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「うっぷ、流石にメタモンを取り込むってのは俺も初めてだな…。
っというか一日に三匹…いや四匹?
そんだけ取り込むってのもなかなかしんどいな…。」
自分の腹に浮かぶ黒い影が、
音も無くピンク色の中に同化し消えていくのを眺めながら、
メタモンはにんまりと笑みを浮かべて歩いている。
彼は今ピンク色のままワルビルの姿に自身の体を【へんしん】させ、
堂々とした足取りで洞窟の外を歩いていた。
もうすっかり日も暮れてしまい、
紺色に染まった夜空には大きな丸い月がぽっかりと浮いていた。
「それにしても本当に俺メタモンに生まれてよかったぜ…!
やってきた奴を呑み込んでやるだけで力も頭も良くなるなんて、
このまま続ければこんな辺境の洞窟だけじゃなくて、
いつかどこかの街ごと呑み込んで王様とかにだってなれるかもな…ウシシ♪」
嫌らしく笑みを浮かべながら、
ワルビル達を取り込んだメタモンはお腹をさすった。
目を閉じれば今まで取り込んできたポケモン達の顔が浮かんでくる、
力の強いポケモン、頭のいいポケモン、空を飛べる奴に泳げる奴、
そんな色々な種類のポケモンを何十匹も取り込んだ自分に、
怖いものなんてもうないのかもしれない。
たとえいたとしても、隙を見てそいつも頂いてやればいいのだ。
力が強くなればだれにも負けないし、
頭がよくなればもっと効率のいい作戦やしかけだって作ることができる。
例えばあのワルビルを取り込んでしまった場所にだって、
いちいち洞窟の入口まで戻らなくてもいいよう、
きまった場所を叩けばすぐに外に出られる秘密の隠し扉が壁に隠してある。
ただのメタモンだったころには作ることも、
ましてや思いつくことだってできなかったものが今こうして作ることが出来るのだ。
こうやって様々な能力を持ったポケモン達を取り込んでいけば、
ただの野生ポケモンである彼がこの辺りを…、
いいやぜーんぶ支配することだって決して夢物語ではないのだろう。
メタモンはワルビルの姿で満足そうにお腹をなでると、
べろりとその太い舌べろで口の周りを舐めとった。
「へへっ、それにしても今日一日だけで結構な収穫だったよな♪
あのワニをのっとり損ねたおっちょこちょいは後で出してやるにしても、
三匹もいっぺんに取り込んでやれれば上出来さ♪」
今頃彼の体内では今日取り込んだ三匹が仲良く消化され、
彼自身の力として取り込まれているはずなのだ。
また一歩自分自身が強くなれたことに、
メタモンはにやにやと陶酔するように笑みを浮かべている。
歩き続けながら彼は考え込むように腕を組んだ。
たった今何匹も取り込みお腹も満腹なままだが、
もっと強くなるためには少しだって休んでいる時間はないのだ。
彼の力となり知識となる哀れな獲物を再びあの洞窟に誘い込むべく、
腹の中の犠牲者たちの住んでいた街に行き、
餌となる依頼書を張り出しに行かなくてはならない。
普段だったら彼自身がわざわざ洞窟の外に出向くことはないのだが、
いつも張り紙を出しに行っていたメタモンこそ、
あのワルビルを取り込んで奴であり、今はそいつも彼の体の中でお休み中。
他にも洞窟の中には何匹かメタモンが住みついてはいるが、
自分達のように他のポケモンを取り込んでいないただのメタモンであるそいつらは、
そもそも街自体に行ったことがないのである。
「ちぇっ…、
こうなるんだったら出し惜しみせず他の奴にも教えときゃよかったなぁ。
…いやいや、教えなかったからこそ俺一匹で思う存分強くなれたんだ。
こんな美味しい方法教えて真似されたら、俺のボスの座も危ういもんな…うん。」
面倒くさいが仕方がない、
結局自分で行くしかないということで、
彼は街を目指して洞窟を出ていたのであった。
「う~ん、次の獲物はどいつにしようか……。」
歩きながら頭に指を当て、
取り込んだ三匹の記憶を探るために目を閉じる。
その仕草はまるで昔のことを思い出すような感じだが、
