっていた黒いオーラは、
すぅーっと彼の体の中に消えていった。

ニド「がはぁっ…はぁっ…はぁっ…。」

ニドキングの瞳に理性の色が戻ってきた。
彼は苦しそうにぜえぜえと息を吐きながら、
震える手でお腹を押さえる。

ニド「俺は…カメールを…。」

今まで意識はほとんどなかったが、
彼は彼の大切な相棒を食べてしまったことだけははっきりと分かっていた。
その感覚だけがずんと重くのしかかり、
ニドキングは必死にカメールの痕跡を見つけようとしていた。

トクントクンと心臓の音が手に伝わってくる中、
彼は集中してお腹を押さえて様子を探る、
するとお腹の真ん中あたりで何かがぴくっと動くのを感じた。

ニド「…まさか、まだ生きてる…!」

彼は焦っていた、
自分がどれだけ正気を失っていたかは分からなかったが、
このまま二匹をお腹に入れたままではいずれ胃液でドロドロに消化されてしまう。
とにかく、
一刻も早く吐き出さなければいけなかった。

ニド「うぐぅ、くそ…どうやれば…!」

ニドキングは食べた物を吐きだす経験なんてしたことない、
助けたくてもどうやったら吐き出してやれるかが分からなかった。
彼は無我夢中にお腹を強く抑えたり、
自分の腕を喉の奥に押し込んだりと色々試していく。

ニド「うげぇっ…げほげっほ…!」

苦しくてむせかえり涙がにじんだりはするが、
一向にお腹の中にいる二匹を吐きだしてやることができない。
焦る気持ちがさらに高まっていき、

そしてそのうち…

ニド「う…うぶぅ…。」

急に何か大きなものが喉をせりあがってくる感覚を感じる、
ニドキングが口を押さえてうずくまると、
彼の喉を何か大きな塊がせりあがるように口に移動していく。

ぐにゅ……ぐぐ……ぐぐぐ……!

みるみるうちに塊が彼の口まで達し、
こらえきれずニドキングはその塊を盛大に吐き出した。

ニド「うごぉ…ごぼっ…げほぉっげほっ!!」

べしゃあっ……ゴトン……ごろごろ……

ニドキングの口から、
大量の体液とともにカメールが吐きだされた。
ねっとりと絡みついた体液と一緒にカメールの体は地面に落ち、
ツーンとする鼻を押さえてニドキングはその様子を見る。

ニド「や…やったのか…?」

うぷっとニドキングは口元を押さえる、
もう一匹のコリンクも吐き出してやりたいが、
吐き気は込み上げてくるも、
コリンクの体がせりあがってくる様子はなかった。

カメ「…うう。」
ニド「あ…。」

カメールが微かにうめき声を漏らし、
ゆっくりとまぶたが開かれる。
ぼんやりとした目で辺りを見渡すと、
辛そうな表情をするニドキングと目が合った。

カメ「…ひぃっ!」

動揺したカメールはあわててその場から離れる、
体中ボロボロでうまく立ち上がることもできなかったが、
それでも悲痛な顔でニドキングから距離をとった。

ニド「っ…。」

ニドキングは泣きそうな表情でカメールを見つめる、
カメールの反応を否定することなんてできるはずもない、
自分を食べた相手が再び目の前に現れて逃げないものなんているはずがないのだから。

ニド「あ…あの…。」

彼はどうしても謝りたかったなぜ彼が突然意識を失ったのか、
なんでいきなりポケモン達を大量に喰らったのかは分からない。
しかし、
いくら意識がなかったとしても、
彼はけして許されないことをしてしまった、
それだけはどうしても謝りたい…。

