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『ポケットモンスター ブラックorホワイト』を使って、
絵茶会参加者さん同士でポケモンバトルなどの交流を行っていることがあります。
(必ず行っているというわけではありませんのでご注意を!)
ブラックorホワイトでバトルを行う場合、
「ともだちコード」というものをゲーム内で登録しないとお互いに戦うことができないため、
もしも絵茶会内にてバトルなどの交流をしたいというご希望の方は、
この記事内にて参加希望者様の「ともだちコード」を書かせて頂きますです。
あまり悪用されるデータでは無いかもしれませんが、
一応個人のデータなのでこちらへの登録は強制ではありませんです。
当記事へのともだちコードの登録及び削除のお申し出にはいつでもお答えいたしますので、
お気軽に管理人の方までコメントしてくださいませです♪
もしもこちらの記事に書いておくのが不安な方でバトル等に参加されたい方は、
絵茶会内でお申し出いただければその場だけでコードのやり取りをいたしますので、
管理人の方にお申し付けくださいませです♪
※
ワイファイ対戦及びトラブルについて
ワイファイ対戦には以下のものが必要です!
1、ワイファイ通信環境
2、相手の方のともだちコード
基本的に上の二つがあれば「ポケットモンスターブラックorホワイト」にある、
ポケモンセンター2階「wi-fiクラブ」(真ん中の受け付け)の中にて、
対戦することができます。
もしも中に入っても誰もいない、
もしくは特定の人が見えないという場合は次のことが考えられます。
1、他の方がwi-fiクラブ内に入っていない
→絵茶会開催時にバトル交流会を行っておりますが、
絵茶会のたびに必ず開催しているというわけではなく、
また絵茶会開始から時間がたってからバトル会を始めるなど時間も不定期です。
「wi-fiクラブ」に誰もいない場合はバトル会自体が始まっていない可能性がありますので、
絵茶会内のコメントにてお尋ねいただくか、
最新記事へのブログコメントにて管理人にお尋ねくださいませです。
2、自分もしくは相手の方が、
ともだちコードを入力し忘れているorともだちコードが間違っている。
→特定の方が見えていないという場合、
ともだちコードの入力に関してミスがある場合があります。
特定の方が見えない、自分の姿が他の方に見えていないというときは、
一度お互いのともだちコードが「ともだちてちょう」に入力されているか、
ご確認くださいませです。
3、自分のいる場所でワイファイ環境が整っていない。
→「wi-fiクラブ」を使っての対戦では、
必ずワイファイ通信の環境が必要となります。
ブラックorホワイト起動時のDS下画面にある「Cギア」右上にて、
wi-fi通信の電波状況が確認できます。
こちらのアンテナが全く立っていない場合、
現在いる場所がワイファイ通信に対応していない場合がありますので、
通信を行うことができません。
こちらについてはこちらで説明するよりは、
付属の説明書または任天堂様のホームページなどの方が詳しく説明されていると思いますので、
そちらをご参照ください。
ポケモン通信対戦にはさまざまなルール等がありますが、
基本的にはフリーダムで行わせて頂いております。
ワイファイクラブ内の対戦募集機能にて、
色々なルールで対戦相手を募集することができますので、
どうぞ色々な方との対戦を楽しんでくださいませです♪
※
以下の行為には注意してくださいませです!
1、明らかなマナー違反
→負けそうになったらの電源offとかやっちゃだめですよ!
2、対戦開始時や終了時のあいさつについて
→絵茶会のチャット機能などにて、
対戦関係のコメントをしていただくことはもちろんOKでございます♪
(開始時の「お願いします!」や対戦中の悲鳴や掛け声などの反応など。)
ただし絵茶会自体のチャットも同時進行で流れておりますので、
あまりに連続投稿をしすぎてログを流しすぎるのはご遠慮くださいませです!
3、改造機関連のトラブル
→改造機などの使用で、
明らかに能力のおかしいポケモン
(いわゆる個体値・努力値などの限界突破、習得するはずのない技を覚えているポケモン)や、
現在ゲーム内にて手に入らないポケモンを使用するのは禁止です!
ただし改造機の使用経歴自体については当ブログ内においては特に言いません。
改造機に関しては以前少し話題が出て、
私自身どんなことができるのだろうかと購入し調べてみました。
いくつかそれらを試してみて、
また改造機を使用したことある方と意見の交換などもしたりして、
育てる時間がとりずらい環境にある方がその時間を短縮できたり、
どうしても見つからない道具が見つけられたりと、
プラスな考えも持つことができました。
もちろん公式戦では使用できなかったりバグが発生するなどのトラブルもありますのが、
個人で楽しみ節度を守った使い方ができるのならば、
一概に否定できる機器ではないのではないかと私は考えております。
この意見はあくまでいち使用者である私の主観であり、
改造機関連に関しては人それぞれに考えを持っていてとてもデリケートな問題だと思います。
なので改造機の使用については、
事前に申し出をするなど特に制限をつけたりはいたしませんが、
使用することにつきましては全て自己責任にてよろしくお願いいたします。
上記のトラブルに関しまして何か問題のある場合には、
管理人にてお申し付けください。
注意とうを経てどうしても改善が見られない場合は、
こちらの記事にて「ともだちコード」の削除呼びかけなどをさせていただきますので、
あらかじめご了承くださいませです。
さまざまなルールを書かせて頂きましたが、
もちろんこれは当ブログ内の交流会バトルに関してだけのことで、
公式様ならびに他のポケモンバトルのメンバーを募集しているサイト様などでは、
その場所その場所で定められたルールが決められています。
他の場所もしくは当ブログにて許されていた行為が、
別の場所では通用しないという場合がありますので、
しっかりとお目通しされることをお願いいたしますです!
特に管理人側からわんわんいうことはないと思いますので、
皆様個人個人でマナーを守った快適なバトルをお楽しみくださいませです!
(・ω・)
※ ともだちコード用 テンプレート ※
名 前:
ニックネーム:
ともだちコード:
よく使うポケモン:
好きな持たせる道具:
好きなわざ:
一言メッセージ:
※
各種項目の説明 (必)がついているものは必ずご記入ください!
名前(必):絵茶会内やよく使う名前をどうぞ
ニックネーム(必):
ゲーム内での名前をどうぞ
ともだちコード(必):
※※※※ー○○○○ー▼▼▼▼ のようにどうぞ
よく使うポケモン:
自分がよく使ってるポケモンだなーと思うものをどうぞ
好きな持たせる道具:
この道具はよく使うかなっていうのをどうぞ
好きなわざ:
この技は外せないかな~というものがあったらどうぞ、
相手はその技を警戒するかも…w
一言メッセージ:
お好きなメッセージをどうぞ
8月の終わりに二日間連続で開催させて頂いた、
絵茶会のログイラスト集でございます。
管理人は基本的にオリキャラであるキャンバス君しか描いておりませんので、
オリキャラやオリ設定が苦手な方は閲覧ご注意です!