そこに思い浮かべられる記憶は彼の見てきたものではなく、
ついさっき取り込んでしまった三匹が体験してきた記憶だ。
思い返すように流れる記憶の中に、
なにやらこの三匹と仲良さそうに話すポケモンの姿が映っている。
荷物を抱え楽しそうに話す青い犬の様なポケモン、
どうやらお互いに知り合いらしく、
そいつが何者なのか取り込んだ者達の記憶から次々と引っ張り出すことができた…。
「……この青い犬みたいな奴がよさそうだな。
他にも何匹か連れがいるみたいだしちょうどいいぜ♪」
次の獲物が決まったといわんばかりににっと笑みを浮かべると、
ワルビル姿のメタモンは森の中へガサガサと音を立てて入ってゆく。
この調子で歩けば夜になるころには街に着けるだろう、
そうしたらこのポケモンの姿のまま街をうろついてこの犬を探せばいい…。
人がよさそうな奴だし他の二匹が動けないとでも慌てて見せれば、
きっとすぐに釣れるはずだ…洞窟にさえ引きずり込めれば後は簡単だ。
「シシシッ♪」と悪そうに笑みを浮かべて、
いまにもスキップでもしそうなぐらい上機嫌で森の中を進んでいく。
もしも順調にいっていたら、
彼のたてた凶悪な作戦通りに話は進んでいただろう…だがその時、
急にその笑みが苦悶の表情へと陰った。
「…ん…? イデッ、イデデデデッ!!?」
突如彼のお腹に激しい激痛が走り、
腹痛にもだえるかのように体を前のめりに折り曲げ、
悲鳴を上げながら自分のお腹を押さえる。
ボコッボコボコとまるで何かが突きあげるように、
黒い影がお腹の中から浮かび上がり、
内部から彼のお腹を殴りつけるような痛みが走るのである。
そのあまりの痛みにメタモンはだらだらと汗を流しながらお腹を押さえつけ、
必死にその痛みを押し返そうとしている。
「グァッ…! イダダダッ…イタイイタイイタイッ!」
涙を流しながらお腹を押さえていたメタモンだったが、
そのお腹の部分がぐにょんと大きく膨れ上がると、
まるで粘土のように形を変えどんどん人型の様な姿へと変わってゆく…。
そしてその人型の何かは腕の様なものを伸ばしてメタモンの肩を押さえると、
ビタンッと勢いよく音を立てて地面にたたきつけた。
苦しそうに呻くメタモンがその物体を見上げると、
ピンク色だったその何かの形がぐにゃりと集まり、
見覚えのあるワルビルの姿へと変わっていった。
ワルビルの体は姿こそ前と同じ砂色の体のままだったが、
腕や足がところどころとろけたように形が崩れ、
まるで不完全な【へんしん】を見せられているような姿だった…。
「て…てめぇっ……!!」
「わりいな、二度も取り込まれるわけにはいかねえぜ…!」
自信のある笑みを浮かべ、
ワルビルはぐぐぐっとメタモンを地面に押し付ける。
メタモンの方も逃れようと体をよじるが、
必死に食いつくワルビルによって逃げられないでいた。
「くっそ、てめえなんででてこられて…!」
「難しいことじゃないさ、だって俺もメタモンなんだろ!」
ワルビルの姿のままのメタモンは、
必死に食らいつく本物の方を見て思い出したように苦虫を噛み潰す…。
そういえばこいつは曲がりなりにも彼と同じメタモンなのだ…、
ワルビルの部分を引きはがしてメタモンだけを取り出すことができるのなら、
こいつが自分の意思ででてくることだってできるのかもしれない…。
まさか自分と同じメタモンと戦うことなんてないと考えていたので、
思わぬ盲点であった…。
「どうやら考えが足りてなかったみたいだな、
あんだけ自慢げにぺらぺら喋っておいてカッコ悪いぜ…♪」
「て…てめえっ…!」
だがメタモンの方は心の中でにやりと小さく笑みを浮かべる…。
確かにワルビルは彼の中から這い出してはきたが、
ただ這い出してきただけである。
別にこいつが急に強くなっているわけではないし、
自分のように他のポケモンを取り込んで強くなっているわけでもない。
ならばさっきまでのやり方と同じだ…。
もう一度ねじ伏せて今度こそ完全に飲み下してやればいい!