ニド「カメール、俺は…。」
カメ「…近寄るな。」
ニド「……ぇ。」

ニドキングはゆっくりと顔をあげカメールの顔を見る、
彼の相棒も彼の顔を見ている、
しかしその顔は見慣れた笑った顔でも、
恐怖にひきっつった顔でもない。

それは【敵】を見る目、
襲われた獲物が抵抗するときに相手に見せる威嚇の目、
彼の相棒は悲しみにも怒りにも似た感情を秘めた目で彼を見ていた。

ニド「カ…メ…。」
カメ「近寄らないで…この、化け物!!」
ニド「…!」

目に涙を浮かべ、
かつての相棒はニドキングに向けて悲痛な叫び声をあげる。
ニドキングも悲痛な表情のままうつむき、
がくがくと顎が震えた。

大切な相棒同士だった二匹、
言葉で言わなくても心でつながっていた二匹の絆は、
彼自身が引き起こしてしまったことによって引き裂かれてしまった。
まるで地面が音をたてて崩れてしまったみたいに、
彼とカメールの間にあった大切な何かが壊れてしまっていた。

カメ「っ…!」
ニド「あ…。」

ばっと身をひるがえして、
カメールは振り返ることなく部屋から飛び出した。
走りながら駆けていくカメールの目からは、
ぼろぼろと涙があふれ出ていき、
暗い通路をカメールは泣きながらニドキングの部屋から去っていった。


そして部屋にはニドキングがたった一匹で取り残されていた、
絶望の表情を浮かべたまま、
今起こっていることが信じられなかった。

ニド「なんで…なんでなんだよ…!」
ゲン「ケケッ、何でだかねぇ!」
ニド「!」

突然通路の方から声が聞こえてきて、
ニドキングは驚いたように顔をあげる。
そこにはゲンガーがニヤニヤと笑みを浮かべてたたずんでいた。

ニド「ゲ…ンガー、なんで…ここに…。」
ゲン「ケッ、あんだけ大声で騒いでおいて誰も気づかないと思ったのかよ。」

ゲンガーは恐れる様子もなく部屋に入ってきて、
カメールの落としたリンゴをひとつ拾うと口の中に放り込んだ。
しゃりしゃりとリンゴを咀嚼しながら、
ゲンガーはニドキングを見下ろし口を開く。

ゲン「なんでえ、せっかく暗示が効いてるかと思ったらもう解けちまったのか。」
ニド「…暗示。」
ゲン「もう気が付いてるんだろ、自分がなんで急に暴れだしたか。」

そう、
彼はコリンクと会話した後に急に意識を失った、
そしてあの時からずっと収まらない頭痛。
これと同じものに彼はここ最近ずっと悩まされてきたのだ、
ゲンガーの【さいみんじゅつ】に…。

ニド「やっぱり…お前が…!」
ゲン「喜んでいいぜ、何せお前が実験の成功第一号らしいからな!」
ニド「…くっ!」

許せなかった、
ニドキングはこのゲンガーのせいで滅茶苦茶にされたのだ、
ゲンガーのせいで彼は急におかしくなり、
そのせいで大切な相棒すら失ってしまった。
そしておそらくゲンガーだけじゃない、
基地に入るときに団員たち全員がゲンガーの【さいみんじゅつ】を受けていたのなら、
『丸呑み団』自体が彼や他の団員を実験体にしていたのである。

ニド「貴様ぁぁぁ!!」

ニドキングは弾かれたように立ち上がり、
ゲンガーに向けて鋭い爪を振り降ろそうとした、
しかし、
彼の視界が急にクラクラとかすみ、
ふらつくように床に倒れ込んだ。

ニド「な……何を…した…!」
ゲン「ケケ、またちょっと眠ってもらうだけさ、そっちのお前にはな…。」

いやらしい笑いを浮かべ、
ゲンガーは赤く輝く目でニドキングを見つめている。
ゲンガーのかける【さいみんじゅつ】のせいで、
ニドキングの体から力が抜けうつろな目でゲンガーを睨む。

ゲン「さてと、お前が眠ったら研究班の奴ら呼んでこないとな。『実験の成功体が出た!』とか言えば飛んでくるぜあいつら。」

ヘッと鼻を鳴らしてゲンガーがニドキングをからかうように語りかける、
その目には同情の光など微塵もやどっていなく、
この状況すら楽しんでいるかのように思えた。

ゲン「じゃあなニドキング、餌だけはちゃんと運んでやるから安心しな♪」

ケケケッと大きな声で笑いながらゲンガーが部屋から出ていく、
深い沼の底に沈んでいくようにニドキングの意識は消えかかっていた、
今度我を忘れてしまったらもう元に戻れる保証はないだろう。

