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最恐時間

 
サンダースを飲み込んでから少し時間が経っただろうか……。
バンギラスはゲフッと小さくゲップをしながら、
気持ち良さそうにお腹を撫でている。
時折ふわぁっと大きなあくびもしていて、ずいぶんと退屈そうだった。

バン「あ~、暇だな…。」
  「そろそろ動きを見せてくれないもんかねぇ…。」

ぽんぽんっとお腹を叩きながら、
バンギラスはその中にいるであろうサンダースの様子をうかがう。
時々ピリッと電流が走る感触は感じるものの、
前に喰らった【かみなり】に比べればどうってことのない威力であった。

やはりあの時のは、ただのマグレだったのだろうか…?

バン「……いっそ、とっとと消化しちまってもいいか…。」
  「腹が膨れるだけ損はしてねえしな…。」

バンギラスはとろんと眠そうな顔をしながら、そんなことを呟いている。
彼の丸々と膨れたお腹からは、
早くもこぽこぽと消化の始まりを告げる音が響いてきていた…。

バン「ふぅ、今日はなんか小せえのばっか食ってんな…。」
  「たまには食いごたえのある奴でもうろついてないかねえ…!」

ぐーっと伸びをし、彼はぽつりと呟いたく。
彼からしてみれば今日の小さな獲物達だけでは、
まだ腹八分目も食べてはいないようだった。
帰ってくる時に食べた二匹のチビ犬達は、
二匹といっても小さすぎて食事の時間の前にとっくに消化済みだったし、
食堂で食べたパン程度なんかでは腹の足しにもならないだろう。

だからここでサンダースを消化してしまうことには、微塵のためらいも無かった。
まあ少しは出てくることの方に期待はしていたが、
それはサンダース自身の力で出てこなくては意味無いのである。
自力で出てこないのなら、吐き出してやる気なんて毛頭無かった。

バン「このまま溶ろけちまったってんなら、」
  「まあ、そんだけの奴だったってことだしな……。」

ゆったりとした手つきで腹をさすりつつ、彼は再び大きなあくびをする。
このまま夢見心地で獲物を消化してしまうのも悪くは無い…。
そう思い、彼はうとうとしながらと静かに目を閉じた。
…その時である。

”ピリィッ……!”

バン「…ん…!」

覚えのある痛みに、
バンギラスは眠そうにしていた目をすぅっと細める。
一瞬気のせいかとも思ったが…。

”ピシィッ……ピシシッィッ……パリッパリパリッ……!”

バン「へ…どうやら来たみたいだな…!」

間違いのない電流の痛みによる感触に、
バンギラスはにぃぃっと不敵な笑みを浮かべる…。
どうやら彼の目論見通り、
胃袋にいるであろうサンダースの反撃が始まったようである。
彼はこれを待っていたのだった…。

バン「へへ…、あの時見てえにはいかねえぞ…!」
  「勝負だ小僧!!」

そう言うとバンギラスはぐっと腹に力を入れ、胃をきゅうっと縮めさせる。
中にいるであろうサンダースが胃壁に押しつぶすされるが、
電流の威力は全く弱まらず、彼の体中にその衝撃が走って行った。

”ビシィッ……ビリィッ…ビリビリッ!!”

バン「がっ……ぐぅぅ……!!」
  「くそっ、今度は負けねえんだよっ…!!」

ひどい激痛に彼の視界がチカチカと明滅するが、
必死に彼はサンダースの電撃をこらえている。
その姿はまるで、電撃に耐えきることが目的のようにも見えた。

…いや、多分その考えは正解なのであろう。
なぜなら、バンギラスの表情は電撃に苦しんでいるというより、
まるで勝負を楽しんでいる時のような笑みを浮かべていたのだから…。


 
バンギラスにとって、
自分の力に達しない者たちは全て食べる対象のようなものであった。
大きさも種族も関係ない、
ようは自分より弱い者はみんな彼にとって『獲物』なのである。
 
そんな彼にとって、
食事と同じぐらい好きなことが『戦う』ということだった。
 
かといって別に無作為に争うことが好きなわけではない、
戦えば自分と相手との力の差がそれこそ一目瞭然で分かるからである。
彼が勝てば相手には『獲物』として消えてもらうだけだし、
負けたなら彼自身がさらに力をつけてからもう一度叩き潰す。
そうして勝てたなら今度こそ腹の中へと消えてもらうという、
いわば彼自身の決めた戦いのルールのようなものだった。
 
そんなことをして生きていくうちに、
彼にはある種の堪が働くようになっていた。

『相手の成長の度合いをなんとなくだが見抜く』
 
こいつはもっと強くなりそうだとか、
こいつの成長はもう終わっているだとか、
そんなある種の観察力のようなものに彼は長けていたのである。
生まれ持ってというより、自然と身に着けていた力。
これに気が付いてからは、
彼は今までのルールにもう一つだけ付け加えることにした。
 
「成長の余地のある者は見逃す」
 
成長がすでに終わっていそうで、
彼にとっても大したことの無い相手なら別段今までと変わらずに食ってやるだけである。
だがまだまだ強くなりそうな者を、
成長途中で食ってしまうというのは戦い好きな彼にとってもったいないことであった…。
だからこそ、強くなるというのなら強くなるまで待つことにしているのである。
そうして成長した者達に晴れて勝利してこそ、
食べてやった時の満足感は計り知れないものがあるというものなのだ…!
 