そう考えるとメタモンは即座に体をぐにゃりと【へんしん】させ、
その体を再びこいつの仲間の姿へ………変わらなかった…。
いやそれどころか、
何度やってもこいつの仲間にも他のポケモンへも、
【へんしん】させることができなかった。
「…っ!」
「どうした…どうやらお得意の技が使えないみたいだな…。」
「お…お前…何しやがった!?」
動揺するメタモンにワルビルはとんとんと自分の頭を小突くように叩く。
「なぁに、ちょっと頭使っただけさ。
いや…どっちかっていうと口かな。」
「く…口?」
「いろんなポケモン達を取り込んで強くなったっていったって、
そもそもメタモンなんだから使う技はひとつしかないんだよな…。
それを封じさせてもらったのさ、俺が【いちゃもん】つけてな…!」
ピンク色のワルビルの姿のまま歯がいじめにされ、
メタモンはありえないとでもいうように目を丸くさせた。
【いちゃもん】、
相手に難癖をつけて一度使った技を連続で使用させることを禁止させる技。
通常いくつも技を持っているポケモンが相手ならねらいどころの難しい技だが、
元々のメタモンが使用できる技は【へんしん】ただひとつだけ…。
つまり今のメタモンは、
唯一使えるたったひとつの技を封じられてしまったということなのだった。
もちろん【へんしん】が使えないのでは、
他のポケモンの力を使うことも、
体の形を変えてこいつを取り込んでやることだってできないのだ…。
「くっそ、このやろ…ぐぇっ!」
力を封じられたことに動揺しながらも、
反撃しようとワルビル姿のメタモンは大きく口を開けて噛みつこうとするが、
組み伏されている状態からではスピードも威力もでず、
あっさりとワルビルに止められてしまう。
そして本物のワルビルはひゅんっと尻尾を振り上げると、
力強くメタモンにたたきつけバキィッと鈍い音が夜の森に響いた、
「我ながら自分と戦うってのも変な気分だけど、
お前だけは絶対に許さねえからな…!」
「ぐぅっ…!」
ギロッと睨みつけてくるワルビルに少しひるみながらも、
メタモンはすぐに臨戦態勢をとるために構えの姿勢をとる。
【へんしん】はできなくなってしまったものの、
幸い相手と同じワルビルの姿にはなっている。
ならこいつの使える技を使わせてもらうだけだ。
メタモンは構えの姿勢を取りながら、
シャリシャリと自分の爪をこすりあわせて【つめとぎ】を行う。
自分のこうげきと命中力を上げる技で、
少しでも有利な状況を作った方がいいと考えたのである。
「人の得意技封じたぐらいでいい気になんなよな、
今度こそボッコボコにして完全に取り込んでやるよ!」
バッと飛び上がるように地面を蹴り、
ワルビル姿のメタモンが本物めがけて【かみつく】を繰り出す。
ガチンッガチンッと牙同士が噛みあう音が響くが、
ワルビルの方はひょいひょいとその攻撃をすんででかわしてしまう。
かわされるたびに悔しそうに唸るメタモンを、
ワルビルはべーっと舌をだしてひょいっと距離をとった。
「ちっくしょう、避けんなよな!」
「ばーか! お前がウスノロすぎるだけだよ♪」
「ぬぎぎぎっ!」
挑発するようなワルビルの言葉に、
メタモンは頭から湯気でも出しそうなほどかーっとなり、
勢いに任せて殴りかかろうと飛びかかる。
だがワルビルはその飛びかかってきたメタモンの攻撃をすんででかわすと、
勢いよく振り上げた自分の尻尾を思いっきりメタモンの腹にたたきつける。
めきっと嫌な音がして苦悶の声を上げ、
メタモンはずるりと草むらの中に倒れ込んだ。
「がふっ…、げほっ…! イ…イデデ…!」