ふと、
視界の端に妙に色鮮やかなものが目に入った。
それはカメールの持ってきた赤いリンゴと、
同じくらい鮮やかな色をした彼のスカーフだった。

ニド「ゴメン…ゴメンな……カメール…。」

薄れていく意識の中、
ニドキングは最後まで彼の相棒の名前を口にしていた、
届けられなかった懺悔の思いを彼の品に向けて静かに何度も呟いていた。

そして彼の意識は、
ニドと覚めることのない暗闇の中に引きずり込まれ消えていった……。

END
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【胃袋】
 
押し込められるようにカメールの体はニドキングの口に飲み込まれていき、
ニドキングの口からあふれるように唾液が滴り落ちる。
ぬるぬるとした唾液が体中になすりつけられ、
それが滑りを良くしているせいか彼の体がスムーズに口の奥に送られていく。

カメ「うぁ…うっぷ、むあ…。」

もがくようにカメールの足が僅かによじられるが、
その程度の抵抗ではニドキングに何の影響も与えていないようだ。

ニドキングが彼を味わうために鋭い牙で噛みしめてくる、
彼の固い甲羅のおかげで大怪我こそしないもの、
時々甲羅から出た手足に牙が食い込みズキッと痛みが走る。

カメ「がぁ…!」

あまりの痛みに涙が滲み、
ますます手足に力が入らなくなる。
ほとんど抵抗できないままに舌でもてあそばれ、
口の中にまでニドキングの唾液が流れ込む。
口に入った唾液はとても生臭い臭気を放ち、
でろぉっとした気持ちの悪い感触が口中に広がる。

カメ「うぇ…、くそぉ…!」

舌の上に寝そべった状態でカメールはぜぇぜぇと呼吸をする、
口の中の空気はニドキングの息の匂いが混じり、
新鮮な空気には程遠かったが、
息つく暇なくなすがままにされる彼にはわずかな空気でも貴重であった。

ずるぅ…ずる…じゅるるる…!

ニドキングが口に溜まった唾液を飲み込もうと、
息を吸い込み粘着な液体が吸い込まれるように喉の奥へ流れこんでいく、
これがカメールにとっての致命的な行動となった。

カメ「え…う…うああああ!!」

唾液の流れとともに、
彼の体も滑るように喉に向かって引き寄せられていく。
彼の体は驚くほど滑らかに舌の上を滑り、
突き出していた両手が唾液とともに喉の奥に飲み込まれていく。

カメ「うわあ、嫌だ…嫌だあああああ!!」

カメールの絶叫もむなしく、
彼の体は唾液の膜につつまれるように喉の奥に入り込み、
待ってましたと言わんばかりに小柄な体が呑み下されていく。

ズブ…ズブズブ…グ…グググ…ゴクンッ!

カメールの体がニドキングの首を内側から膨らまし、
ゆっくりと胃袋に向かって落ちていく、
ニドキングはべろりと自分の方を舐め上げると、
とても気分よさそうにげふぅとゲップをした。


自分の体から落ちていく感覚が消えカメールが目を開けると、
そこは薄暗く柔らかな何かに包まれた狭苦しい空間だった。
ねばついくその空間はじっとりと蒸し暑く、
まるでほのおポケモンの熱気にあてられたかのような息苦しさだった。

カメ「オイラ…どうなって…!」

ふとカメールは自分の体に何か触れているのに気がついた、
首をよじって見てみると、
一匹のコリンクが丸くなってぐったりと横たわっていた。
微かに呼吸はしているようだが、
その体はぴくりとも動く様子がなく、
固く閉じられたその目はもう二度と開くことがないくらいにきつく閉じられていた。

カメ「こいつは…。」

カメールにはその幼いポケモンは見覚えがあった、
彼とニドキングが最近捕まえたおたずねものの一匹であったはずである。
ニドキングの頼みでこっそりと逃がす計画を立て、
彼の部屋に閉じ込めていたはずである。
そのポケモンがここにいるということは…。

