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急いで戻ろうとするマッスグマだったが、
ふいに「パキッ…ペキペキッ!」と木の枝が折れるような音を聞きつけ、
ぴたっと足を止める…。
グマ「…っ!」
彼の頬につぅーっと冷たい汗が流れる。
グマ「なにか…いる…?」
辺りを慎重にうかがいながらマッスグマは耳をそばだて、
ゆっくりとしゃがむようにかがみながらクンクンと周囲の匂いを嗅ぐ。
彼は視力よりもはるかに嗅覚や聴覚のほうが優れている種族なため、
こういった視界が悪い森の中では匂いや物音にたよって相手を探したほうが早かった。
グマ「…うっ。」
まゆを少しひそめながらマッスグマはわずかに体をぶるっと震わせる。
居場所はまだ分からなかったが、
彼の鼻にはある意味嗅ぎ慣れているねっとりと湿った唾液の臭いと、
生温かかくそして濃い獣の息の臭いを嗅ぎとったのである。
グマ「まさか、あのぬけがらの主か…?」
マッスグマはゴクッと生唾を飲み込むと、
警戒しつつゆっくりとその場を立ち去ろうとしゃがんだまま歩きだす。
旅をしていたころだってこうして何度か野生のポケモンに襲われそうになったことがある、
そんなとき一番とるべきなのはとにかく静かに逃げることだった。
へたに茂みをかき分けて逃げようものなら、
その音を頼りにどこまでもどこまでも追跡者は追ってきてしまうからである。
グマ「大丈夫だ…いつもどおり…いつもどおり逃げきれれば……。」
マッスグマは張り裂けそうな緊張感を無理に抑えつけ、
心の中で必死に自分自身をなだめる。
まるで砂漠にでもいるようにぽたぽたと汗の滴が垂れ落ちているが、
体の方は震えだしそうなぐらい冷たくなっていた。
それというのもマッスグマはこの相手が異質なものであるということを、
彼の場慣れした経験がひしひしと感じ取っていたからであった。
※
普通こうした狩人のような野生ポケモンや盗賊達は、
獲物が油断しているところを狙い襲いかかる、
いわば奇襲攻撃を当たり前のように行ってくるのが常である。
旅人や探険隊や救助隊、
様々な者たちが行き交うこうした人里離れた地において、
そういった襲撃者達との関わりもまた避けられないものなのである。
だからこそある程度経験を積んだもの、
ましてや一度襲われて痛い目をあったことのあるものなら、
襲われた時のための対抗策を用意しておくのもまた常なのである。
むしろ一人前になりたかったら、
一度は襲われてみろというのがマッスグマのような人里の外を歩く者たちにとって、
口伝のように伝わっていることであった。
奇襲攻撃というのは相手によってやり方は違っても、
とどのつまりは隙を突いてくる攻撃である。
だからこそこうしてその襲撃者の存在が獲物のほうにバレているということは、
隙を突く攻撃がなりたたなくなるため、
まったく意味の無い攻撃になってしまうのである。
※
普段の敵ならこうして存在が分かっているのなら、
彼だってその裏をかいて倒すなり逃げるなりしていただろう。
グマ「でもこいつは……。」
マッスグマは集中して敵の位置を探るが、
いまだ敵の居場所を見つけることが出来ないでいる。
そのくせその敵のどろっとした濃い気配だけは、
まるで彼を取り囲むように強く感じとれていた。、
そう、
奇襲をかけるんだったら襲撃者は可能な限りその存在や気配を獲物に感づかれないよう、
じっと静かに追い詰めてくるはずである。
でも今マッスグマを追い詰めてきているこの敵は、
自分の存在を微塵も消そうとはしていなかった。
だがそれでも漂ってくる気配は、
この相手が気配の消し方も知らない未熟者ではなく、
むしろ隙無く獲物を捕える熟練した狩人であることをマッスグマに伝えてきていた。
そんなことをするのは、
自分の力に絶対的な自信を持つような奴だけである。
そしてそういう考えをもった相手程、
実際に相手に回すと厄介なことになるのである。
タイプは違うが、
彼の親友もその例に漏れない奴なのでマッスグマはよく理解している。
ただ違うのは、
親友の場合だったら最悪死ぬ一歩手前では助けてくれるが、
この敵にそんな慈悲はまったく期待できないということであった。
グマ「くっ、どこだよ…!」
マッスグマは焦ったように声を漏らす。
極度の緊張感からか、
襲われてもいないのに彼の精神はかなり限界に近くなっていた。
そしてその緊張の緩みが彼に小さなミスを起こさせてしまう。
……パキッ!