予想だにしないダメージにメタモンはただ苦しげに呻くことしかできず、
そんなメタモンをワルビルは再び馬乗りのように押さえつけ、
喉の奥から低い唸り声を鳴らしながら睨みつけいる。
「がふっ、な…なんで全然当たらんないんだよ…!」
「そりゃそうさ、技どころかくせとかまで俺と全く同じなんだ。
さっきまでの不意打ちみたいなのならともかく、
俺の技だって分かってるんなら、
どうやれば当たらないかぐらい分かるに決まってんだろ。」
「なに…!」
「確かにお前が言った通りだよ。
俺はあの二人に比べれば力も無いし、
うまい作戦考えられるほど頭も良くねえ。」
そういいながらワルビルはぐっと拳に力を込めて丸くすると、
大きく振りかぶってぐぐぐっと力をためる。
今から何をされるか察したメタモンはひきつったように目を丸くすると、
必死に逃れようと体をよじって暴れるが、
ワルビルにがっしりと押さえつけられた体はビクともしないようである。
「だからこそ弱いなりに頭使ってやってるのさ、
例えば尻尾攻撃に見せかけた【イカサマ】を使ったりとかな…!」
「【イカサマ】…!」
「そ、【イカサマ】…。
使う方が弱ければ弱いほど威力が上がるっていう俺にピッタリな技さ、
言ってて悲しくなるけどな…!」
自重気味に笑うワルビルだったが、
その目は強い光をたたえたまままっすぐにメタモンを見つめている。
その瞳に見つめられたメタモンはさっきまでの自信はどこにいったのか、
怯えるように身をすくませて微かに体を震わせている。
【イカサマ】、
ワルビルの言うとおり使い手の攻撃力よりも相手の方が強い時に、
その威力が上がるというトリッキーな技である。
だがいくら【つめとぎ】で力を上げたとはいえ、
たった一発まともに受けただけでここまでダメージがあるだろうか…?
「お前の体に一度取り込まれたときに感じたよ、
俺達以外にも何匹も何匹もポケモン達を取り込みやがって…。」
その言葉にメタモンはぴくっとうつろな目でワルビルを見上げた。
もし…もしも自分の中に取り込んでいるポケモン達の力、
強いポケモン達の力に【イカサマ】の力が反応していたとしたら……。
「ひぃ…う…うわぁっ…!」
「一度だけ言うぞ、
いますぐお前の中に取り込まれてるポケモン達を解放しろ…!
じゃないとさっきの尻尾よりもきつい一撃を食らわせてやる。」
「ま…待ってくれよ…!
そ……そんなこと言われたって!!」
「やっぱり…無理だっていうんだな…。」
「ひっ…! ゆ…許してくれよ…!」
「俺がここで許したって、取り込まれちまった奴らは元に戻らないんだろ…?」
「そ…それは……。」
そう、そんなこと言われたってメタモン自身にはどうすることもできなかった。
今まで取り込んできたポケモン達も、
そしてさっき取り込んだこいつの仲間だって、
もうとっくに消化されて彼の体に完全に取り込まれてしまっているのだ。
同じメタモンだったからこそ分離できたこいつならともかく、
すでに消化されてしまったものは、
どうやったってもとの形で出すことなんてできないのだ…。
メタモン自身にもどうするこてはできない、
それを感じ取ったワルビルはふぅぅっと息を静かに吐くと、
ギロリとメタモンの目を射すくめた。
「いいか、強くなりたいって考えるのは自由だ。
だけど他のポケモンを犠牲にしなきゃ強くなれないっていうんなら、
俺は絶対にそんな強さなんかいらない。」
「ひぃぃっ…!」
「この一撃はお前が取り込んだ奴らからのお返しだ、
こいつでちったぁ反省するんだな!!」
そう大きな声でメタモンに一喝すると、
ワルビルの渾身のパンチが自分と同じ姿をしたメタモンの腹に振りおろされた。