カメ「はは…オイラの考え…ばっちり当たっていたってことか…。」

信じていた、
ニドキングはけしてむやみにポケモンを食い漁るようなやつではなかったはずである、
だからこそ彼の部屋におたずねものを閉じ込めるのにも賛成したし、
彼らを逃がすというのにも従ったのである。
でも彼らは逃げることはできなかった、
他の捕まえてきたおたずねもの達と同じように、
ニドキングに食べられ栄養として溶かされてしまったのだろう。

そしてそれは、
カメール自身がまもなく迎える運命としてもすでに決まっていた。

カメ「…どうしてなんだよ。」

裏切られたみたいだった、
信じていた相棒は突然豹変し、
幼いおたずねものとその兄弟達を容赦なく喰らっていた。
そして、
長年一緒に組んできた相棒すらも飲み込み、
その捕食行為を楽しむように彼の体をいたぶった挙句に飲み込んでしまい、
そして最後にはどろどろに溶かしてしまうだろう。

カメ「どうして…。」

トクントクンと遠くで音の響く空間の中で、
カメールは何度もその言葉をうわごとのように呟いた、
まるで壊れた人形のような虚ろな目からは、
泣きたいはずなのに涙が溢れてこなかった。

そのうちこぽこぽと何かがわき出る音が狭い空間に鳴り響き、
絶望の中に沈んだカメールは、
静かに終焉の時を待っていた。
【呑む】


カメールが呆然と立ち尽くしていると、
突如ニドキングが猛烈な勢いで彼の方へと飛びかかってくる。

カメ「…へ…うわぁあ!?」

慌ててカメールはその場から飛び退ると、
彼のいた場所をニドキングの鋭い爪がなぎ払う、
一撃のもとに部屋の壁が粉々に砕かれ、
凄まじい破砕音が部屋中に響き渡った。

カメ「な…な…。」

へたり込むカメールは煙を上げる壁を見つめながら、
カチカチとなる歯を必死に抑え逃げようとする。
しかし湧き上がってくる恐怖のせいで体がうまく言うことをきかず、
自分の足が石にでもなってしまったみたいだった。

がらりと音をたてて、
ニドキングが刺さっていた腕を壁から引き抜く、
あれほどの勢いで壁を攻撃したにもかかわらず、
痛みを感じている様子などはまったく無く、
ぎろりと睨む赤い眼はおびえるカメールに再び視線を固定した。

カメ「ニ…ニドキング…。」

信じられなかった、
先ほどの光景もいきなり攻撃されたことも、
混乱することが多すぎてカメールは完全に思考が麻痺していた。

ただ一つだけ言えることは、
彼を攻撃した者の目は彼の知っている目とは全く違う、
彼の相棒であるニドキングは決してこんな凶暴な目などしない、
これではまるで…。

カメ「…オイラだよカメールだよ! オイラのこと分かんないの!?」

思わず浮かんだ言葉を心の中で必死に否定し、
カメールはニドキングに大声でよびかける。
だが冷たい視線を浮かべるニドキングの表情は、
僅かにさえ変わってはくれなかった。

再びニドキングがカメールに向かって飛びかかり、
胃袋にに一匹のポケモンを詰め込んでいるにもかかわらず、
その動きに乱れは見られず、
みるみる彼とニドキングの距離が詰められていく。

カメ「…く!」

覚悟をきめてカメールは一歩後ろに後ずさると、
大きく息を吸い込むと、
泡状の水の奔流をニドキングめがけ口から大量に吐き出す。
【バブルこうせん】と呼ばれるその技は、
カメールの持つ水の力を持った技の中では最高の威力を誇り、
じめんタイプを持つニドキングには効果抜群の必殺技である、
…はずだった。

…バチィッ!!