あの時の猫の小娘もこのサンダースにもその気配を察した…。
だからあの小娘はさっさと見逃したし、
このサンダースにはもう一度戦いを仕掛けている真っ最中なのである。
 
…特にこのサンダースには、彼はかなりの期待を抱いていた…。
 

 
バン「確かにあんときは油断してたが…!」
  「…それでもてめえは…一度このオレに勝ってんだからな……!」
 
汗をだらだらと流し、苦しそうにお腹を押さえながら、
バンギラスは呻くように腹の中のサンダースに語りかける。
このサンダースだけは、今までの彼のやり方から大きく外れていた。
彼は成長の余地のあるものを見逃すことは何度でもあった、
だがそんな者達に負けたことは一度も無かった。
…そもそも彼が負けること自体ほとんど無かったことなのである。
 
最初は(というか今も)どこから見ても経験浅い素人な立ち振る舞いだし、
見逃す余地すらないほど、強いとは言えないポケモンだと思っていた…。
だが森でこのサンダースが放ったであろう【かみなり】も、
そして今こいつが使っている電撃も、
百戦錬磨の彼を押し勝つ程の実力を見せていた…!
 
バン「ぐぐぅっ……!!」
 
バンギラスの顔に疲労の色が見え始める、
だが疲れているのは腹の中のポケモンも一緒であった…。
だんだんと電流の威力が弱まりを見せ始め、
体中に広がる痛みが少しずつ収まってゆく…。
 
バン「ぐ……ぐがぁぁっぁぁ!!」
 
バンギラスはこれを笑気と見たのか吠えるような声で叫び声をあげると、
ぐっと足を踏ん張り、ありったけの力を込めて自分の腹を殴りつけた。
”ドゴォッ!!”っという鈍い音が部屋中に響き渡り、
中にいたポケモンに激しい衝撃が伝わったのを彼は感じた。
 
バン「…っぐ、がっはぁぁ……!!」
  「はぁ……はぁ……!」
 
しゅうう……っと電流が引いていき、
部屋に静けさが戻ってくる。
バンギラスは這いつくばるように両手をつき、
荒い呼吸を何度も繰り返していた。
だがその表情には勝ち誇ったような物が混じっている…。
 
バン「かっはぁ、はぁ…はぁ……!」
  「へへ、ザマア…ミロ……!!」
  「オレの…勝ちだ………うぶっ…!?」
 
そこまで言いかけて、急に彼は腹部に強い圧迫感を感じる…。
いくら彼が鎧のような皮膚や屈強な意思を持っていたとしても、
身体の方はすでに限界に近い状態だったのである…。
 
”グニュウッ……ググッ……ググググッ…!!”
 
バン「うぶぅっ……ぶっ……うぶぶっ……!!」
 
お腹のぽっこりとした膨らみがせり上がるように喉を膨らませ、
彼は苦しそうに両手で口に抑える。
だがずりゅずりゅと音を立てて昇っていく塊を、
限界に近い彼がこらえきるのは到底無理なことであった…。
 
バン「うぶっ…うぶぅっ…!!」
  「がっ……ぐげっ…ぐぼはぁっ……!!」
 
”ずるぅ………べしゃあっ…!!”
 
粘着質な音とともにバンギラスの口から黄色い塊がずるりと吐き出され、
大量の唾液とともに地面に落ちる。
 
ダース「……かはっ!」
   「うえぇ……けほっげほっ!!」
 
喉に詰まった唾液でせき込む様に、
サンダースは激しくむせ込んでいる。
ふさふさとしていた毛もべちゃべちゃに濡れて汚れ、
見るも無残な姿になているが、一応息はしているようであった…。
 
その様子を目尻に涙を浮かべながら、
バンギラスがぽかんとした表情で見つめている。
 
バン「げほっ…げっほっ!」
  「ちくしょう……これで…二敗かよ……。」
 
ぐいっと腕で口元をぬぐい、バンギラスはぽつりと呟いた。
悔しそうな口調ではあるが、彼の口元は微かに笑っている…。
 
ダース「えっほえほ…!」
   「あ…あれ……、助かった…の…?」
 
ようやく咳もおさまったのか、
サンダースは弱々しく呟くと、むくりと上体を起こす。
全身疲れきっているようで、
体中はマヒしたかのように痺れてうまく動けなかった。
 
ダース「イテテテ……、」
   「もう、ひどい目にあったよ……!」
バン「よう、元気そうじゃねえか…!」
ダース「へ……、うわっ!?」
 
声をかけられた方を振り向くと、
あのバンギラスがにぃっと笑いながら彼のことを見ていた。
あの胃袋から出ることばかり考えてて、
出た後のことを考えていなかった彼は思わず声をあげる…。
 
ダース「うわっ…たたた……!!」
バン「安心しろよ、」
  「吐いてすぐ空気になんかならねえからよ…!」
ダース「…え、あ、うん…。」
   「……うわぁ…オイラの体……。」
 
疲れた様な声で言うバンギラスの言葉に、
サンダースは自分の体を眺めながら答える。
体中がべとべとと涎まみれで、
せっかく洗ってもらったのにまた汚いものに戻った気分だった…。
 
ダース「あうう、また変な臭いとかしてるし…。」
バン「んなこたぁ今は別にいいだろ…、」
  「……はぁ、オレ本当にこんなのんきな奴に負けたのか…?」
ダース「……?」
 
がりがりと不満そうに頭をかくバンギラスに、
サンダースはきょとんと首をかしげる。
小声でよく聞こえなかったのだが、
彼はこのバンギラスに何かしたのだろうか…?
 