そのあまりの衝撃に体をくの字に曲げたメタモンの口から、
「ぐぇっ」と声とも音ともとれるものが漏れると、
そのままぐったりと四肢を伸ばしたまま気を失い、
ぴくりとも動かなくなってしまった…。
後に残されたのは疲れたように荒く息を吐くワルビルだけで、
はぁはぁとやり切ったというように地面に手を突いていた…。
「ぜぇ…ぜぇ…。
…ちくしょう……本当に少しは反省しろよな…。」
しゅううっと音を立てて元の姿に戻って行くメタモンを見ながら、
ワルビルは責めるような…だけども悲しそうな目でその光景を睨む。
ゴウカザルやリングマ、
それに他の取り込まれてしまったポケモン達の仇はとれたかもしれない…。
だけどいくらそんなことをしたって、
彼らの命までは戻ってこない…。
それに今回はこいつを止めることができたが、
本当に反省したか分からない以上いつこの力を悪用されるとも限らない…。
ワルビルは目を閉じて静かに深呼吸をする…。
「……仕方ないか、
どうせもう…俺の方は手遅れなんだもんな……。」
ぐっと目を開けて何かを決心するかのように一度頷いた…。
「後始末…ちゃんとつけないとな…。」
そう静かに呟くと、
ワルビルは気を失ったメタモンに手を伸ばし、
その体を水をすくい上げるかのようにそっと抱き上げた。
※ ※ ※ ※
月の出る夜の森の中、
一匹の小柄な体のポケモンがぐわっと大きく口を開けると、
手に持っていた何かを口の中に滑り込ませ、そのままゴクンと呑み込んだ…。
苦しそうにゲホゲホと少しせき込みながらも、
呑み込んだ塊が喉を通り過ぎると、
小柄なポケモンは少しずつ呼吸を整えて、
お腹に手を当てながら集中するように動かなくなる。
やがてそのシルエットがまるで闇に溶けるようにぐにゃりと崩れ、
水のようにとろりと地面におちて水たまりのように広がると、
次第に森の中から動きがなくなり…そして静かになった…。
お絵かき&ポケモンバトル交流のどちらも行っておりますので、
お気軽にご参加くださいませです!
また絵茶会開催中はこの記事は連絡用の記事にご使用できますので、
絵茶会には出れないけれどもポケモンバトルは希望という方は、
この記事のコメントにて
『名前、ゲーム内ニックネーム、ともだちコード、何時から何時の間にワイファイクラブにいるか』を
お知らせくださいませです!
(ともだちコード名簿に登録済みの方は、時間だけ書くいていただければOKです。)
今回は試験的に絵茶会終了後も記事は残してみます、
連絡・お知らせ等のコメントを残した方で個別に非表示にしてほしいという方は、
お気軽に管理人までお申し付けくださいませ。
(なんか違くない?
(気のせい気のせい
去年捕食組、その前が被食組と来たので、
今年はおなじみのこのコンビで描いてみましたです。
べ…別にネタが尽きたからこのコンビでいいかとか思ったんじゃないんだからね!
(正直におっしゃい。
(ネタ切れサーセン。orz
例年よりもちょっとサイズのちっちゃいハロウィンイラストですが、
久しぶりにもぐもぐしてやったのでこれでいいのだ。
最近取り込み絵ばかりで体内絵とか喉元ごっくんな絵を描けなかったせいか,
描いてる最中すっごく楽しかったです♪(ウフフフフ
最近純粋な丸呑み絵が書きたくてウズウズが止まらねえだ!
(いいからさっさと小説とリク企画に取り掛かれ。
(……はい。(・ω・`)
絵茶会のログイラスト集でございます。
管理人は基本的にオリキャラであるキャンバス君しか描いておりませんので、
オリキャラやオリ設定が苦手な方は閲覧ご注意です!