カメ「な…!?」

ニドキングは大きな腕で【バブルこうせん】をなぎ払った、
何の小細工もなく邪魔だと言わんばかりに弾かれた技は、
完全に目標から逸れて壁にぶつかり消えてしまった。

カメ「そんな…オイラの技が…。」

カメールの目の前が真っ暗になる、
彼に残された技で【バブルこうせん】を超える技はもう残っていない、
そのうえ渾身の力で放ったその技がはじかれた以上、
彼にできることは何も残ってはいなかった。

ニド「ガァァァァァッ!!」
カメ「…!」

ニドキングの吼える声が部屋中に轟き、
相手は完全にカメールの位置をとらえ、
勢いに乗せたニドキングの腕が深々とカメールのお腹に繰り出される。

ズガァッ……ガシャア…ン!!

カメ「ギャウッ…!」

勢いもそのままで小柄なカメールの体が壁にたたきつけられた、
ずるずるとカメールの体が床へとずり落ち、
彼のスカーフがするりと首からほどけ彼のそばに落ちた。

カメ「うぇ…げほっげっほ…。」

喉が焼けるようにむせかえり、
体中にずきずきとした痛みが走る。
固い甲羅のおかげでいくらか衝撃が緩和されたようだったが、
すでにとうてい動けるようなダメージではなかった。

カメ「げほ…かふっ…うっ…うう…。」

知らないうちにぽろぽろと涙がこぼれてくる、
体中ひどい怪我をしていて少し動くだけでとても痛かった。

もともとカメールは激しい戦闘はあまり得意ではない、
そういったのはすべてニドキングが引き受けてくれていたのである。
もともと開いていた戦力差が、
今はもう埋めることができないほど広がっている、
万に一つも彼に勝ち目など残ってはいなかった。

突然カメールの頭にぼたぼたと水のようなものが垂れてくる、
うつろな目をして見上げると真っ赤な口ぐぱぁと広げたニドキングの顔が、
頭上からゆっくりと彼に迫ってくる。

カメ「う…あ…。」

暗い喉の穴を見つめながら、
カメールは逃げなくてはと足に力をこめるが、
しかしもう彼にはほとんど力は残っていない、
意識が保たれているのが不思議なくらいのダメージなのである。

なめまかしい蠢く肉厚の舌が、
たっぷりの唾液を付けたままカメールの頬を這うように舐め上げる。
でろりとしたニドキングの唾液が体を垂れ、
カメールの体に感じたことのない怖気が走る。

僅かにでも首を曲げて舌から逃げようとするが、
ニドキングの舌は執拗にカメールに舌を這わせ続け、
彼の体はべっとりと唾液に浸食されていく。

カメ「はぅ…うぁ…あぁぁ…。」

まるで魂の抜けた人形のように、
カメールの体はぴくりとも動かず、
開いた口から掠れたようにうめく声が洩れる。

ぽろぽろと流れつづける涙を、
ニドキングがべろりと舐め上げると、
カメールの上半身を包み込むようべく大きく口を開け…。

アグッ…

カメ「い…ゃ……いやぁ…だ…。」

カメールの必死の懇願も誰にも届かず、
彼の頭にニドキングの口が静かに覆いかぶさり、
彼の体は圧迫されるようにがっしりとくわえこまれる。
ゆっくりと持ち上げられていく彼の体は、
はみ出た足と尻尾が宙にゆらゆらと揺られ、
まるで無重力にでも包まれたかのように感じられた。

ググ…グ…グググ…

そして彼を終わりへと導くように、
ゴクリゴクリと不気味に喉を鳴らしながら、
彼の小さな体は少しづつ少しづつ嚥下されていった。
【狂】
 
誰も通らない薄暗い通路を、
カメールは一匹でとことこと歩いていた。
彼の手には二つの赤いリンゴが大事そうに抱えられ、
普段笑顔な彼の表情は若干陰がさしたように暗い。

ニドキングと別れた後彼は一人で食堂へ向かった、
他の団員たちが楽しそうに食事する中、
一匹で気まずい気持ちの中ニドキングが来るのを待っていた彼だったが、
とうとう様子を見に行こうと食堂を抜け出してきたのである。

