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【朦朧】
 
次の日、
ニドキングとカメールは外での任務を終え基地に戻ってきていた。
また入り口でゲンガーの【さいみんじゅつ】を耐えぬき、
二匹ともふらふらしながら基地の通路を歩いていた。

ニド「うぅ…、相変わらずひどい技だ…。」
カメ「なんでニドキングだけそんなに気分が悪くなるんだろうな。」
ニド「俺が聞きたいよ…。」

がんがんと痛む頭を押さえ、
ニドキングが弱々しい声を上げる。
できることなら座り込んで休みたいくらいだったが、
カメールがいる手前そんなことをするわけにもいかず、
彼は我慢して頭を抑えながら歩いていた。

カメ「ねえ、本当に大丈夫…?」
ニド「ああ、なんとかな。」
カメ「全然大丈夫そうじゃないね。」
ニド「…分かるか。」

彼に心配をかけまいと平気そうに声を出すが、
さすがに長い間コンビを組んできただけあって、
彼のそんなやせ我慢もカメールには効かないようだった。
カメールが気を利かせて背中をさすりだしたが、
頭痛の症状に背中をさするのは正しいのだろうか?

ニド「もういいよ、さっきよりはずいぶんましになった。」
カメ「…。」
ニド「…なんだ?」
カメ「なあ、ちょっと気になることがあるんだけど?」
ニド「…?」

急にカメールの表情が陰ったように曇る、
普段明るい彼がこんな表情を見せるのはニドキングもあまり見たことなかった。

ニド「なんだ、なんか聞きたいことでもあるのか?」
カメ「あのさあ、お前昨日夕飯のとき何処行ってたの?」
ニド「夕飯…?」

昨日はルクシオを逃がした後そのまま眠りこんでしまい、
起きた時にはすでに日が昇っていた。
そういえばカメールとの別れぎわに、
後で行くからというようなことを言っていたような覚えがある、
ひょっとして行かなかったことを怒っているのだろうか…?

ニド「すまん昨日あのまま眠ってしまってな、ひょっとして待たせてしまったか…?」
カメ「え、いや、別にオイラのことはどうでもいいんだけどさ…。」

妙に歯切れの悪いカメールの言葉にニドキングは訝しげに首をかしげる、
彼の様子からして確かにそのことで怒っているというわけではなさそうだった、
ではいったい何を心配しているのだろうか。

カメ「…単刀直入に聞くけどさ、最近ちゃんとご飯食べてる?」
ニド「…はぁ?」

カメールの意外な言葉に思わず声を上げる、
だが相棒の表情はいつになく真剣である。

ニド「食べているに決まっているだろう、なんでそんなことを聞くんだ。」
カメ「だってぇ…。」

カメールはニドキングから目線をそらし、
言いづらそうにスカーフを手でぐりぐりといじっている、
ニドキングは様子のおかしい見つめながら彼の反応を待つ。
やがて決心したようにうんと一回うなずくと、
カメールはこちらを向いて口を開いた。

カメ「お前、もう三日ぐらい前から全然食堂に来てないよな。」
ニド「…え?」
カメ「食堂に来ないで、一体何食べてるのか気になってさ…。」

カメールの言葉にニドキングは言葉に詰まる、
思い返してみると確かにここ最近食堂に行った覚えがない、
でも彼は昨日もそして今日も別に空腹で動けなくなるなどの症状は出ていなかった。

カメ「三日前にさ、お前が久しぶりに外で野生の獲物を食ってたから食堂に来なかったのも分けるけど、でもお前が今日まで連日ポケモン食うなんて考えられないし…。」
ニド「…。」
カメ「今お前の部屋にはあのおたずねもの達がいただろ、だからちょっと気になって…。」

ニドキングは背筋がすーっと冷たくなっていくのを感じた、
確かに彼の部屋には今食糧になりうるポケモンがいる、
カメールが疑ってしまうのも無理はない。

しかし、
断じてニドキングは彼らを食べてはいない、
食べているはずがない。
いくら最近ぼーっとすることが多くなったといっても、
ポケモンを食べたことを忘れほど気は抜けていないはずだった。

ニドキングは不安そうにするカメールの方にぽんっと手をのせる、
カメールが不安そうに見つめてくるが、
彼は安心させるためににっと笑ってみせる。

ニド「大丈夫だ安心しろ、あの三匹ならちゃんと順番に逃がしているから。」
カメ「本当に…?」
ニド「ああ、本当だ。」

内心彼自身も不安で押しつぶされそうになっていたが、
とにかくこの相棒を安心させるためにも彼は必死に表情を取り繕う、
やがて少し安心したのかカメールの表情が緩んだ。

