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やっと着いた…、
街からずいぶん外れた場所にある薄暗いトンネル、
中から微かにチョロチョロと水の流れる音が聞こえてくる。

下水道、
街のポケモン達はここのことをそう呼んでいる。
いろんなゴミが流れ着き、
人の手も入らないこの場所にはその名前はぴったりだと思う。

この場所には付近の森に住むポケモンも、
街に住むポケモンもほとんど近寄らない、
誰だってこんな薄気味悪い場所なんかようがなければ入らないだろう。

入ることがあるとすれば、
僕達に追われる『おたずねもの』ぐらいなものだ。
あいつらはこんな人目につかない場所なら、
絶好の隠れ場所と喜んではいっていくだろう。

だけどいつまでもいい気になんかさせない、
僕達のターゲットは必ずこの手で捕まえてみせる。

僕はぎゅっと『おたずねもの』の顔が描いてある手配書を握り締めると、
一緒に来た仲間たち二匹と一緒に薄暗い下水道に足を踏み入れていった…。



三匹の探検隊

少し開けた森の中の寂れた広場、
そこにぽつんと忘れられたように小さな地下通路の入り口はあった。
あたりに生き物の気配はなく、
まるで森に住む者たちが意図的にこの場所を避けているようだった。

「ふぅ、やっと着いた…。」

森の茂みをかき分け、
この広場の中に三匹のポケモン達が姿を現した。
ずいぶん森が深かったのか、
あちこちに葉っぱやクモの巣がくっつき、
体についたそれらを払いながら入口の前に立った。

「これがターゲットの逃げこんだ地下水道の入り口か…。」

薄いこげ茶色をした紙を見つめながら、
三匹のうちの青いポケモンが呟いた。
彼は『ルカリオ』という種族のポケモンで、
三匹の中ではリーダー的な存在なのか、
大きなカバンやそれについたバッジを大切そうに握り締めている。

「こんなところに本当に逃げ込んだのか?」
「あんま気持ちのよさそうな場所じゃないみたいだね…。」

ルカリオの呟く声に、
一緒に来ていた二匹のポケモン達がそれぞれ反応する。
『ライボルト』と『リザード』、
どちらもルカリオにとって同じ探検隊同士の仲間だった。

ルカ「逃げ込んだのはここで間違いないと思う、
    手配書にもここが怪しいって書いてあるし…。」
ライ「信用できるんだろうな、その情報…。」

ルカリオの持つ手配書には、
こちらを睨みつける様に緑色のポケモンが描かれている。
おたずねもの『ヨーギラス』、
ランクSのかなりの悪人らしい…。

どうやらこの依頼の他にもいくつもの犯罪を犯しているようで、
保安官たちでさえ手を焼くぐらいらしく、
ほとんどの探検隊がこの依頼を受けようとはしていなかった。

ルカ「依頼人がここに逃げ込むのを見たらしいし、
    信用するしかないでしょ。」
リザ「うー、見てたんなら自分で取り返しに行けばいいのに…。」

ルカリオの言葉にリザードが不満げに声を上げる、
どことなく地下に入るのを嫌がっているような気がする…。

ライ「あのなぁ、それができたら最初から依頼なんかしないだろうが。」
ルカ「それに、こういう依頼があるから僕らだってお金とか稼げてるんだもん、
    文句言わないの。」
リザ「うう、それは分かってるよぉ…!」

二匹からの非難の声に、
リザードはふてくされた口調で言い返す。
分かってはいるけど、
納得がいかないというような感じである。

彼らは探検隊『R3』、
名前は彼らの頭文字を合わせただけの簡単なものであるが、
こう見えてシルバーランクというけっこう腕の立つチームとして、
街でも知られていた。

彼らは未開の地を探したりお宝を探す一般的な探検隊とは違い、
街の周辺で起こる犯罪や事件のおたずねものを追うことを主軸とした活動を行っていた。
それゆえこういった荒事の依頼は手慣れたもので、
誰も受けようとしないこの依頼も仕方なく受けてきたのであった。