というかもう始まっておりますが、
二日連続で絵茶会開催させて頂きます♪
ポケモンホワイト・ブラックでの対戦なども行う予定ですので、
お暇な方はお気軽にご参加くださいませです♪
(対戦にはともだちコードが必要です、
ともだちコードを書く場所は絵茶会のキャンバススペースに用意いたしますので、
対戦したい方は管理人までお気軽にお尋ねください♪)
(・ω・)
どれくらいの時間がたったんだろうか…。
外の光の入らないこの洞窟の中では、
もう時間の感覚すらよく分からなくなっていた。
もう夕方ぐらいにはなったのかな…?
もしかしたら真夜中なのかも。
足は筋肉痛みたいに熱を持って痛むし、
喉もからからに乾いて舌がスポンジみたいになっている…。
でも疲れと緊張のせいか、腹だけは全然減ってこない…。
俺…まだ生きてるよな…?
………うん、まだなんとか生きてるらしい…。
足を投げ出して、
岩壁に背を預けるようにもたれかかりながら、
俺はぐったりと洞窟の中で座り込んでいた。
真っ暗な洞窟の中で俺の呼吸音だけが静かに反響するように響いている、
たいまつはリングマのバッグに残っているけどつける気にはならない。
こんな暗闇で明かりをともせば、
それこそあいつがすぐにここを見つけてしまうだろう。
もっともただの時間稼ぎにしかならないだろうが……。
ここは洞窟のどのあたりなんだろうか?
道順も確認せず滅茶苦茶に走ってきたから、
もう出口がどっちの方向なのかも分からない…。
袋小路みたいに行き止まりになったこの場所には、
誰かの探検バッグが中身をぶちまけられたように転がっている。
恐らくこのバッグの持ち主も、あいつにやられた犠牲者の一人なんだろう…。
俺はこの洞窟から出ることができるんだろうか、
それともこのバッグの人みたいに奴に呑まれるんだろうか…。
洞窟を下ったり登ったりした感触はほとんどなかったから、
壁伝いに歩けばどうにか出口まで戻れるかもしれない、
だけど……。
「リングマ……ゴウカザル……。」
喉の渇きのせいでかすれた声で大切な仲間の名前を呟く。
今あの二人がいてくれたらどんなに嬉しいか、
強さなんて抜きにしたってどんなに心が落ち着くか…。
でも…もう二人はいない。
ゴウカザルも…そしてリングマも…あいつに…。
ぐすっと目からこぼれてきた涙を指ですくい上げて、
漏れそうになる嗚咽を押し殺すように奥歯を食いしばる。
でもあふれ出てくる感情までは歯で食いしばったって止められなかった。
喧嘩したりはたかれたりしたこともあったけど、
本当に大切な…大切な仲間たちだったんだ。
なのに…こんな別れ方なんてあるかよ!
もっとたくさん話したり、たくさん冒険したり…。
「もっと…一緒にいたかったよぉ…。」
投げ出した足を抱えるように腕で覆い、
俺は顔を抱えた膝の間にうずめると、
ひっくひっくと泣きじゃくる子供のように喉を鳴らした。
…その時だった。
……ぺたっ…ぺたっ…ぺたっ……。
俺の押し殺した泣き声に混じって、
何かが近づいてくる音が聞こえてきた…。
その音にぴくっと身を震わせながら、
ゆっくりと顔をあげて洞窟の奥の暗闇をひきつった顔で凝視する。
遠くの方で聞こえていた足音が少しずつ少しずつぺたぺたと近づいてきて、
ぴたっとその足音がすぐ近くで止むと、
ぬぅっと岩壁の角から見知った顔が恐る恐るという様子でこちらを覗き込み、
俺の姿を見つけた…。
「よかった、ここにいたのか…!」
ふぅっと安堵の息を吐きながらこちらに姿を現すと、
そいつは俺の方に近づいてくる。
その表情は安心したと言わんばかりに静かな笑みを浮かべ、
俺に立ち上がれと差し出すように肉球のついた大きな手を差し伸べた。
「お前が無事で本当に良かった。
あの後何とか隙を見て奴の体から這い出ることができたんだ、
もちろんゴウカザルも一緒にな…!
ゴウカザルの方は先に出口を確保しているはずだ。
ほら、早く一緒にここから逃げ…。」
「…黙れ。」
笑顔のまま話しかけてきたそいつとは対照的に、
ギロッと睨みつけるように言う俺の様子に、
そいつはきょとんとした表情になる。
最初はなんでそんなことを言うか分からないと言った顔だったが、
すぐに「ああ…。」と合点がいったように笑顔に戻る。
「俺が偽物と思ってそんな怖い顔してるのか…。
安心しろ、俺は間違いなくほんも……っ!?」
「それ以上…リングマの声でしゃべんじゃねえ!!」
ビュンッと奴の顔めがけて【どろかけ】の泥が放たれ、
すんでのところで顔をそらせ回避する。
ぎりりっと牙を鳴らしながらそいつを威嚇し、
俺はふーふーと興奮したように鼻息を鳴らす。
俺の言葉にそいつは一瞬無表情に俺の目を見返すが、
さっきのようにまたふぅっと息を吐いて…、
そしてにぃぃっとあの人を小馬鹿にするような笑みを浮かべた。
「どこで分かった?
…つっても警戒してない方がおかしいか…♪」
「…俺の知ってるリングマはてめえみたいにぺらぺらしゃべることも、
うわべだけ笑うなんてこともしねえよ…!
それにあんな気味悪い足音もな…!」
「足音か…それは気にしたことなかったな、
今度からは気をつけねえと。」
強く奴の顔を睨みつけながら、
俺はぎゅっと拳を握りしめて戦闘の構えをとる。
たいしてメタモンの方は余裕そうな表情で悠然とたたずみ、
リングマの姿のまま俺の方をにやにやと見ていた。
そっくり…いや瓜二つといっていいぐらい、
目の前に立つメタモンはリングマの姿を写し取っていた。
大柄なその体つきや、
ちょっと特徴のある目の形もいつも俺達と一緒にいたリングマと同じ…。
だけど漂わせてる雰囲気や今の奴の表情からは、
あの頼りになる仲間の影など微塵も感じられなかった。
背後から不意を突かれないようじりじりと壁を背にしながら、
メタモンに向かって声を荒げる…。
「…返せよ!