カメ「そうだよな、お前がそう何度も食うわけないよな。」
ニド「ああ…。」
カメ「はぁ、なんか安心したらおなか減っちゃったよ。
   早く食堂行ってなんか食べようぜ。」
ニド「そうだな。」

よほど緊張していたのだろう、
カメールが彼に背を向けてぐいーっと背を伸ばしていた。
ニドキングもずいぶん気が張っていたせいか、
いつの間にかあのひどい痛みも消えているようだった。

ぐぅ~-…

唐突に彼のお腹が小さく鳴った、
彼もいつのまにかずいぶんお腹が空いているようだった。

カメ「にゃはは、ニドキングも腹ぺこみたいだね。」
ニド「ああ、恥ずかしい音を聞かれてしまったな。」
カメ「気にしない気にしない♪」

すっかり笑顔が戻っているカメールの背中を、
ニドキングは優しそうな表情で見つめる。

ふいに彼の口の中にじわじわと唾液がわき出てきて、
彼の鼻に美味しそうな匂いが漂ってくる。

ニド「…。」

トロンとした表情でニドキングはカメールを見つめている、
甲羅に包まれていないぷにっとしたその体はとても弾力がありそうで、
かぶりつけば口いっぱいに美味しそうな味が広がりそうな気がしてくる。

知らず知らずのうちに口から唾液の塊がぽたぽたと垂れ、
ニドキングの口がカメールの頭に近づきながら徐々に大きく開かれていく。
ニドキングに背を向けているカメールは腕をくるくるとまわして、
固まった筋肉をほぐしているようでニドキングの動きには気づいていない。
彼の青い体からはどんな味がするのだろうと考えながら舌なめずりし、
カメールの頭を包み込めるほど肉厚な舌がだらんと口から垂れて唾液の糸を引き、
ニドキングの口があと少しでカメールを喰らい込めるとこまで近づいていく。

ニド「…うわ!!」
カメ「え、なになに!?」

はじかれたようにニドキングに意識が戻り、
彼の声に驚いてカメールがこっちを見る。

ニド『今何を考えていた…、いま俺は…カメールを食べようと…。』

ニドキングは荒く息を吐きながら、
自分の相棒を見つめる。
カメールもまた急に様子のおかしくなった相棒に気づき、
声をかけようとニドキングに近づこうとするが、
ニドキングはそれを手で制して止めた。

カメ「大丈夫…、汗びっしょりだよ?」
ニド「…大丈夫だ、安心してたらついうとうととしててな。」

ニドキングは咄嗟に嘘をついた、
これ以上カメールに心配をかけるわけにはいかないし、
なによりさっきまで自分が何をしようとしていたかを考えると、
今カメールの傍にいるのは危険な気がしたのだ。

ニド「カメール、すまんが今日も食堂へは一人で行ってくれないか。」
カメ「え、でも…。」
ニド「…えっとそうだ、部屋にいるコリンク、あいつを逃がしたら必ず食堂へ行くから。」
カメ「え、コリ…ってちょっと!」
ニド「すまん、絶対に行くから待っていてくれ。」

無理やり会話を切り、
ニドキングはもと来た道を走って自分の部屋に向かう。
今の自分がなにかおかしい以上、
同じ部屋に他のポケモンを入れているのは危険である、
一刻も早くコリンクを逃がすために彼は自分の部屋に急いだ。

その3でございます、
連日の日付越えです、
そして連日の長文です、
きゃっほーい。

うん、
ごめんなさい。
原因は最近買ってきたゲームが面白いからです、
いやーゲームってこわいねー、
どんどん時間が盗まれてくねー。(棒読み

それにしても、
今回のシリーズは比較的背景が楽なのです、
部隊が地下のせいか背景真っ黒でそれっぽく見えるのがありがたい。
でも、
ポケモンの世界にこんな地下の秘密基地のような施設ありましたっけ?
まあ海底洞くつとか、
火口とかもっとすごいところもあるし問題ないよね。

それに悪の組織とかって街の地下に巨大基地をかまえてそうじゃないですか、
男の子はそんな妄想に憧れるもんです、
もんなんです。(汗
(・ω・′)
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無題
サメハダ岩の愛の巣くらいしか・・・
森クマ 2009/05/17(Sun)10:26:20 編集
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更新日 2014年  1月17日
  少ないけどとりあえず新規イラストに変更
  一枚オリキャライラストなので苦手な方注意

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