ライ「まさかとは思うが、お前この中に入るのが怖いのかぁ?」
リザ「…! そ…そんなことないよ!」

ライボルトがにぃっとからかうように言うと、
リザードは両手をぶんぶんと振って否定する。

しかしルカリオは知っていた、
このリザードが尻尾をふりふりと振って何かを言っているときは、
大抵ごまかしているときなのである。

三匹の中では一番大柄な体格をしている彼だが、
対照的に三匹の中では一番おくびょうな性格なのも彼だった。

ライ「ほぉ、怖くないのか。じゃあ今日はお前が先頭で探索をしてもらおうかな…。」
リザ「うぇ、いやそれはちょっと…。
    ほら、いつも先頭はルカリオだしやっぱリーダーが一番前じゃないと。」

二匹がじゃれあうように話しているの聞きながら、
ルカリオは口元に手を当てて笑いをこらえながら見ている。

ライ「ほら、入った入った。
   できれば日の暮れる前には帰りたいんだから!」
リザ「うわちょっと押さないでよ、
    段差とか危ないんだから…ってちょっとぉ!」

そうこう言い合いながら、
ライボルトはぐいぐいとリザードの背中を押しながらどんどん二匹は地下へと降りていく。
慌てたように両手をばたばたと振っているリザードの姿が、
薄暗い通路の中にゆっくりと消えていく。

ルカ「もう、ふたりとも遊びに来てるんじゃないんだからね…!」

今から凶悪な悪人を捕まえに行くというのに、
あまり緊張感を持っていなさそうな二匹に少し呆れながら、
ルカリオもふたりを追いかけようと歩きだす。

「………。」

ルカ「…ん。」

ふと、
気のせいか二匹の声に交じって何か小さな悲鳴のような声が聞こえたような気がして、
彼はピタッと足を止める。

地下通の奥から聞こえてきた気がしたけど、
それが悲鳴なのか、
それとも二匹の声が反響しているだけなのかよく分からなかった。

ルカ「気のせいかな…。」

ルカリオが地下に入っていくと、
ちょろちょろと小さく水の流れる音が聞こえてきて、
それと一緒にカビ臭い湿った空気がふわっと漂ってくる。

少し進んだところでリザードとライボルトは彼が来るのを待っていた。
リザードの尻尾の火が薄暗い地下通路の中でゆらゆらと揺れて、
小さな火の粉がキラキラと光りながら飛び散っていた。

ライ「どうした、少し遅かったみたいだが。」
ルカ「ううん、なんでもないよ。」

気のせいかもしれないし、
ただでさえ不安そうにあたりをきょろきょろと見回しているリザードを、
これ以上怖がらせるのもなんだと思ったので、
彼はさっきのことは言わないでおくことにした。

ルカ「さ、早いとこターゲットを見つけないとね。」

そう言って彼は自然と二匹の先陣を切るように歩き出す、
それにつられてライボルトと、
その後ろからくっついてくるようにリザードも歩いて行く。

そして彼らの姿は薄暗い地下水道の奥へと、
誘われるように消えていった。

というわけで、
新シリーズの開始でございます、
お付き合いいただける方はまたよろしくお願いします。
未だ自分でも構想や設定がわけわかめですが、
まあ何とかなると信じましょう。(マテヤ

今回の主人公は異例の三匹、
どんどん新キャラさんが増えてくるなぁ…。
設定とか性格とかなるべく被らないようにがんばろう、
とまぁそんな裏話はどうでもよく。(ジャアスンナ

彼らは一応探検隊でございます。
おたずねものしばき倒すチームってもろ私の探検隊の遊び方ですけどね、
そのあたりが彼らの元ネタですチームメンバーは全然違いますが。

空の探検隊からおたずねものも色々な種類が出る様になったから、
討伐依頼は楽しくて仕方ありません。
ぜんぶボッコボコにしてやんぜ!
といった感じでやりまくっております。

今となっては、
相手がフワライドのとりかえしてきて依頼を受けて、
倒した瞬間に依頼品も【ゆうばく】で消えうせてしまったのもいい思い出です。

…泣いてなんかいないんだから。
(;ω;)
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無題
メンバー構成がいかにもポケダンチックで感情移入してしまう・・・w(リーダー=元人間的な意味で)
  2009/06/23(Tue)00:37:48 編集
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更新日 2014年  1月17日
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