カメールは歩きながらその手に握られたリンゴを見つめる、
ニドキングと食べようと思って持ってきたのである。

カメ「そうだよ、きっと鍵が見つからないとかそんな理由で遅いんだよ。
   あいつ、以外におっちょこちょいなとこがあるもんな。」

声だけはいつもの彼の調子だが、
彼の顔はまるでおびえたように目を見開き、
自分を信じきかせようとするように思いつく限りの理由をぶつぶつと呟きながら歩いている。

彼はニドキングがおたずねもの達を食べてしまったのではということを、
うすうすだが感づいてはいた。
態度こそ普段のニドキングのままだったが、
最近の彼は以前までと違った雰囲気に包まれていた。

それは肉食ポケモン達、
捕食を繰り返すポケモン達と同じ匂い。

うまく説明はできないが、
彼らから感じられる捕食者の気配を、
ここ最近のニドキングからうっすらと感じられていた。
これがそこらへんのポケモンなどだったらカメールだって気付かなかっただろう、
相棒であるニドキングだったからこそ気がついた、
長年パートナーとして連れ添ってきたカメールにしか気付けなかった。

カメ「うう…。」

カメールはニドキングがポケモンを食べてたとしても別に文句を言うつもりはない、
ニドキングだって肉食のポケモンだ、
彼だって我慢ができずに食べてしまうことだってあっていいと思うし、
それならそれで仕方ないなぁとカメールも笑ってすますだろう。

彼が怖いのはニドキングが変わってしまうこと、
ただ性格とかが変わるのではない、
それは彼の存在自体が別の物に代わってしまうこと。
まるでニドキングの皮をかぶった何かが、
そっくりそのままニドキングと入れ替わってしまうように…。

カメ「…そんなわけないよね。」

心配のしすぎでおかしな考えばかり浮かんでくる、
そんなことあるわけないと頭では分かっている。
ニドキングが変わるわけない、
彼の相棒がそんな簡単に変わってしまうわけない、
今はそう信じ込むことだけしかカメールにはできなかった。

カメールは軽く溜息をつくと顔をあげる。

カメ「着いた…。」

ニドキングの部屋、
何度も遊びに来たこのこの部屋にまだ彼の相棒はいるのだろうか?
いるのだとしたら、
一体中で何をやっているのだろうか?

カメ「…。」

もしもくだらない理由で人にこんだけ心配させていたのなら、
おもいっきりあの頑丈な体に頭突きでもしてやろう、
思いっきり愚痴りながら一緒にこのリンゴを食べてやるんだ。

カメールはゴクッとつばを飲み込むと、
ニドキングの部屋のドアを静かに開けた。
部屋の中は薄暗く、
静かな静寂が広がっていた。

カメ「ニドキング…いないの…?」

部屋の入口に立ちながら、
カメールは自分の相棒の姿を目線だけで探す。
暗い部屋の中は息が詰まりそうなほど空気が重く感じられ、
寒気を感じブルッと彼の体が震える。
ふと、
暗い部屋の中にニドキングが膝をついて何かをしているのが見えた。

カメ「…なにしてんの?」

カメールが疑問の声を
投げかけるがニドキングはこちらを振り向いてはくれず、
集中するように何かごそごそとやっていた。
ニドキングの体からうっすらと黒いもやのようなものが出ているように見える、
気のせいかとゴシゴシ目をこすってみるが、
やっぱりぼんやりと何かが立ち上っていた。

カメ「ねえ、ニドキ…」

先ほどよりも大きな声で呼びかけようとしたが、
ふいに何か妙な音が鳴っているのに気が付く。

ぴちゃ…ぴちゃ…ぺちゃ…

まるで水の音のようなそれは、
粘着質な音を立てながら静かに部屋中に響いている。

カメ「何の音…?」

カメールは不気味に思いながらも、
その音の出所を探る。
その音の出所は、
先ほどから反応しないニドキングからしているようだった。
ドクンドクンとカメールの心臓が高鳴りはじめ、
恐怖に押しつぶされそうになる彼の呼吸がはぁはぁと段々速度を増していく。