リングマもゴウカザルも…今すぐ二人を返せよ!!」
「それが無理なことぐらい分かってんだろう、
…っていうかいつまでやるんだこんなことを…よっ!」
「……!?」
メタモンは俺に話しかけながら少し体勢を低くすると、
その姿を素早くぐにゃりとゴウカザルに変え、
俺に向かってタックルするように飛びかかってきた。
一瞬にして距離を詰められて反応の遅れた俺に、
奴の肘鉄がメキッと音を立てて俺の腹に食い込み、
「がはっ…!」と痛みと呻き声が混じったような音が俺の口から洩れる。
あまりの痛みに腹を押さえ逃げようと横に飛ぼうとするが、
それも先に読んだかのように奴はくるんと回転するように俺の側面に回り、
一瞬形が崩れてぐにゃんとリングマの姿に戻ると、
力を込めたパンチが俺の下あごに容赦なく叩きこまれた。
受け身もなにもあったものではなく壁にたたきつけられ、
バキィッと嫌な音が洞窟の中にこだまし、
俺の体はずるっと壁に沿って落ちてうつぶせに倒れ込んだ。
口の中を切ったらしく鉄みたいな嫌な味がこみ上げてきて、
リングマの姿のメタモンがその大きな足で、
俺の背中をぐいっと踏みつぶしていた。
歯が立たない悔しさにぎりりっと牙をきしらせるが、
そもそもこいつに勝てる理由がなかった…。
俺と他の二匹…リングマ・ゴウカザルとの決定的な能力の違い、
悔しいけどそれはバトルの能力だった。
野生ポケモンであれおたずねもののポケモンであれ、
問答無用で叩きつぶしてきた二匹とは違い、
元々俺は直接戦うなんてことよりは、
洞窟の中の探索や仕掛けを解いたりする方が得意だった。
ダンジョンの道なりや内部の構造を、
種族がら他の二匹よりは発達した目と耳で調べ、
戦闘以外で二匹をサポートするのが俺の仕事。
もちろん全く戦えないということは無いが、
スピードならゴウカザル、パワーならリングマと、
残念ながらどっちも二匹に比べたら悲しいくらいに敵わなかった。
その二匹が勝てずにやられてしまった相手…。
さらに物理攻撃まで効かず、
今まで取り込んだ犠牲者たちの力まで使えるあっては、
どうやったって俺に勝てる要素は全く残っていなかった。
「ぐふっ……げほっげほっ!」
熱を持ったように強く痛む腹と顎を両手でかばうように押さえ、
俺は四つん這いにはいつくばったまま悔しくてただただ地面を見つめる…。
近くにいるメタモンの気配にぎりっと睨むように顔を上げ、
さっきと同じように奴の顔めがけて【どろかけ】を放つが、
見透かされていたかのように奴はひょいっとそれをよけてしまう。
そしてそのまま奴は俺の首をつかむように体ごと持ちあげ、
ビタンッと音を立てて壁に押し付けられた。
「かっ…はっ…!」
「たくっ、ちっとはおとなしくしろよな。」
力なく四肢をだらりと垂らしている俺を、
リングマの姿のメタモンは睨みつけるように俺を射すくめる。
唯一の遠距離攻撃の【どろかけ】も、
宙にいるこの状況ではもう放つことはできなかった。
…いや、それ以前に奴に直接つかまれてしまっているこの状況。
いつそのまま奴の体内に取り込まれてもおかしくないこの状況では、
完全に俺の詰みなのだろう…。
メタモンのその目に「お前には何もできない」と言われているような気がして、
知らずに俺の目からまたぽろぽろと涙がこぼれていた…。
「ちくしょう……ちくしょう……!」
「…あのなぁ、本当にいつまでこれ続ける気なんだ?」
「……え…?」
「…もうあいつらいなくなったんだし、
いつまでこれを続けるのかって聞いてんだよ…!」
『何のことをいったるんだこいつ…?』
言葉の意味が分からず俺は訝しむようにメタモンを見る。
メタモンはリングマの声と姿のままイライラとした表情で俺の顔を睨みつけ、
少し語気を荒くしていた。
「…な…なにをいって…?」
「…はぁ?
お前なぁ、忘れっぽい奴だと思ってたけどどこまですっとぼけてんだよ…。
作戦どおり獲物も頂けたのに、
一人で勝手にこんなところまで来たと思ったらさぁ…。」
「…だ…だから作戦ってなんだよ…!
それに、今日初めて会ったお前に忘れっぽいとか言われたく…ぐぁっ!?」
意味が分からず困惑する俺にかまわず、
メタモンはやれやれと言った様子で首を振りながら口を開いてくる。
だがいくら言われても俺はこんな奴と会ったことも、
ましてや作戦だなんだって建てたことだってない。
だがこちらも声を荒げて否定したところで、
メタモンの腕が再び強く俺の体を壁に押し付けてきた。
ギリリッと嫌な音を立ててしまってくるメタモンの腕に、
宙ぶらりんな足をバタバタと動かして逃れようとするが、
そんな俺を疑るような目つきでメタモンが顔を近づけてくる。
「……おい、お前本気でそんなことを言ってるのか?
初めて会うも何もそんなわけあるわけないじゃねえか。」
「な…なんで俺がお前と会ってなくちゃいけないんだよ…!」
「なんでってお前……。」
「俺と同じメタモンじゃねえか。」
当たり前だろとでも言わんばかりのメタモンの言葉に、
俺は石のように硬直したまま目を見開き奴の顔を見つめる。
今こいつはなんて言った?
俺が……メタモン…?
訳のわからないその言葉に意味も分からず動揺する俺に、
奴はむっとしたような表情で口を開く。
「何不思議そうにしてんだよ、
お前があいつらをここまで連れてきたんだろ?