「うああ……あああ……。」
「その様子だと…本当に知らないみたいだな。」
ぶつんと見えていた光景が唐突に途切れると、
俺はどさりと崩れ落ちるように地面に座り込み、
見降ろすメタモンを茫然と見つめる…。
それに対してぽりぽりと頭を描くようなしぐさをしながら、
リングマの姿をしたメタモンはめんどくさそうに俺を見降ろす。
さっきまでのイライラとした様子はもう消えていたが、
反面俺のことをどうしようかと品定めするような目つきだ。
「言っただろ、俺達メタモンは取り込んだ奴の記憶も頂けるって。
おんなじ原理で俺の見た光景をそのまんまお前に見せてやったんだ。」
「……。」
「そうそう、言っとくけどな…♪」
何も反応しない俺に対し、
メタモンはちっちっちと指を振って俺に詰め寄り、
その指でとんとんと俺の頭を軽く小突きながら、
ねっとりとしたからみつくような声で口を開く…。
「相手に自分の記憶を見せるなんてできんのは俺と同じメタモンにだけだ。
普通のポケモンにはやったことねえし多分できねえ、
お前に俺の記憶が見えたってことは……分かんだろ?」
「……。」
「お前がそのワニを取り込んでそいつの記憶と姿を頂いた、
そしたらそいつには他にも仲間がいることが分かったわけだ。
だからそのお仲間もまとめて頂いてやろうと思いついて、
お前が連れてきたそいつらを俺が頂いてやった。
…どうだ思いだしたか?」
信じられないことの連続で、
頭の中がどうにかなってしまいそうだった。
俺が…メタモン。
ゴウカザルやリングマを取り込んだこいつらと同じ…メタモン。
そんなはずはないと必死に頭の中で否定する、
だって俺は俺だ、メタモンなんかじゃ断じてない!
その証拠に偽物なんかじゃない、
ちゃんと今まで生きてきた思い出も何もかも覚えてる!
だってほら…、思いだしてみろよ…!
今朝だってゴウカザルやリングマと会って…、
そうだ、ルカリオにも会った!
ルカリオがなんか荷物持ってたり、
ゴウカザルやリングマに怒られたりもした!
ほら、大丈夫、全部覚えてる!
そうだよ、それにその前だって………その前だって……。
あれ…?
その前って何してたっけ…、
やだな、こんなときにど忘れなんかしてる場合じゃねえってのに…。
ルカリオと会う前に確か街をぶらぶら歩いていて…、
その前は…あれ…何してたっけ俺……?
思い返してみるまで気づかなかった。
自分の記憶がぷっつりと途切れていること…、
ルカリオと会ってその後みんなで話したその時までは思い出せる。
でもそれ以前のことがまるで霧でもかかったかのように思いだせなかった、
厳しかったギルド見習い時代のことも、
初めて探検した時のわくわくした気持ちのことも…。
何も…何もかもが霞んだようにでてこなくなっていた…。
なんで…なんでだよ…!
「そんな…俺…俺は…。」
ガンガンと痛む頭を両手で抱え込み、
必死に自分の思い出を思い出そうと頭を振り絞る。
そんな俺を目の前にいるメタモンが射すくめるような眼で睨みつける。
「信じたくねえって感じだな…、
でもお前がメタモンだっていうのは間違いないぜ。
現にお前の匂い、
この洞窟に入ったころよりもどんどん俺達に近くなってるしな。」
「………う…うう。」
メタモンになる。
ゴウカザルやリングマが呑みこまれた時のあの悲しみや、
今まで一緒に冒険してきた思い出も何もかもを失くして、
この暗い洞窟の中に潜んで獲物を待つだけのメタモンに…。
「嫌だ……。」
「ん…?」
「そんな、そんなの嫌だぁぁぁ!!!!」
俺は無我夢中でメタモンにつかみかかった。
戦略も考えも何もないままに、
気が付いたら叫びながら奴の胸倉に飛びかかっていた。
なりふり構わない俺の突進に流石のメタモンも一瞬ひるんだように引いたが、
すぐに俺の体を大きな腕で取り押さえると、
そのまま自分の腹に押し付けるようにして締めあげた。
「っ、驚かせんなよこの野郎…!」
「がっ…がぁぁあっ…!!」
「なんかの偶然で取り込まれたお前の方の記憶が残って、
俺達の仲間だったことを思い出せないみたいだな…!