カメ「ニドキング…?」

はがカチカチと鳴りそうになるのを必死にこらえ、
カメールがさっきよりも大きな声で呼ぶ。
ぴくっとニドキングの体が反応する、
そしてゆっくりと彼はこちらを振り向いた。


振り向いたニドキングの口には、
青と黒の毛並みをした生き物がくわえこまれ、
だらだらと垂れる唾液が床に落ちるたび、
あの粘着質な音を部屋中に響かせていた。


カメ「…あ。」

あまりの衝撃的な光景に、
カメールは息をするのも忘れて立ち尽くした。
手足の感覚が消えたように何も感じず、
目の前で起こっている事態に頭がついていかなかった。

ニドキングはカメールの姿を見ても何も感じていないように、
ただ口の中の獲物をゆっくりと咀嚼し続ける、
体中が唾液に濡れたその獲物はぴくりとも動かず、
彼が口を動かすたびに垂れた手足がゆらゆらと揺れている。

そして獲物の味を存分に堪能した彼は、
その体をくわえたままゆっくりと首を上に向け、
ずるりとその体を口の中に落とし込むと、

ゴクリッ…

とその小さな体を飲み込んだ、
口の外に垂れたままの尻尾が、
重力に従って落ちていく体に引きずられるように口の中に入っていき、
やがて胃袋に落とされると同時に哀れな獲物はこの世界から姿を消した。

カメ「う…あ…あ…。」

べろりと美味しそうに口の端を舐めるニドキングの姿を見て、
カメールはガチガチと体を震わせながら、
飲み込んだ獲物の体積に膨れていくお腹から目が離せなかった。

ぼたぼたと涎を垂らしながら、
ニドキングは膨れたお腹を優しくなでる。
しかし、
彼の大きな体ではこんな小さなポケモンだけでは足りなかった、
もっと食いたい、
もっと食べたい。
ニドキングはゆっくりと震えるカメールの方に首を向けると、
邪悪な笑みを浮かべながらその赤い目で彼を見つめ口を開いた。

「マダ タベルモノ アルジャナイカ…」

カメールの手から二つのリンゴが静かに床に落ちた、
まるで何かの終わりを告げるかのように転がるふたつのリンゴは、
それぞれが違う方向へ静かに分かれて転がって行った。
【真実】
 
少しして、
ニドキングは自分の部屋の前までたどり着いた、
ためらうことなくドアを開け自分の部屋ん中に入る。

コリ「…!」

部屋に入るとコリンクは不自然に檻の外へ手を伸ばしたまま、
突然入ってきたニドキングに驚きびくっと動きが止まっていた。

ニド「…?」

走って来たせいか乱れる呼吸を整えながら、
ニドキングはその不自然な格好をしているコリンクを見つめる。
そしてコリンクが伸ばしている手の先をよく見ると、
机の上に置いておいた檻の鍵が床に落ちていた。

ニド「ひょっとして、自分で逃げようとしていたのか…?」

コリンクは『せんこうポケモン』と呼ばれるでんきタイプのポケモンである、
おそらく自分の電磁力で鍵を引きよせて逃げようとしていたのだろう。

コリ「う…あ…。」
ニド「な…なんで逃げようと、今日どのみちお前は逃がすつもりなんだぞ…?」

ニドキングは落ちていた鍵を拾うと、
安心させようとゆっくり檻に近づこうとする。

コリ「く…来るな…!」
ニド「…!」

コリンクの言葉にニドキングの動きが止まる、
ニドキングを見つめるその目はおびえでない恐怖に染まっている。
その目をニドキングは見たことがあった、
自分に危害を加えようとする相手に向けるまなざし、
すなわち彼が食べるために追い詰めた獲物が最後に彼に向ける目の色だった。

ニド「な…なにを…。」
コリ「お前、どうせ僕のことも食べる気なんだろう!」
ニド「な…!?」

…ガシャン!

ニドキングは驚きの余り鍵を床に落とす、
今このコリンクは何と言った…、
自分のことも食べる気なのかと言ったのか…!