そういう作戦だったじゃねえか。」
「俺が…ゴウカザルとリングマを…?」
「…一週間前に今お前が変身してるそいつを取り込んで、
そいつが街に他の仲間がいるって記憶を持ってたから
利用してやろうって作戦だっただろうが。
何言ってんだお前。」
「…う…嘘だ! そんな…でたらめ……っ!?」
混乱したように声を上げる俺を地面に落とし、
メタモンはいよいよ勘ぐるような目つきで俺の顔を覗き込んでいる。
しばらくそうしていると、
メタモンは軽く力を抜いたようにすぅぅっと元のピンク色に戻り、
見た目的にはピンク色のリングマの姿になった。
そしてリングマの形の大きな手を倒れている俺の頭に伸ばすと、
ぷにっとするその手のひらを俺の額に当ててきた。
その瞬間、
エスパーポケモンの技でも食らった時みたいに一瞬頭が強く揺さぶられ、
チカチカとした光の中に何かの光景が見えてきた…。
※
「うぎゃぁぁぁ…!!! た…助け……あぐっ……うぁぁぁ…!!!」
真っ暗な世界の中でどこか聞きなれた声の悲鳴のようなものが響き、
視界の端に誰かが転倒するように転がった。
誰だろうと近づいてみようとしてみるが、
俺の体はピクリとも動こうとしない。
うまく例えが見つからないが、
まるで夢の中でどんなに動こうとしても体の自由がきかず、
見ている映像だけが勝手に進んでいってしまうのと似ていた…。
たいまつの明かりだろうか、
オレンジ色の炎の揺らめきが跳ねるように地面に転がりほのかに周囲を照らす。
あたりの地面には細かな道具もぶちまけられるように散乱しており、
地面に転がる小型の探検バッグが、
いまいるこの袋小路の場所に落ちていたものと一緒のようであった…。
その誰かはうつぶせに倒れたままもがいていたが、
必死に立ち上がろうとしたその時、
そいつの体にピンク色をした液体が大量に覆いかぶさってきた。
それはここまで何度も見てきたメタモンの攻撃と同じだった。
液体の形をしていたメタモンは触手のように体をうねうねと変形させ、
そいつの体を何重にも巻きつけるかのように呑み込んでいく。
肩や腹にまとわりついたそれを引きはがそうと、
そいつは腕を振り回しブンブンと体をふるっていたが、
あっという間にわずかに自由だった腕も足もメタモンの中に取り込まれ、
まるで高い高いのように宙高く持ち上げられた。
「ひぃ……く…来るなぁ……ぐぅっ…ごぼっ…ごぼぼっ!!」
涙交じりの声で悲痛に叫ぶ獲物を、
いたぶるかのようにピンク色の触手がにょろにょろと蠢いていると、
ギュウッと一斉に残ったそいつの顔に覆いかぶさり、
絶叫が途中で溺れたようにくぐもった声に変わった。
全身をメタモンのピンク色の体に取り込まれた被食者は、
それでも必死にもこもこと体内で四肢をばたつかせるが、
その影が徐々に徐々に溶けるように薄くなってゆく…。
「ぶぁっ…あがっぐぅぅっ…がああああああぁぁっ………っ……。」
メタモンの体内からあがくような最後の断末魔が響きわたると、
「ゴクン…」という音とともにその姿がメタモンの中にかき消えた。
いままで起きていた騒ぎが嘘のように静まり返り、
シュルンと小さくまとまったメタモンは音も無く地面に落ちると、
もこもこと蠢き姿を形成し始める…。
あっというまに液体だったメタモンの姿が立体的に変化し、
足…腹…腕と生き物の体の形をとっていくと、
ヒョロっとした二足歩行のポケモンの姿に【へんしん】した。
姿を変えたそいつはしばらくきょろきょろとあたりを見回すと、
何かを発見したように首を上げ、
ぺたぺたと足音を立ててこちらに近づいてきた。
そしてトントンとノックするように俺の体…、
正確には俺の視界がある辺りのお腹の辺りを叩く。
すると俺の視界はゆっくりとと回るように横へと転がり、
洞窟の中にうっすらと光が差し込んできた。
外の光…朝日か昼の光かは分からない、
どうやら俺がいる場所の裏はそのまま外へとつながっているらしい…。
だがそれを純粋に喜ぶことは今の俺にはできなかった。
なぜならそうやって照らされたそのメタモンの姿は…。
静かな笑みを浮かべたワルビルの姿だった。
ゴウカザルの姿をした何かが笑みを浮かべたのと同時に、
そいつは力任せに【ほのおのパンチ】を繰り出し、
”ぶんっ”と風を切る音とともにワルビルの頬を殴りつけた。
受け身もとることができずに直撃を受けた体は、
勢いよく自分と反対の方向に吹き飛ぶと、
大きな音を立てて壁に叩きつけられる。
叩きつけられたワルビルの口からごぼっと空気の塊が洩れ、
崩れる落ちるように体が壁をつたい地面に落ちた。
「がはっ…う…げぇっ…!?」
「……くらえっ!!」
ワルビルの口からうめくような声が聞こえてくる。
ダメージは追っているみたいだが何とか無事なようだ…。
それを確認すると同時に、
俺は近くに転がる大岩に両手をかけ、
「ふんっ」と力を込めると【かいりき】の技によってその大岩を持ち上げる。
「……ワルビル、行くぞ!」
そう大きな声を上げながら、
倒れているワルビルの方を見ているゴウカザルに向かって、
”ぶんっ”と風を切り容赦なく大岩を投げつけた。
ワルビルの方は痛みで顔をしかめていたが、
必死に転がるように体を回転させてなんとかゴウカザルから離れる。
無事に逃げられたことに安堵しながら、
確実にダメージは与えられたと確信し、
飛んでいく大岩を見て自分は小さく笑みを浮かべた。
…だがゴウカザルの姿をしたそいつは、
勢いよく飛んできた大岩にちらりと目を向けると、
ワルビルを殴りつけた拳をそのまま素早く横に薙ぎ払い、
裏拳の要領で飛んできた岩を粉々に砕いてしまった。
「……っ!」
「なっ…!?」
砕かれた岩の破片に目をむき絶句し、
自分と同じぐらいワルビルも目を見開いて驚いていた。
ほとんど俺の身長と変わらないぐらいの大きさのあった岩が、
腕一本で…しかも背後からの不意打ち攻撃を軽々と払いのけられてしまうなんて、
普通に考えたらありえないことであった。
だけど、俺達が驚いているのはそのせいだけでは無い。
「……いまの動きは。」
「ゴウカザルの動きと……似てる…?」
ごくっとつばを飲み込みながら呟く自分に対して、