ダース(【スパーク】をうったところまでは覚えてるんだけど……。)
 
サンダースもべたべたの顔を前足でぬぐいながら考える、
いつの間にか意識が飛んでいたのだが、
どうやら彼の電撃のおかげで吐き出させることができたようだった…。
 
ダース(…でも、この人そのわりにはぴんぴんしてるなぁ…。)
 
まだふらふらする視界で、サンダースはバンギラスを見つめる。
実際バンギラスの方も立ってるのがやっとな状態なのだが、
未熟なサンダースではそこまで見ることができていないようであった。
 
バン「…っで、お前これからどうすんだよ…?」
ダース「……ほえ?」
 
突然バンギラスがまじめな顔つきでサンダースに聞いてくる、
どう…というのはやはり今後の行く当てとかであろうか…?
 
ダース「えっと…あの…、特に決めてない…デス…。」
バン「…お前、ほんとに旅人になる気あったのか…?」
ダース「う…。」
 
バンギラスが呆れたように彼を見つめている。
行く当て無しで旅に出た…って、
無鉄砲かただの考え無しかなだけであるのだが…。
 
ダース「あ…あるもん!」
バン「じゃあ行く当ては、頼れる知り合いとかは、
  「どっかのギルドとかの紹介状とかは…?」
ダース「…むぐっ。」
 
どうやら両方のようである…、
バンギラスはふぅっと大きく息を吐いた。
 
バン「なあお前、強くなるために旅に出た…って言ってたよな…。」
ダース「ほへ…?」
   「う…うん、言ったけど…。」
 
首をあげてサンダースはバンギラスの顔を見る。
表情こそうまく読み取れなかったが、
なんだかニヤついているように見えた。
 
そんな彼がすぅっと静かに手を差し出す、
まるで捕まれとでもいうような感じであった。
 
バン「なんなら、オレがお前を鍛えてやろうか…、」
  「旅人になるより、もっとはやく強くしてやるぜ…!」
ダース「…え、…本当…!」
バン「まあお前次第だ、どうする…?」
 
バンギラスの突然の提案に、サンダースは面食らったように目を丸くする。
今の今までこいつの腹の中にいたのだ、
とてもじゃないけど嫌な予感しかしなかった…。
…けど…。
 
ダース「…本当に…オイラ強くなれるの……?」
バン「ん、まあな。」
  「少なくてもオレはお前が強くなるって確信してるけどな…!」
 
ごくっとサンダースは唾を飲み込んだ、
こわい…だけどこの人なら確かに彼をちゃんと鍛えてくれるかもしれない…。
そんな期待から目をそむけることなんて、彼にはできなかった。
 
ダース「オ…オイラを食べないって約束するなら…!」
   「き…きき…鍛えてくれても…いいよ!」
バン「ん、おお。」
  「まあいいぜ、『消化』はしないでおいてやるよ♪」
ダース「本当に…!」
バン「ああいいぜ、なんなら指きりでもしてやろうか!」
 
ほぉっとサンダースは大きく安堵の息をつく、
食べないでいてくれるなら任せても大丈夫そうだろう…。
 
ダース「じゃ…じゃあ、お願いします!」
バン「おう、こっちこそよろしくな♪」
 
ぎゅっと前足を彼の差し出した手に載せて、
サンダースは立ち上がる。
そんな彼を見ながら、
バンギラスは内心小さくほくそ笑んでいた。
 
バン(まあ『消化』はしないでおいてやるよ、)
  (『消化』は…な♪)
  (……それに。)
 
にぃっと不敵に笑いながら、
バンギラスは自分よりも小さいサンダースを見る。
行く当てが決まって安心しきっているのか、
ふぬけたように笑顔を浮かべている彼からは、
さきほどの電撃の威力を放っていた姿など想像もできなかった…。
 
バン(オレもお前に勝たねえといけねえからな。)
  (ま、それまでは楽しませてもらうぜ…♪)
 
ぺろっと彼はサンダースに見えないように小さく舌なめずりをした。
彼の手でこの未熟者を限界育て上げてやる、
それに勝ってからでも食べてやるのは遅くは無いだろう…。
バンギラスは口の中にあるサンダースの余韻を楽しむ様に、
ごくっと生唾を飲みこんだ…。

実力を持った敗者と実力の無い勝者、
奇妙な二人組の物語が始まった。

最恐の相棒との出会い、
サンダースの最悪はまだ終わらない…。
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どうもです、その8完成でございます!
また日記が先からで失礼します、
またまた文章量が多くなってしまった…。

そういえば日記と小説って、
どちらが気の方が読みやすいんだろうか…?
もし日記が先でも大丈夫なようたら、
試しに日記を先で書いててみようかしら?