こんなのは初めてのことだが、
安心しな…俺が何とかしてやるからよ…!」
メタモンはにぃぃっと笑みを浮かべて締めあげる腕に力を込めると、
俺の体に何か違和感が走った…。
押さえつけられる俺の体にはメタモンのプニプニした肌が触れているが、
その肌が急に普通の水のように弾力が弱まり、
そのせいか腹に感じる圧迫感が弱まっていくのだ…。
何が起こっているのかと俺は自分の腹の方を見降ろし、
そしてギョッと目を見開いた。
そこにあったのは、
俺の腹と腕がメタモンのピンク色をした腹の部分に押しあてられたまま、
ずぶずぶとその中に沈み込んでいる光景だった。
呑み込まれた部分が徐々にピンク色と同化していき、
体内に呑まれた体の部分の感覚がマヒするように痺れ、
じんわりと生温かい感触が体を包み込んでいくのを感じた…。
「あ…あぁ…うわぁああっ……!」
「そんなに怯えんなよ、取り込まれるのは二度目なんだろう…♪」
必死の形相で呑まれてい体を引き抜こうと腹や腕に力を込めるが、
吸いこまれていく体はぴくりとも動かない…。
もがいても暴れても逃れることはできず、
ただただ自分の体がメタモンの中に引きずり込まれ、
そのたびに体中の力がどんどん抜けていくのだ…。
ぐにゅぐにゅと柔らかいメタモンの体が蠢き、
腹だけでなく肩や足、
そして長い顎まで呑み込まれるのにはそう時間はかからなかった。
あっという間に全身を呑み込まれ、
ワルビルはメタモンの中にすっぽりと収まってしまう…。
無理やり閉じられた口も少しずつ強引にこじあけられ、
悲鳴すら吐き出させずそこからもメタモンの体が侵入していく。
柔らかく味のない塊が止まることなく喉を鳴らして胃袋に落ちていき、
むにゅむにゅと揉まれるような気味の悪い感触が体中をはいまわった。
最初はもがくようによじらせたいた体から徐々に力が抜けていき、
閉じようと力を入れていた顎もだらりと弛緩するようにゆるみ、
まるで水の中を漂っているかのような感覚に包まれた。
「ごぼっ……ごぼぼっ…!」
「へへっ、そう暴れてくれんなよ♪
くすぐったくて仕方ねえぜ!」
息もできず体の動きがどんどん鈍くなってゆく…。
体内からメタモンの顔を見上げると、
リングマの姿のその顔はにんまりと笑みを浮かべていた。
「お前には一度俺の中でとろけてもらうぜ…♪
安心しろよ、
この邪魔なワニの部分だけ俺が取り込み直してやって、
メタモンのお前はちゃんと出してやるからよ…♪」
そうメタモンはケケケと楽しそうに腹の中の俺に声をかけてくる。
ぼーっとする頭でその言葉を聞いていたが、
どうやら俺は完全にこいつに取り込まれてしまうということらしかった…。
抵抗しようにももう体のどこにも力が入らず、
頭の中がふわふわと不自然に優しいまどろみへと包まれていく……。
「ワニの方にとってもいいことじゃねえか、
俺の中にお前の仲間も全部入ってるんだからよ…。
それに、すぐに他の知り合いだって入れてやるぜ…♪
お前の記憶から強そうな奴をかたっぱしから頂いてやるさ♪」
「……。」
「そんじゃああばよ、俺の中でのんびりととろけてな…♪」
意識を失う寸前最後に見えたのは、
液体の姿へと戻りにんまりと楽しそうに笑うメタモンの姿だった。
それを最後に俺の視界は完全にピンク色の液体に包まれ、
ふっ…と眠るように落ちていった…。
※
眠い…それになんだか気持ちいい…。
自分の体が少しずつ少しずつメタモンと同化していき、
自分の中の記憶も同時に溶けて思い出せなくなっていくのを感じる…。
そうだ…俺…こうやって一度無くなったんだ…。
ゴウカザルから受け取った一つの依頼、
ただ洞窟の中を見てくるだけだっていう簡単な依頼で、
すぐに終わるだろうと高をくくってこの洞窟にやってきた。
…そして俺は一匹のメタモンに追い詰められ…呑まれた…。
その後どうなったのか…詳しいことは今も覚えていない…。
でもなんかの偶然かは知らないけど俺の意識は完全には消えないで、
だけど何してたのかも分からなくなって街まで戻って…。