ワルビルは痛めた体をかばうようにして起き上がりながら、
二匹で挟むようにゴウカザルの姿をしたそいつを警戒しながら囲む。
見た目は自分なんかよりももっと華奢で、
見比べればどちらかというとヒョロっとした体形のゴウカザルだったけど、
流石はかくとうタイプというべきか、
単純な力比べでは自分と五分五分の力を持っていた。
もちろん純粋なパワーでは劣っているといつも言っていたけど、
動くものを捕らえる動体視力や素早いフットワークを生かしたその攻撃力は、
飛びかかってきた敵を一撃で昏倒させるぐらい強力で、
とても自分にもワルビルにもマネできなかいと思っている。
でもこいつはそんなゴウカザルの、
攻撃のタイミングや構えのしぐさそのちょっとした動きのクセなんかまで同じで、
さっき気がついた炎の違和感がなければ、
分からなかったかもしれないというほどだった。
偽物だと気づいた今でも、気持ち悪いくらい本人とそっくりなのである。
ちっくしょ…てめぇ……、ゴウカザルに何をしやがった!」
「ゴウカザル…? ああ、こいつのことかい。」
構えた拳をぎゅっと握りしめて、、
ワルビルが歯をギリリッと軋らせながらゴウカザルの姿をした敵を睨みつけ、
吠えるように声を荒げると。
腰に手を当ててしゃべった。
その声も聞きなれた低く張りのあるゴウカザルの声だが、
自分の知っている彼はこんな人を嘲るような顔はしないし、
ましてや何の脈絡も無く仲間に攻撃をしてくるようなポケモンでもない…。
だからこそこいつがニセモノであることは間違いないなく、
そこには確信すら持っている……だが…。
そう考えながらゴウカザルの姿をした敵を睨みつけていたが、
相手はそんな自分のことを見下すような笑みを浮かべながら、
ポンポンと自分のお腹を叩いた。
「もらったよ、本物のこいつはね…♪」
「え……、もらっ…た…?」
「そう、 操ってるとかそんなんじゃない…体丸ごと頂いちゃったのさ。
オレの【へんしん】の素材にね…。」
そうゴウカザルの姿をした何かが楽しそうにお腹をさすっていると、
ふいにその体がトロッと形を崩すように蠢き始め、
茶色と白を基調とした彼の体全体が薄いピンク色をした液体へと変わっていく…。
むにゅむにゅと音を立ててゴウカザルが変わっていくその悪夢のような光景に、
ワルビルは戦慄するように口をわなわなと震わせ、
自分も背その気味の悪さに眉間にしわを寄せた…。
ようやく液体の動きが落ち着いてくるとそこにはもうゴウカザルの姿は無く、
ピンク色の巨大な液体がもごもごと洞窟の床と壁を侵食し、
その中心あたりにまるで点と線で描いたラクガキの様な顔が浮かび上がると、
にぃっとほくそ笑むような笑みを浮かべていた。
「こ…こいつは…!」
「……メタモン。
他のポケモンや物そっくりに姿を変える…へんしんポケモン…!」
ゴウカザルの姿に化けていた相手の正体が分かり、
俺もワルビルも後ずさるように少しメタモンから距離をとる。
だがメタモンの方が行動が早かった。
メタモンはにゅうっと自分の体からうねうね動く触手のようなものを二本伸ばすと、
”ビュンッ”と振りまわすように俺達の方に素早く伸ばし、
自分の足とワルビルの首にぎゅるんと巻きつけてくる。
「うぐっ…!!」
「がっ…!?」
巻きつけられた触手に地面へと叩き伏せられて、
衝撃と痛みに思わず呻き声が漏れた。
ワルビルの方も腹から地面に叩きつけられたらしく、
さっきのダメージもあってか苦しそうにお腹を押さえている。
こいつの種族…メタモンはこの辺では見かけないポケモンではあるが、
【へんしん】することでいろんなポケモンに化けたり、
その力を使うことができるということは以前聞いたことがあった。
だが【へんしん】してなくてもこんなに強いとは正直予想外である。
クラクラする頭で顔を見上げてメタモンの方を見てみると、
奴はあのにやにやと笑った顔のまま見下すように俺達を見ている。
「そっくりだっただろ?
頭の炎まではマネしきれなかったけど、
あんた達完全に俺のことを仲間だと信じてたもんなぁ♪」
「げほっ…、ぐぅっ……!」
「あんたらも隙を見て呑み込んでやろうと思ってたけど、
まさかこんな早くにばれちゃうとは思ってもみなかったぜ。
とぼけた顔して鋭いじゃんあんた…♪」
姿は本来の物に戻ったものの、
いまだにゴウカザルの声でねちねちと話しかけてくる。
”ギリギリッ”と足に巻かれた触手が強く締まっていき、
そのまま宙づりのようにぶらーんと逆さに持ち上げられる。
我ながら自分の体重は相当な重量だと思うのだが、
それを苦とも思わず軽々と持ち上げていることに、
歯を食いしばりながらメタモンの顔を睨みつけた。
「へへへ、さぁってと…。
今度はどっちから頂いてやろうかな…♪」
「……ぐっ、俺達を呑み込んでどうするつもりだ…!」
「さっき言っただろう、【へんしん】の素材にするって…♪
そもそもオレ達の縄張りに勝手に入ってきたんだ、
あんたらに文句言う筋合いはないぜ。」
「な…縄張り…?」
ぶらんぶらんと自分の体を揺らしながら話すメタモンが、
少し真剣そうな表情に変わる。
「そ、ここはオレ達メタモンの縄張りさ。
もうずーっと昔っからな。」
「……嘘をつくな、
この辺にメタモンが生息してるなんて…聞いたこともない…!
だいたいこの洞窟だって今までに何人も人が入ってるって…。」
「人が消えちまうんだろ?
『かみかくしの洞窟』なんて騒いでさ…。」
「……!」
メタモンの顔が得意そうに笑うのを俺は驚いた眼で見つめ返す。
だからって街やギルドで噂になっていたことを、
野生のこいつが知るはずはない。
なんでこいつがそのことを…?
俺の驚いた表情にメタモンは楽しそうに笑い声をあげた。
「はははっ、どうしてオレがその噂を知ってるのかって顔だな♪
全部知ってるぜ?
この洞窟に入った奴が一人残して消えちまうってのも、
この洞窟が『かみかくしの洞窟』って言われてるのも。
…だって、俺達が考えた噂なんだからよ♪」
「……な、なんだと!?」
信じられない話に俺もワルビルも目を見開いて驚愕する、
この洞窟の噂が…こいつの作った話だと…?