そうすれば、
小説がぐだぐだになったときに先に言い訳ができ…、
な…なにをするやめr(バクンッ!



そういえば、
一応「最恐時間」、次回で最終回の予定でございます♪
ここまでお付き合い頂けた方ありがとうございます、
最終回も早く描き上げなくては!

そしてこれが終わったら、
頂いたリクエストイラストの方に移りたいと思っております!
…あれ、その間の日記ネタどうしよう…?
(´・ω・)

デザートの時間
 

どれくらい時間が経っただろうか、
サンダースは再びバンギラスの部屋に戻ってきていた。
当然、部屋の主のバンギラスとともに…。
 
ダース「ふはぁ~、美味しかった~♪」
 
ベッドの上に腰かけながら、
サンダースはぽんぽんとお腹を叩く。
普段小柄な彼だったが、
ずいぶん食べたのか、今はお腹はぷっくりと丸く膨れていた。
 
バン「つか、食いすぎだろうが。」
 
バンギラスはベッドには座らず、
彼の近くで腕を組んで立っている。
ぽりぽりと片手で頭をかき、
呆れた様な表情でサンダースを見ていた。
 
ダース「だってすっごく美味しかったんだもん、」
  「お腹も空いてたし…。」
バン「ここの飯がうめえのは知ってるけどよ、」
  「…まあいいか、この方がこっちも都合がいいしな。」
ダース「……ほぇ?」
 
あごに手を当ててにぃっと笑ってるバンギラスに、
サンダースはきょとんと首をかしげる。
 
…そういえば、自分はかなりの量の料理を食べていたが、
バンギラスの方はもそもそと小さなパンをかじってるだけであった。
あんなのでこの大きなポケモンは満腹になるのだろうか…?
 
ダース「あの、あんまし食べてなかったけど…、」
  「あれだけで足りるの?」
バン「ん、オレか?」
  「まあ先にちっと食ってたしな。」
  「……それに。」
 
そう言うと、バンギラスはすぅっと腕を降ろした。
そのままゆったりとした動作で尻尾を横に伸ばすし、
まるでサンダースがベッドを下りるのを阻んでいるかのようにも見えた。

ベッドに座っていたサンダースは、
その妙な動きにいぶかしげな表情になる。
 
ダース「…ん?」
バン「それに、」
  「腹が減った時用に『デザート』も用意してたしな…。」
ダース「え、『デザート』もあるの…♪」
 
デザートの単語に、
サンダースは探すようにきょろきょろと部屋の中を見渡す。

料理とデザートは別物だというが、
お腹もぱんぱんなはずなのにとても嬉しそうな顔である。
 
だがバンギラスの部屋にそれらしいものは見当たらない。
 
ダース「あれ、どこにあるの『デザート』?」
バン「ん、そこにあんじゃんかよ。」
ダース「へ、ここ?」
 
バンギラスはちょいちょいっとベッドの方を指さしている、
サンダースは不思議そうにベッドの後ろを見て見る、
当たり前だがそんなところに『デザート』のたぐいは置いていなかった。
 
ダース「…やっぱりないよ?」
バン「はぁ、ほんとに鈍いんだなお前…。」
ダース「…?」
  「鈍いってなに……がっ…!!?」
 
変なことを言うバンギラスにサンダースはくるっと彼の方を振り向こうとするが、
突如突き上げられるかのような衝撃が首元に走り、彼の体がグイッと浮き上がる。
 
それがバンギラスの太い腕に掴まれ、
持ち上げられたのだということに気付くのに少し時間がかかった…。
 
ダース「うがぁっ…!!
   「え、なに…!!?」
バン「おめえな、隙がありすぎるにも程があるぜ…。」
 
状況が掴めず困惑しているサンダースに、
バンギラスは彼の首元を掴んだまま話しかける。
その顔は先ほどまでと変わらず、にぃっと不敵な笑みを浮かべていた。
 
バン「言っただろ、」
  「『デザート』を用意しといたって。」
  「ずっと居ただろうがちょうどいいのが…、」
  「ここまで言えば誰が『デザート』かぐらい分かるだろ…?」
 
ギロっと目を細めて彼はサンダースを見つめ、楽しそうに舌なめずりをする。
 
サンダースはごくりと唾を飲み込んだ、
流石の彼でもバンギラスのその意図が読み取れてしまったのである…。
 
ダース「…もしかして……、」
  「『デザート』って…オイラ…!?」
バン「おう、正解だぜ…♪」
ダース「…ひぐっ…うわわぁぁぁ!!?」
   「い…嫌だあ!放してよぉ!!」
 
その意味のあまりの恐ろしさにサンダースはジタジタと自由な手足を振り回し、
何とかバンギラスの魔の手から逃れようともがく。
 
だが、身をよじろうとした瞬間、
彼の体がまるで石か何かのように固くこわばり、
唯一彼に残っていた暴れる自由さえ奪われてしまう…。
 
ダース「あぐっ…ぅ…!?」
  「な…なに……これ……!!」
バン「【こわいかお】だ、」
  「前にも使ってやっただろ…!」
 
腕を上げ続け、笑みを浮かべたまま、
バンギラスは低い声で彼に語りかける。
 
その顔はサンダースからすれば悪鬼のような恐ろしい笑みをたたえ、
見つめているだけであの時の恐ろしい口の中の記憶が蘇ってくるようだった…。
 
彼はうかつすぎたのである…。

一度食べられた自分がもう一度食べられるわけなんか無いと、
心のどこかで安心していたのだろうか…。
そんな保障どこにも無いのに…!
 