ニド「どういうことだ…。」
コリ「とぼけるなよ、僕はずっとここで見てたんだ…。」
ニド「み…見てた…?」
コリ「お前が、レントラー兄ちゃんとルクシオ兄ちゃんを化け物みたいに食べるとこだよ!!」
ニド「…!?」

本当のことなのだろうか、
いやこのコリンクの表情はとても嘘をついているようには見えなかった。
また頭がズキズキと痛みだし、
ニドキングは苦しそうに頭を抑える。

ニド「俺が…こいつの兄弟を…食べた…?」

ニドキングは必死に記憶をたどる、
昨日そして一昨日、
彼は二匹の兄弟を逃がしたのではないのか?
現に二匹のいた折はもぬけのからになっているし、
二匹を逃げたはずの通風口だって…。

そうして目を向けた通風口を見て、
ニドキングの頭の中は真っ白になる。

通風口はしっかりとネジで蓋が固定されていた、
最近どころかこの部屋が出来て以来開け閉めされた様子がなく、
錆びの浮く蓋は何物もそこを通っていないということを示していた。

ニド「あ…ああ…あ。」

その瞬間に、
消えていた感覚が彼の中に蘇ってくる。

戦慄するレントラーとルクシオのそれぞれの顔、
記憶の中で彼らの姿がぶれるように重なり、
その首を加減を見せず締め上げ持ち上げる太い腕。

じたばたと足をばたつかせもがくその体が、
徐々に大きく開けられた口に引き寄せられていき、
真っ赤な口内と舌がその体を容赦なく包み込んでいく。

そしてかぶりつくように口が閉じられ、
より一層もがくその体をくちゃくちゃと咀嚼しながら口の中へと引きずり込んでいき、
鎧のように頑強な口の中でぐにゃぐにゃと突き出るように手足が動くと、
開いた口の隙間からべしゃりと唾液が地面へ落ちる。

とうとう彼の体が足首までしか外に出ていないほど口に収めると、
太い首を上へと持ち上げて全てを落とし込むべく口を広げる。

ぐぐぐ…ゴックン。

完全に呑み下されたその体がぐにゃりと首を広げながら下へとずり落ちていき、
お腹の膨らみと同化するように暴れるポケモンは胃袋の中に収まり、
だんだんと動きが弱くなっていった。

そして、
哀れな獲物とかしたおたずねものを飲み込み
満足したように醜悪な笑みを浮かべるそのポケモンは、
まぎれもないニドキング自身であった。

ニド「う…あ…。」

すべてを思い出してしまった、
彼はコリンクの兄弟を食べた、
相手の生への尊厳など微塵もなくその身を喰らった。
ガクガクと体中が震えだし、
手足から痺れるように感覚がなくなていく。

ニド「お…れ…おれ…は…俺は…。」

目の奥がちりちりと痛み、
口の中が異常に乾いたようにうまく口が動かない。
思考もマヒしたままで、
ゆっくりとニドキングはコリンクの方へ目を向ける。

コリ「なんだよ、やっぱり僕も食べる気なのか…!」

コリンクは完全に敵意の持った目で、
力なくうずくまるニドキングを見る。

ニド「俺は…。」

混乱する中ニドキングは必死に自分の考えをまとめる。

俺はいったいどうすればいい、
このコリンクに何と言って詫びればいいのだろうか。
彼の兄弟を目の前で食べてしまったのだ、
到底許されるものではないだろう、
どうすればいい、
頭が痺れるように考えがまとまらない、
そういえば急に腹もも減ってきた、
何か腹に詰めればいいかんがえもうかぶかな、
そういえばさっきからおいしそうなにおいがする、
おなかどんどんへってきた、
なにかたべたい、
なにかたべたい。

ゆらりとニドキングは音もなく立ち上がり、
怪訝な表情のコリンクを見つめる。

コリ「…え?」

ぽかんとする表情のコリンクを見下ろし、
彼は唾液の光る真っ赤な口を開いた。

「オマエ ウマソウダ」

その瞬間に、
ニドキングの目から意志の光は消えうせた。
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更新日 2014年  1月17日
  少ないけどとりあえず新規イラストに変更
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