「最初の一匹は、たまたま迷い込んできた奴を頂いただけさ。
オレ達メタモンは丸ごと取り込んだ相手の能力もそうだが、
言葉づかいや性格…そして記憶なんかもそっくりそのまま取り込めるんだ。
どうやら最初に取り込んだ奴はお前らの住む街から来たらしくってさ、
そのことが分かった時にぴーんと思いついたんだ。
上手く利用すれば、大量の獲物を苦労せずに誘いこめるんじゃないかってね…♪」
手品の種を楽しそうに明かす子供のように、
メタモンはクックと笑いながら宙づりの俺に話しかけてくる。
その声は最初はゴウカザルの声そのものだったが、
次第に聞いたことも無い誰かの声が不協和音のように混ざり合う。
しかもそれは一人や二人の声では無い…、
若い声もりりしそうな声も…メスポケモンから子供の様な声もあり、
その気味悪さに自分はぞっと身をすくめる…。
「俺が取り込んだそいつの姿であんた達の街に言って、
ここのことを不思議なことが起きる洞窟だって言いふらしたら、
一週間もしないうちに何人かわざわざ話しにつられてきてくれたよ。
あの時の奴らの最後の顔なんて見てて滑稽だったぜ、
み~んな混ざり合って俺の中でひとつにしてやったけどな♪
ま、もう影も形も無いけど。」
ケッケッケと笑いながら話すメタモンに、
自分は腹の立つものでも見るかのように歯を食いしばり睨みつけた。
正直、あまり怒るとかそういう感情に疎いと思っていたが、
ここまで話を聞いていて気分の悪いポケモンは初めてだった。
それなりの悪事を働くポケモン達と何度か関わり合いがあったが、
その中でもだんとつにこいつの話は聞いていてイライラしてくる。
ワルビルの方も同じ気分らしく、
地面に押さえつけられながらもメタモンを睨みつけていた。
「……お前は、
そうやって何の罪も無いポケモン達をとりこんできたっていうのか…!」
「てっめぇ…いくら野生のポケモンだからって、
やっていいことにも限度があるだろ…!!
……うぉっ…がぁぁっ!?」
俺の言葉に合わせるように声を荒げるワルビルを、
メタモンは触手ごと持ち上げて再び壁に叩きつけた。
首を縛りつけた触手でぐいぐいと壁の方に押し込んでいき、
ワルビルの体が石の壁に押し付けられるように圧迫されていく。
ワルビルがやられる姿に耐えられず、
俺は必死に逆さづりのままもがくが、
メタモンは嫌らしく笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
「……ぐっ、くそっ!
離せ、今すぐワルビルを離すんだ!!」
「慌てんなよ、どうせあんたの仲間はもう手遅れなんだ。
大人しくしてれば、苦しくないように俺の力にしてやるぜ?」
「ふざけるなっ…!!」
「ふざけてなんかねえけどな、ほらよっと!」
そう言いながらすぅぅっとメタモンは軽く息を吸い込むと、
リングマを吊り下げている触手がどんどん熱くなっていき、
しゅうしゅうと音を上げてまるで炎に縛られているかのようになってゆく…。
あまりの熱さと痛みに口から苦悶の声が漏れると、
メタモンはそれを見てにやっと一瞬笑みを見せた。
その笑みに反応する間もなく、
今度は本物の炎が触手から燃え上がり、俺の体を焦がすかのように焼いた。
それがゴウカザルの【かえんぐるま】の炎だということに気づくが、
縛られたままでは抵抗も何もすることはできず、
ただただ燃え盛るような痛みが体中を蹂躙していった。
「ぐがっ…ああぁぁぁぁっ…!?」
「リングマッ!!」
たいまつの明かり以外に真っ暗な洞窟の中が紅蓮の炎で照らし出され、
遠くに見えるワルビルの顔が悲壮な顔に映し出される。
ひとしきり俺の体を焼いた炎はぶすぶすと音を立てながら静かに消えると、
俺を縛っていた触手の力が抜け、
体は自重に任せてずるりと地面へ落とされた。
体中がじんじんとやけどの傷で痛み、
まさにズタズタという状態がぴったりな姿だなと我ながら思った…。
「ケケッ、あんたはそこで少し寝てろよ。
オレはとりあえずあっちに用があるからよ…♪」
かすれる意識の中でメタモンの声が聞こえてくると、
俺はピクっと耳を動かし引きずるように顔をあげてメタモン方を見る。
奴はダメージを負った俺の方から離れ、
いつのまにかゴウカザルの姿に戻りワルビルの方へと近づいていく。
ワルビルの拘束は解かれて俺と同じく地面に突っ伏しているが、
その体はぐったりと力がなく自分と同じく意識がもうろうとしているらしい…。
そんな彼をたたみかけるかのように、
敵の腕は再び拳に炎が宿り始めている。
恐らく敵はワルビルにとどめを刺し、
あいつの方から取り込んでしまう気なのだろう……。
『仲間がやられる』、
そう考えると自分の全身の毛が”ざわっ”と逆立つのを感じた…。
※
彼にとって一番苦手なこと、
それは自分の目の前で誰かが傷つくことだった。
肉体的なことだけでは無かった。
彼は誰かと一緒にわいわい騒ぐよりは、
一人で仲間達の賑やかな様子を見ている方が好きである。
なぜって?
離れたところで見ていれば、
傷つくような出来事が起こりそうなときに止めに入れるからである。
ちょっとしたことで口論になることが多かった。
あくまで口喧嘩というぐらいのレベルではあったが、
例え本気じゃない喧嘩だったとしても、
何かのきっかけで大喧嘩に発展するかもしれない。
もしかしたら暴力に発展して、怪我をしてしまうかもしれない。
そして…もしも仲直りできなかったら…?