ダース「嫌ぁ…!」
  「オイラ……もう……!!」
バン「あ、どうしたよ?」
  「怖くて村にでも帰りたくでもなったか…坊主…!」
ダース「ひっ……ひぃぃっ……!」
バン「今日村から出てきたおめえだ、」
  「別にこの町に知り合いが居るとかって訳じゃねえんだろ。」
  「ここで食っちまっても誰もお前が居なくなったことに気付かないって訳だ…!」
ダース「ひぅっ…!?」
 
笑みを浮かべたまま淡々と喋るバンギラスに、
サンダースは思わず目を見開いた。
 
バンギラスの言うとおり、
今日旅人になったサンダースに待ち合わせの人などいるわけがない。
もしここで食べられてしまえったら、
誰も彼を見つけても助けてもくれないのだ…。
 
そんな絶望的なことを想像するサンダースを、
にやっと笑いながらバンギラスはゆさゆさと軽く揺らす。
 
バン「へへ、さっきの質問でなんとなく予想は付けてたが…。」
  「その顔見ると、どうやら図星だったみてぇだな…♪」
ダース「……うぐぅ…。」
バン「どうやら、本当に食っても問題無さそうだな…!」
 
バンギラスのその言葉にサンダースはぶるっと体を震わせる。
今間違いなくこいつは「食う」と言った、

それは…やっぱり自分を…!!
 
”グバァアッ…!!”
 
ダース「ひぃ、う…うぁぁあ……!」
 
サンダースの目の前で、
バンギラスの大きな口がゆっくりと開いていく。
 
うねうねと蠢く太い舌べろに、
どろっと垂れているてらてらした涎…。
二度と見たくないと思っていたあの口の中だった…!
 
バンギラスの腕がゆっくりと体の方に動いていき、
サンダースの頭もそれに合わせて口の中へと侵入していく。
むはぁっと獣臭いバンギラスの息が顔に吹きかけられ、
生暖かい唾液がゆっくりと頭を伝って落ちていった。
 
ダース「う…うぁぁぁ!?」
  「やめて、食べないでぇぇ!!」
 
彼の悲痛な叫びが喉の奥にこだまし、
その悲鳴すらもバンギラスの暗い口の奥に飲み込まれていく。
だが当然そんなことでやめてくれる相手ではなかった…。
 
バン「観念しろよ、前みてえにそのまま丸ごと呑みこんでやるからよ♪」
ダース「い…嫌ぁ……うむぅ…!?」

口を開けたままのバンギラスの声が、サンダースの耳に聞こえてくる。
それと同時に彼の顎がぶにゅっとした感触とともに、
バンギラスの舌べろに押さえつけられた。
 
そのままバンギラスは言った通り牙は使わず、
それでも上下の顎であむあむと咀嚼するようにサンダースの体を噛み、
時たまじゅるじゅるとその味の染み込んだ唾液をすする。
 
”ねちゃあ……ぴちゃっ……じゅるる……”
 
サンダースの体がぐいぐいと見えない手で押しこまれるように口の中に入っていき、
外で垂れる尻尾が唾液と舌のおぞましさにぴーんと伸びている。
僅かにもぞもぞと動く彼の後ろ脚が、
ひくひくと痙攣するようにバンギラスの口の外で揺れた。
 
サンダースのお腹の舌で分厚い舌べろがうねうねと蠢き、
ゆっくりと…だが着実にサンダースの体を喉の奥に引きずり込んでゆく。
 
サンダースも何とか逃げようと手足に力を込めるが、
【こわいかお】の力に完全に支配された体が、
まるであの時のように彼の思い通りに動いてくれなかった…。
 
ダース「あぐぅ……うぁ……。」
 
唯一外に出ていた足と尻尾も、
少しずつバンギラスの口の中に飲み込まれていく…。
 
小柄な体ゆえかたいした時間もかからずに大部分が口の中に消え失せ、
最後とばかりにバンギラスがグイッと首を持ち上げ、
彼の体が口の中にズルンッと落とし込まれると…。
 
”パクンッ”
 
っとバンギラスの口が素早く閉じ、
サンダースの体が完全に見えなくなった…。
 
バン「ングッ…ンッ…!」
  「ん~、やっぱりなかなかの味だぜ…♪」
ダース「あぅ、うわっ…あむうむぅ……!」
 
バンギラスの口の中で彼の体が舐めころがされ、
黄色い毛並みがねっとりとした唾液で汚れていく。
頼みの綱の彼の鋭くとがった体毛も、やはり幾度の唾液の洗礼のためか、
本来の強度が落ち、舌でなぞられるだけでくしゃっと毛先が崩れた。
 