そうして…ゴウカザルとリングマに会っちまったんだ…。
あの時俺が街に戻らなければ、
少なくとも二人まで犠牲になることは無かった…。
俺一人だけやられていれば、ゴウカザルも…リングマも…、
きっと無事でいられたんだ。
それだけじゃない…。
この洞窟に来てからも結局俺のせいで、
俺の不注意のせいで二人とも取り込まれてしまったんだ…。
俺のせいで……俺の…。
そこまで考えたところでふいに俺は誰かに頭をゴツンと殴られた、
驚いて…顔をあげて…そして…そして…。
『ゴウカザル…リングマ…!』
そこにはしょうがない奴だと言った様子で腕を組むゴウカザルと、
いつものように真一文字に口を結んで俺を見降ろすリングマがいた…。
メタモンなんかに真似しきれない、
俺の記憶の中にある姿そのままで二人はちゃんとそこにいた。
『二人とも…なんで…!』
そこまで言いかけたところで理解した。
ここはもうメタモンの体内の中、
先に取り込まれていた二人がいない方がおかしかった。
今はしっかりとした姿で俺を見つめている二人だけど、
その姿が時々ぶれるようににじんでいる…。
恐らく俺の時とは違って、
もう二人とも完全にメタモンに取り込まれるまで時間がないのだろう…。
静かにたたずむ二人を見て、
俺はぎゅっと拳を握りしめて深々と頭を下げた。
『ごめん…二人とも…。』
俺は懺悔するように二人に向かって話しかける…。
『俺…俺…今まで二人と一緒にいた…本物のワルビルじゃない…。
本当の俺はとっくに別のメタモンに呑まれて…、
今ここにいる俺はそのメタモンの【へんしん】でできた…
偶然記憶だけ残った偽物みたいなものなんだ…。』
二人は黙って俺の話を聞いている…。
いつも…いつだってそうだった、
俺が何か失敗とかして、
しどろもどろに謝っている時もこうやって静かに聞いていてくれてたんだ。
その思い出を覚えていることが、
今ここにいる自分の存在を確かなものにしてくれている気がして、
さっきまであんなに不安だった心が少しだけ落ち着いてくるのを感じる…。
『だけど…例え偽物じゃなかったとしても、
二人を巻き込んで…こんな目にあわせちまったのは俺のせいだ。
謝って許してもらえることでも…、
もう…謝るのだって遅すぎるかもしれないけど…本当に…ごめん。』
俺の目からこぼれる涙がメタモンの体に溶けて消えていき、
俺はぐしぐしと目元をぬぐって涙を拭く。
最後に謝ることができたよかった、
二人にきちんと自分の言葉で謝れて本当に良かった。
そうふっきろうとして二人を見ようと顔を上げたところで…。
思いっきりゴウカザルに鼻ぐいぐいとを押されていた。
『イデ、イデデデデッ!』
その痛みにゴウカザルの手を振り払い、
何をするんだと声を荒げて言い返そうとすると、
ゴウカザルは不敵そうに笑みを見せながら俺を見ていた。
痛む鼻を押さえて不思議そうに見つめ返す俺に、
リングマがぽんぽんと肩を叩き、そしてやんわりと首を振った。
「気にするな。」
二人の表情がそう語りかけているように見えた。
そして二人ともニッと明るい笑みを見せながら、
すぅぅっとピンク色の世界に溶けるように消えていった。
『……ありがとうな、ゴウカザル、リングマ…。』
もう俺のそばに二人はいない、
だけど…決して消えてしまったわけじゃない。
俺はすぅぅっと深く息を吸い込むと、
キッと見据えるようにこのピンク色の世界を睨みつけた。
このままこうしていれば、
俺もすぐ二人と同じところに行けるのかもしれない。
わざわざ今更抵抗したって意味なんてないのかもしれない。
だけどこいつを…この凶悪なメタモンを野放しにしておけば、
きっとまた俺達みたいな犠牲者が出てきてしまう。
だから俺は…まだ消えちまうわけにはいかなかった…。
『二人とも…ちょっとだけ待っててくれよな。』
そう小さく力強く呟き…、
俺の意識は再び緩やかなまどろみの中から抜け出していった…。
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