そうやって大切な友人達の仲が壊れてしまうことが恐かった。
もっともそんな心配は早い段階で杞憂に終わった。
なんだかんだ言っても二匹はとても仲が良く、
ワルビルはゴウカザルのことを心配してるし、
それはゴウカザルにしても同じことだった。
二人ともお互いを信頼しているからこそ、
軽口を叩きあいお互い遠慮のない言葉をぶつけていたのだった。
いわばじゃれているのとそんなに変わらないのである。
そしてそんな二人とも自分のことまで目を向けてくれた。
離れて見ているだけの自分に時折声をかけ、
じゃれあいの中に混ぜてくれる。
無口でぶっきらぼうで分かんない奴だなと背中を叩かれながらも、
上下ではなく対等の存在として…仲間として接してきてくれた。
なにかあったら身を呈して止めるつもりだった。
自分が傷つくことは耐えられる…、
でも仲間が傷つくのを見ることだけは絶対に嫌だ…。
だから何があっても自分の目の前にいる仲間だけは守ろうと、
そう心に誓っていた。
だからこそ、
今の状況は自分自身の誓いを微塵に砕かれたのと同じだった。
守ると決めた仲間のゴウカザルをこんな奴に奪い取られ、
さらにもう一人の仲間であるワルビルさえ、
奴の毒牙にかかろうとしている…。
嫌だ…、もう仲間がいなくなるのなんて嫌だ…。
たとえ自分がどうなったとしても……。
それが掠れる意識でリングマが立てた新たな誓いだった…。
※
「……ぐっ、がああああぁぁぁぁっ!!」
吠え声をあげ痛みを振り払うように立ち上がり、
俺は全力で突進するようにゴウカザルの姿をしたメタモンに飛びかかる。
体中にやけどの激痛が走り、
ダメージを負った体がみしみしと嫌な音を立てるが、
それにもかまわずメタモンに向かって突撃する。
まさかこのダメージで立ち上がってくるとは思っていなかったようで、
メタモンは一瞬ひるんだように身をすくめたが、
すぐに体勢を立て直し俺に向かって炎をまとった拳で殴りかかってくる。
”ドゴッ”と嫌な音が俺のお腹に響くが、
俺はそのままメタモンの体をわしづかみにし大きく頭上に持ち上げる。
予想外続きの自分の行動に、
ゴウカザルの姿をしたメタモンは苦悶と驚きの入り混じった声を上げる…。
「ぐっ、まだこんな力が…。」
「だああああぁぁぁぁっ!!」
持ち上げられ抵抗する間もなく、
俺はメタモンの体を容赦なく力いっぱい地面へと叩きつけた。
自分の体に備わっているとくせい…【こんじょう】、
どくやマヒ…そしてやけどといった体が異常にむしばまれているときに、
自らの攻撃力を底上げするという力。
そしてその力を発動させた上での【からげんき】、
こいつも俺が異常状態にあるときに攻撃力を上げる技だった。
それは体にで大きな負担をかけるという諸刃の剣だった。
だがやけどをおって攻撃力が落ちている今、
受けたダメージを倍返し以上で返せるこの技ならば、
確実にしとめられるはずだった。
ゴウカザルの姿で「ごほっ」と苦しそうな声を上げるがなか、
俺は全部の力を振り絞り、
たたみかけるように自分の足をメタモンの腹めがけて振り上げる。
「な…やめ…!?」
「これで…とどめだぁっ!!!」
悲鳴すら上げさせる間もなく、
俺は自分の大きな足をゴウカザルの姿をしたメタモンに振りおろした。
……その瞬間、一瞬メタモンが笑みを浮かべたことにも気付かずに…。
※
「う…ぐっ……?」
じんじんという痛みが全身に走り、ゆっくりと俺は目を開ける。
目を開けて最初に視界に入ってきたのは、
冷たく灰色に広がる岩だらけの地面…、
どうやら俺は洞窟の床に倒れているらしい…。
『……なんで倒れてるんだっけ…?
そうだ確か…メタモンにゴウカザルがやられたって言われて…、
そのメタモンが俺とリングマにも攻撃してきて……。
俺メタモンの奴に壁に貼り付けにまでされて……、
そっからどうなったんだっけ?』
ぼんやりとした思考で思い出すように考えながら、
俺はゆっくりと上体を起こそうとする。
頭がひどく痛く、耳元ではガンガンと耳鳴りのような音が響き、
最悪の体調状態だということは調べなくても分かった…。
口からはひゅーひゅーと空気の漏れる音しか出せないが、
独白のように自分の中で言葉を紡ぎ状況を思い出そうとする…。
『……あれ、そういえばリングマはどうなったんだ?
確か俺が気を失う前に…あいつもメタモンに焼き尽くされて…。
俺なんかと比べ物にならないくらいダメージを受けてたはずだ…!
というかこんなぼーっとしてる場合じゃないだろ…、
リングマもそうだけどあのメタモンだってすぐ横にいるんだぞ?
ゴウカザルを取り返すにしても一度退くにしても、
早くリングマと合流しねえと…。』
痛む頭を必死に押さえつけながら俺はよろよろと軽く体を起こし、
背中を壁で支えて何とか座るような体制になる。
吐きそうになるぐらい気分が悪く、胃の中が揺れるように体中が重い…。
ふと気がつくと俺の近くにリングマの持っていた探検バッグが転がっていた。
かろうじてバッグのひもに手をかけ、
引きずるように自分の所へと手繰り寄せると、
カバンの中をごそごそと探り一つのアイテムをとりだす。
青くみずみずしい色をしたオレンの実が俺の手のひらに収まり、
俺はしゃくしゃくとその実をかじって喉に流し込んだ。
いろんな味が混ざった爽やかなオレンの味が喉を滑り落ちて、
少しだけど体力が戻ったのを体が感じる。
「リ……リングマ……、どこだ……どこにいるんだよ……!」
オレンのおかげで体力もわずかに回復し、
今のうちにリングマの場所を探ろうと彼に呼び掛ける。
近くにいるはずの仲間に向けて必死に声を絞り出した。
リングマの性格を考えるなら、
あいつが一人で逃げちまうなんてことは無いはずだ。
きっと近くにいる、そう信じて声を上げる。
「リング…マ…!」
「ワル…ビ…ル…。」
ふと自分の声に重なるように、リングマの声が聞こえた。
声がするということは近くにいるはずである。
たいまつの炎も消えてしまい、
薄暗い闇の中に戻ってしまった洞窟の中だが、
それでも必死に目をこじ開けて仲間の姿を探した。
少しの間リングマの姿を探して視線をさまよわせていると、
視界の隅にリングマの茶色く太い腕が地面に倒れているのが見えた…。
「リングマ…! 大丈夫か…動けねえのか…?」
「ワルビ……。」
「いいから、ちょっと待ってろ…!
まだオレンも残ってる、
すぐ回復すればとりあえずここから離れる体力くらいは回復する…!」
「だ…めだ……こっちへ来るな……。」
苦しそうなリングマの声に不思議に思いながらも、
壁に伝うようにしながら立ち上がり、
ふらつく足でリングマの方に近づいていく…。
リングマの腕は時折ピクピクと動き、
少しずつ暗闇の中に引きずられるように引っ張られているようでもある…。
でも俺は何が起こってるのかも考えずに仲間の方に近づいていき…。
「へっへっへ……、どうやらお前も気がついたみたいだな…!」
確かにリングマはそこにいた。
だがリングマの体…正確には胴から下ぐらいからは、
ゴウカザルの姿をしたメタモンの腹の中に突き刺さっていた。
いや、突き刺さっているとは違う。
リングマの上半身はばんざいのように俺に向かって手を伸ばしながら、
引きずり込まれないように手じかな岩や地面へとしがみついて抵抗している。
呑み込まれた下半身の方はメタモンの腹の中にすっぽりと入りこみ、
もこもこ…ぐにゃぐにゃと内側から蹴飛ばしているかのように暴れていた。
普通に考えて、
細身のゴウカザルの姿に巨体のリングマの体など入り切るわけがないのに、
反対側に突き出ているということも無い。
まるで大きな袋の中にしまいこんでいるかのように、
リングマの体はずぶずぶとメタモンの体内の中へとしまわれ、
抵抗むなしく引きさがれた腕がガリガリと地面をひっかいていた。
「うあ…うあああああ……! リ…リングマ!!」
俺は何とかリングマを助け出そうと地面をひっかく腕に近づき、
その手をつかんでひきずりだそうとするが、
リングマの腕がそれを乱暴に払った。
「うぁっ…なにすんだリングマ、ふざけてる場合じゃ!」
「……逃げろ、ワルビル…!!