ダース「あぐぅっ……、」
  「ひ…ひぁっ…!?」
 
前に投げ出したまま硬直した前足がゆっくりと喉の奥に運ばれていき、
暗い喉の奥に少しずつ侵入していく。
 
あともう少しすれば、
彼の体ごとこの深淵の穴に落とし込まれてしまうのだろう…。
それはすなわち……。
 
ダース「あぎっ……いやっ…いやだ…!」
  「もう……もう、食べられたくないよぉっ……!!」
バン「ほう、今回はなかなか強気なこと言うじゃんかよ…!」
 
サンダースが涙を流しながら精いっぱい力を込めて口の中で叫ぶ、
するとふいにバンギラスが話しかけてきた。
 
声とともに喉の穴からむわっとした息が吐きかけられ、
サンダースは涙を浮かべたまま顔をしかめる。
 
バン「どうしたよ、」
  「そんなに出してほしいのか?」
ダース「え……、うん…!」
バン「ん~、どうすっかなぁー……。」
 
思わぬバンギラスの返答に、
サンダースはわらにもすがる思いで返事をする。
 
食べられたくない…。
 
それだけが今の彼の唯一の願いである、
助けてくれるなら何だってする。
そんな気にさえなっていた…。
 
ダース「お願いだよ……ここから……出し…っ…!?」
 
そんなサンダースの言葉も、
最後までは言わせてもらえなかった…。
 
すがるようにしぼり出した言葉の途中で、
バンギラスの舌がぶんっと喉の奥に向かってくねらされ、
上に寝転がっていたサンダースの体が宙に浮いた。
 
そして呆けた顔のまま、
彼の目の前に真っ暗な穴が広がっていき……。
 
”ギュムゥッ……ズグゥッ……ズブッ…ズブズブッ!!”
 
っと彼の体はズポッと喉の穴にはまり込む。
そのまま抵抗することすらできず、
彼の体がズブズブと穴の奥に引きずり込まれるように消えていく…。
 
ダース「え……え…?」
 
何が起こっているのか彼には分からなかった…、
ただ気がついたときには後ろ足までが穴の奥まで入り込み…。
 
”ゴックンッ!!”
 
と音を立てて、
サンダースの体はバンギラスの口内から姿を消した…。


バン「そんなに出てきてえんだったら、」
  「また自分の力で這い出てくるんだな…!」

その6完成でございます、
いつもより時間がかかった上に、
いつもの倍はgdgdになっちゃったよ…。
まだまだ練習が足りませぬ…orz
(´・ω・)


たくさんのリクエスト企画へのご参加、
本当にありがとうございました!
いまのところ来ているリクエストの内容に大きな問題はないようなので、
現在頂いたリクに関しましては全て了解いたしました♪

また後日リクエスト内容をまとめた記事を載せますので、
「私のリクが無い!」とか「リク内容間違えてるわボケ!」、
などございましたらお気軽にご連絡ください。

あと肝心の募集期限についてわすれ記述漏れがあったので、
リクエストの募集は12月15日火曜日23:59までとさせていただきます!
丁度募集をかけてから一週間だし、だいじょうぶかな…?
(・ω・)

それにしてもグマ君被食者なリクが多いことに感激でございます、
愛されてるなー彼。(捕食的な意味で)

ところでリクエストの被食者の項目に、
「マッスグマ」で描いて頂いた方。
これってうちのグマ君のことですかね?

もしただのマッスグマという意図で書いていらしましたら、
ぜひ管理人の方にお知らせください!
連絡がないようでしたらとりあえずグマ君基準で描かせて頂きますゆえ!
…まあどっちでもそんなに変わらないんですけどね…♪
(・ω・)


追記:

小説の文章が長く、ブログでの表示が重いようなので、
試しに続きの方とと入れ替えてみました。
これで変化が無いようならちょと修正しないとなぁ…。

ご迷惑かけてすみませんです!
(・ω・)

脅しの時間

 
ふんふんと楽しそうに鼻歌を歌いながら、
バンギラスは一人、のしのしと通路を歩いていた。
通路は白い電灯がぽつぽつと設置されていて、
まるでどこかの研究施設の廊下のようなイメージが漂っている。

彼の今いるところは、アジトの中でも居住スペースが集中しているところなのか、
通路の壁にはいくつもの扉が並んでいる。

やがては彼はひとつの扉の前で立ち止まった。

バン「ふぃ~、やっと帰ってきたぜ♪」

人工的で無機質な扉が彼の前に佇み、
扉の横には何か足が他のようなものがプレートになって取り付けられている。
ここがバンギラスの部屋なのであった。

バン「よっと、ただいま~っと。」

ウィーンっと機械的な音が響き扉が横へとスライドして開くと、
彼はんーっと腕をリラックスするように伸ばしながら部屋へと入った。

部屋の中は真っ暗であまり様子がうかがえないが、
彼は手探りで扉の横の壁をごそごそと探ると、
やがて何かのスイッチをカチリと押す。
すると部屋の中の明かりがパッとつき、
室内の様子が見えるようになった。

部屋の中はそれなりに広く、
バンギラスの大きさでも楽々収まりそうなベッドに小さな机、
隅に方にはクローゼットのような物入れや、
他の部屋に通じているのか扉が一枚壁に設置されている。

…というかそれぐらいしかとりたてて言うべきところが無い。
シンプルを通り越して殺風景な部屋だったが、
彼にとっては愛すべき我が家であった。

バン「あ~、やっとくつろげるぜ~…。」

コキッコキッと体をひねってほぐし、
くたびれたように彼は先ほどと同じように体中を伸ばす。
ずいぶんと疲れていたのか、
そのまま持っていた荷物をぽいっと放り投げた。