俺は無理だ…俺が時間を稼ぐから……お前だけでも逃げろ!」
「な…何言って…。」
知らず知らずに俺は体を震わせながら苦笑いのように表情が歪む、
聞きたくない…信じたくない…、
今リングマは何を言った?
逃げろ? 俺一人で?
そんなこと……できるわけが……。
見ればリングマの見えている上半身もひどい状態だった…。
短い茶色の毛並みはあちこちが焦げたように黒ずみ、
数えきれないぐらいの火ぶくれができていた。
自分が気絶している間にリングマがどれだけ無理をしたのか、
その傷を見るだけで明らかだった…。
「ふざけないでくれよ…なぁ…一緒に逃げ…。」
「…………。」
「なぁ…てめえ…!
今すぐリングマを離しやがれよぉ…!!」
何も言わないリングマにしびれを切らし、
俺はいまだリングマの体を呑み込んでいくメタモンに目を向け、
拳を固めて飛びかかろうとするが、
リングマ自身の手が俺の脚をつかみ”ぶんっ”と投げ飛ばした。
無理な体勢の上に片腕だけだというのに、
信じられないくらい強い力で俺は足をもつれさせながら転倒する。
「がはっ…!」
「……だめなんだワルビル……、
こいつに…直接触れるような技は効かない…。」
「……え…。」
「殴ったり蹴ったり…それにお前の噛みついたりする攻撃だって無理だ。
触れれば…お前もこいつに取り込まれてしまう…。
俺と…同じように…。」
叩きつけられた痛みに顔をゆがませながら、
リングマの悲痛な声が俺の耳に届く。
ぐにゅぐにゅと無機質な液体の音が洞窟の中に響き、
そのたびにリングマの声が少しずつ力が抜けるように小さくなっていき、
まるで眠気をこらえるようにさえ聞こえた。
顔を上げるとすでに上半身も胸のあたりまで呑み込まれてしまったリングマが、
俺の方を見ながら拳をぎゅっと握りしめている…。
そして不覚をとったと言わんばかりの様子で、
リングマを呑み込みながらゴウカザルの姿をしたメタモンは口を開く。
「正直焦ったぜ…、こいつ信じられねえぐらい馬鹿力だったからな…。
とっさに攻撃ごと呑み込む作戦を思いついてなかったら、
俺の方がやられちまってたかもな…!」
憎々しげに話すメタモンの顔は、
危険を回避してまだ警戒しているような、
そんな焦燥した表情になっている。
自分が気を失っている間にリングマがどんな攻撃をしたのかは分からないが、
恐らくメタモンとしてもぎりぎりの賭けだったのだろう…。
リングマも…そして俺にもこいつに対しての有効手段がないってことだ…。
俺達三匹は近距離、とくに物理技に秀でた種族のチームで構成している。
それでも遠距離が得意だったのはゴウカザル、
次がリングマってぐらいだった…。
俺はというと毛ほどの遠距離技なんてもっちゃあいない…、
それはつまり俺にはメタモンに対抗する手段がないこと。
そしてそれは…俺には仲間達を助けることができないということだった…。
ずるるっと足腰の力が抜け、
俺はその場に崩れ落ちるように座り込む。
そんな俺を見ていままで悔やむ世に顔を伏せていたリングマが、
別人のように牙をむいて俺に吠えた。
「何をしているんだ……早く逃げろ!!」
「いいや逃げんなよ、お前にも用はあるんだからな…♪」
「うるさい、お前は黙っていろ!!
ワルビル…いいんだ、俺達にかまわず逃げるんだ!!」
ぽろぽろと流れる涙越しに、
リングマが必死に叫んでいるのが聞こえた。
普段無口な癖しやがって…一番しゃべったのがこんな状況の時って…。
なんで…こんな…。
「たのむ…ワルビル……。」
わなわなと体を震わせながら、
声も無く泣いてた俺に静かな声でリングマが話しかけてくる。
見るともう肩の所まで体が呑み込まれてしまい、
わずかに出た片腕でかき分けるようにメタモンの体をぬぐいながら、
不思議と穏やかな顔で俺の方を見ていた。
分かっているのだろう、
自分はもう…助からないんだということが。
「たのむ…逃げてくれ…。
俺はもう…目の前で仲間がやられるところを見たくない…。」
「…………。」
「俺も…きっとこいつの中のゴウカザルだって同じだ…。
仲間を失うところなんて…絶対に見たくなんかないんだ…。」
「…………。」
「だから頼む…俺達の分まで……。」
むにゅむにゅというメタモンの不気味な音が響き、
リングマの体が徐々に奴の中に吸い込まれていく…。
もう首まで吸い込まれていたが、
真剣な表情で俺を見つめ逃げろと促していた…。
俺は無言でぐいっと片腕で目にたまった涙をぬぐい取ると、
痛みも無視して探検バッグを持って立ち上がり、
メタモンと…満足そうに笑うリングマの姿を一瞥すると洞窟の奥へと走り出した。
たいまつもつけず、暗い洞窟の中をただただ必死でかけ抜け、
リングマ達からどんどんと離れていく。
そして……遠くで「キュポンッ…」と、
何かが吸い込まれたような音が聞こえたのを何度も頭から振り払い、
再び曇りだす視界を必死に腕でぬぐいながら、
無言で真っ暗な洞窟の中を走り抜けていった。
10 | 2024/11 | 12 |
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諸注意:
初めてきてくれた方は、
カテゴリーの『はじめに』からの
『注意書き』の説明を見ていないと
色々と後悔する可能性大です。
(・ω・´)
イラスト・小説のリクエストは
平時は受け付けておりません。
リクエスト企画など立ち上げる際は、
記事にてアナウンスいたしますので、
平時のリクエストはご遠慮くださいませ!
(・ω・`)
『Sorry. This site is Japanese only』
『絵チャット入口!(・ω・)』
絵茶会にて
ポケモンバトル交流も行ってます!
(行っていない場合もあります。)
どなた様でも参加大歓迎ですので、
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