無造作に放り投げられた布袋が緩やかに弧を描き、
ぽすっという音を立ててベッドの上に着地し、ころんと転がった。
 
バン「…っといけね、うっかり投げちまったな。」

放り投げた荷物の方を見ながら、
彼は後ろ手で電灯のスイッチのそばにあるもう一つのスイッチをポチっと押す。
彼の入ってきた扉がウィーンという音とともに閉まり、
どこかでカチリという音が響いた。
どうやら扉の鍵が閉まったようである。

バンギラスはのしのしとベッドの方まで歩いて行くと、
その端に腰かけ布袋を手に取った。
彼がここまで大事に持ち運んできたおかげか、
袋のどこにも破れた様子は無く、口もしっかりと紐で縛ってあった。

おもむろに彼は袋を上下にゆさゆさと振ってみる、
中に何か入っているのかごろごろと何かが転がる感触が伝わってくるが、
それ以外の反応は特には無かった。

バン「…大丈夫か…中身…?」
 
少し眉をひそめながら、
彼は袋の口を縛っている紐に手をかけると、しゅるしゅると解いていく。
しばらく紐をいじっていると、固く結んであった口が緩んできて、
やがてスポッと紐の全てが解ききれた。

バンギラスは口を大きく開き、その中を確認する。
袋の中には黄色い『木の実』が大量に詰められており、
爽やかな果汁の臭いがふわっと彼の鼻に漂ってきた。

バン「ちっ、一個か二個割れちまってるか…。」
  「そういや町で振り回しちまったもんなぁ…。」

すぅーっと彼は木の実の甘酸っぱいの匂いを嗅ぎながら、
黄色の木の実を一個取り出すとひょいっと口の中に放り込む。
酸っぱい木の実の味が口中に広がり、
彼はしゃくしゃくと美味しそうに味わった。

バン「ん~、んめぇ♪」
  「やっぱたくさん採ってきて正解だったな♪」

彼はそういいながら袋の口をベッドの方に向けると、ゆさゆさと袋を揺らす。
中から今食べているのと同じ木の実がいくつもごろごろと転がり落ちてきて、
彼の白いベッドが鮮やかな黄色に埋め尽くされていった。

”ずるっ……ずるぅっ……ひゅぅ…ボテッ!”

彼が袋を揺さぶり続けていると、
突如、木の実とは違うもっともさもさとした黄色の塊が袋の中から落ちてきた。
その塊はベッドの上に転がり落ちると、
バンギラスは「んっ?」とおもむろにその塊を見る。

バン「…あ、」
  「こいつのことすっかり忘れてたぜ…。」

たくさんの丸い黄色の木の実の中に、
チクチクととがった硬い毛並みと、
同じくふさふさと硬めの毛でおおわれた黄色いポケモンがぐったりと横たわっている…。
バンギラスが森で拾ってきたサンダースと呼ばれる種族のポケモンであった。

袋から出てきたサンダースは、きゅっと固く目をつむり、
自慢のぴんっととがった体毛もなんだかひどく薄汚れて見えた…。
ぱっと見ただけでは怪我らしい怪我はしていないようだが、
見ようによっては弱って衰弱しているようにも見える。

バン「…生きてるよな。」

バンギラスはサンダースのお腹をツンツンとつついてみるが、
ぴくりとも反応が返ってこない…。

バン「…起きねえな。」
  「まあ、起きなきゃ起きないで食っちまってもいいんだが…。」

さすがに反応の無いことに少し心配になったのか、
彼はぽりぽりと頬をかいた。

ダース「………むぅ…。」
バン「…ん?」

ふと、サンダースがもぞもぞとむずくように動き、
何か小声で呟いたように聞こえた。

バン「…なんだ?」

バンギラスはそうっと耳を近づけると、
サンダースの声を聞き取ろうと静かにする…。
…すると。

ダース「うみゅ~……、」
  「もう食べらんないよ……むにゃむにゃ…。」
バン「はぁっ…?」
 
そのあまりにもとぼけた寝言に思わず彼の口から声が漏れる。

よくよく観察するように見ると幸せそうな寝息をすぅすぅとたててるうえに、
口の端に涎まで垂らしていた…。

バン「あるいみ肝が据わってるな…こいつ…。」

若干呆れたようにバンギラスが呟く。
自分の状況が分かっていないだけだと思うのだが、
普通自分を食った奴に捕らわれているというこの状況の中で、
ここまで幸せそうに寝ていられるだろうか…。
 
バン「お~い、起きろ、こら!」

とりあえず生きていることは確認できたので、
彼はサンダースの頬をぺちぺちと叩いた。

ダース「む……うむぅ……?」

しばらく叩いていると、
呻くように小さな声をあげて、ゴシゴシと前足で目元をこする。
やがてうっすらとその目が開き、サンダースは静かにむくりと上体を起こした。

状況が分かっていないのか、ぼんやりした顔でキョロキョロと辺りを見回している…。

ダース「…あれ…、オイラ…どうして…?」
  「てか…ここどこ……?」
バン「よう、ようやくお目覚めだな坊主…。」

ボーっとしているサンダースの顔の前に、
バンギラスはぬぅっと顔を近づける。

しばらくはほけーっとその顔を見つめていたサンダースだったが、
何かを思い出したのか、突如ビクッと体を痙攣するように震わせた。

ダース「あ…がっ…あ…ひ…ひぃっ…!」
バン「ん、どうした?」
ダース「で……出たぁぁぁぁ!!!」

しばらく恐怖と驚きでひくついていたサンダースだったが、
叫び声とともに飛びあがるとその顔を押しのけてベッドから転がり落ちる。

ダース「ふぎゅっ…!」
  「…う…うひゃぁ……ひゃぁぁぁっ…!!」
バン「お…おいおいっ!」

あまりのサンダースのパニックぷりに、
バンギラスが珍しく狼狽するようにうろたえているが、
彼の方はバタバタと慌てたように扉の方へと走り…。
 
そしてベチャッと鍵のかかった扉に衝突した。

ダース「あれ…、あれ…!?」
  「な…なんで開かないの…!?」

ガリガリと扉をひっかいているが、
当然そんなことで扉が開くわけもなく、彼は扉の前で途方に暮れていた。

そんな彼の後ろにのしのしとバンギラスが歩いてくる…。

ダース「うわぁああ…!!」
  「いやだぁ……こっち来るなぁっ…!!」
バン「んだよ…、人を化けもんみてえに言いやがって…。」

振り返ったサンダースが狂ったように悲鳴をあげているが、
バンギラスの方はそんな彼となかなか会話にならず、
だんだんイライラと不機嫌な顔になってくる…。

バン「おい、いい加減にオレの話をだなぁ…。」
ダース「ひぃぃ、いやぁあ…!」
  「もう食べられるのは嫌だぁっ!!」

サンダースは涙目混じりに悲鳴を上げ続けているが、
ふいにそんな彼の耳に「プチッ」っとなにか妙な音が聞こえてきた…。

バンギラスは静かにはぁぁぁ…っと重く息を吐いたかと思うと、
すぅぅぅっと大きく息を吸い込んだ。
…そして。

”ガバァッ…!!”

っと大きくサンダースの目の前で口を開き、
吠えるような大声で叫んだ。

バン「るっせぇえっ!!」
  「ギャ-ギャー騒いでんじゃねえっ!!!」

そのあまりの迫力にビクゥッとサンダースは跳ねあがるように痙攣し、
んぐぅっと口をつむぐ。

彼の頭にぽたぽたとバンギラスの唾液が落ちるが、
それにも構わずバンギラスはさらに言葉を続ける。

バン「いいか、あんましうるさく騒ぐようだともう一度食っちまうからなっ!!」
  「それが分かったら少しは静かにしやがれっ!!!」
 
バンギラスの怒声が部屋中に響き、
サンダースの耳がキーンっと木霊するように鳴る…。

吠え声もそうだが、
バンギラスの口の中でぬらぁっと動く舌べろや、
生えそろった白い牙にまっ黒な喉の穴などが彼の目の前に突きつけられて、
ゴクッと怯えたように小さくサンダースの喉が鳴った…。

彼は一度この中に放り込まれたことがあるのだ…。
締め付けてくる肉壁や胃袋、
絶えず流れてくるぬるぬるとしたバンギラスの体液…。
揉みほぐされて転がりまわされて…、
そんなひどい目に会った思い出も今ならはっきりと思い出せる。

もうあんなところに入り込むなんて二度とごめんだった…。

バン「分かったな!で、返事は…!」
ダース「は……はい……。」
バン「うっし、」
  「分かりゃあいいんだよ…!」

震える声で答えたサンダースに、
にぃっとバンギラスは笑いかける。

『逆らってはいけない…。』

さすがのサンダースでもそれだけは分かった。
次にこの人のご機嫌を損ねようものなら、
次こそ本気で食べられてしまうだろう…。

…でも、
いくら怖くても、これだけは聞いておかねばならない…。

ダース「あ…あの…。」
バン「…あ、なんだよ?」
ダース「えっと…、」
  「ここは…どこなんですか……?」
バン「ああそうか、」
  「そういやお前気絶してたんだし、分かるわけねえよな…。」

なっはっはと豪快に笑いながら、
にっとサンダースに笑みを浮かべてバンギラスは口を開いた。

バン「ここは『丸呑み団』の秘密のアジトさ!」
  「まあ、捕食者どもの巣にようこそってな…♪」
ダース「………ほぇ…?」
 
サンダースはぽかんと口をあけていた。

自分が今どういう場所にいて、
そしてどうなってしまうのかもこの時の彼にはまだよく分かっていなかった…。

まさか自分が、
さらなる最悪に向かって歩みだしてるなんてことさえも…。
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★ プロフィール
HN:
森クマ
性別:
男性
自己紹介:
展示するのも恥ずかしい物しか置いていませんが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
(・ω・)

諸注意:
初めてきてくれた方は、
カテゴリーの『はじめに』からの
『注意書き』の説明を見ていないと
色々と後悔する可能性大です。
(・ω・´)

イラスト・小説のリクエストは
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リクエスト企画など立ち上げる際は、
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更新日 2014年  1月17日
  少ないけどとりあえず新規イラストに変更
  一枚オリキャライラストなので苦手な方注意

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