グマ「………!」
彼の後退していた足が、
うっかりと木の枝を踏みつけてしまう。
小気味のいい乾いた音が静かな森の中に響き渡り、
一瞬彼の周囲の空気が止まったかのような静けさが広がる。
瞬間、
まるでその静けさを破砕するように枝が折れる音を響かせ、
紫色の巨大な巨体がマッスグマの頭上から勢いよく落下してきた。
グマ「え……うわぁぁあっ!?」
轟音を響かせて落ちてくるそれを、
マッスグマはすんでのところでかわしごろごろと転がる。
そいつが落ちてきた衝撃で落ち葉や木の破片が舞い、
もうもうと薄く土煙が凄まじい風圧で吹きあげられていた。
グマ「なっ…い…一体…!」
混乱も醒めきらぬまま、
マッスグマは立ち上がり土煙の中を見ようと眼を凝らす。
正確な形は分からないが、
明らかになにか巨大な生物がうねうねと中で動いているのが分かる…。
ゆっくりと風に乗って土煙が晴れていくと、
その蠢いていたものの姿がマッスグマにも見えるようになる…。
グマ「うあっ…!」
煙の晴れたその中にいたのは、
信じられないくらいに大きくそしてまるで大木のような太い胴体をもつ巨大な『アーボ』であった。
間違いなくあのぬけがらの主であろう。
グマ「あ…ぐっ…あ…!」
アーボの巨大すぎるその姿を見てマッスグマの体は痺れたように硬直する、
彼の本能が今すぐ逃げ出せと語りかけてくるのだが、
その巨体は見るものすべてに威圧感与えていた。
「しゅぅぅぅ………。」
アーボの黄色い目が刺すように小さなマッスグマを見据える。
最初の一撃で仕留められなかったのはいささか残念であったが、
彼にしてみればまだ狩りは始まったばかりである。
そんなにすぐに捕えられてもつまらない、
獲物はじっくりいたぶりながら捕まえるのが彼のささやかな楽しみであった。
アーボの体がぐぐっと後ろに引いたかと思うと、
まるでバネのように反動でその巨体がマッスグマに向かって飛びかかってくる。
グマ「はっ…うわぁ!?」
アーボの牙が刺さるか刺さらないかの所で、
意識の戻ったマッスグマは慌ててその【とっしん】を回避する。
ズガガガガガァァァ…………ン!!!
目標を見失ったアーボの体がそのまま木の幹に激突し、
巨木がいとも簡単に破砕されメキメキッという大きな音とともに倒れこんでくる。
グマ「うわ、あぶなっ……!」
倒れてくる木を何とかかわすマッスグマだったが、
素早く体勢を立て直し彼のほうを向いたアーボの口から、
大量の鋭い【どくばり】が嫌というほど発射される。
グマ「…っく!うわぁぁ!?」
あまりの怒涛の連続攻撃に、
さすがのマッスグマもたまらずその場から逃げるように飛び退る。
なんとか茂みの中を隠れるように移動しながら、
アーボから距離を取ろうと走るのだが…。
ドスッ!
グマ「うぐぅっ…!」
ふいに茂みを貫通するように横切った【どくばり】が、
マッスグマの膝に命中してしまった。
グマ「アグッ…あぐうう……。」
マッスグマは痛みに顔を歪めるが、
そんな彼にさえ容赦なく【どくばり】が襲いかかってくる。
とにかく彼は茂みの中から飛び出すと、
アーボから隠れるように木の陰に身を寄せた。
激痛に耐えながら急いで【どくばり】を抜いて捨てるが、
じんじんとした強い痛みと熱がマッスグマの足を浸食するように走る。
グマ「アグ……ど…どくか…っ。」
マッスグマは浅い呼吸をぜえぜえと繰り返しながら
クラクラする意識をなんとかとどめようと頭をぷるぷると振る。
グマ「とにかく…まずは落ち着かねえと…。」
彼はとにかく現状を整理しようと、
軽く深呼吸しながら心を落ち着かせようとする。
まず第一にこのアーボと戦うか、
それとも逃げるかをどうするかだが…。
もちろんここはおとなしく逃げたほうがいいだろう…。
レベルや能力の差が絶望的に開いているし、
それに何より遠距離攻撃が可能なアーボに対して、
自分にはそれに対抗できる技がほとんど無いのである。
悔しいが太刀打ちできるような相手ではなかった。
第二にどうやってこいつから逃げるかだが……。
マッスグマは慎重に周囲の状況を着実に整理していく、
旅をしていたころにだってこういった危険な状況下でのバトルは何度かしているし、
慣れることはないとはいえどく状態だって初めてのことではない。
そういった過去の経験は、
不思議と彼を落ち着かせていった。
グマ「…く、とにかくこのどくをなんとかしないと…。」
幸いアーボもこちらの様子をうかがっているのか、
さっきから攻撃の手が止んでいる。
距離をとるなら今がチャンスである…。
グマ「よし、この隙に逃げ……!」
マッスグマが走りだした瞬間、
彼の顔にぺとっとなにか生暖かいものがぶつかる…。
急なことで反応をとれないマッスグマの顔を、
その生暖かいものはまるでなぜるように彼の顔をぬるっと横切った。
グマ「うむっ…、なん………うぎゃああああっ!!」
一瞬何が起こったのか分からないマッスグマは、
一歩後ろに下がり何にぶつかったのかを見て悲鳴のような声を上げる。
そこには大木の枝を伝うように移動し、
ぶら下がるようにして彼のことを見つめたアーボがぺろっと舌舐めずりしていたのである。
彼がぶつかったのはアーボが何の気なしにちらつかせていた舌べろだったらしい。
グマ「な……うわあっ!」
慌てたマッスグマは後ずさるように一歩二歩と距離をとるが、
アーボはその様子をにやにやと意地悪い顔で眺めているだけだった。
時折マッスグマを舐めた舌を口の中に出し入れしている彼は、
一体彼の味をどう評価しているのだろうか…、
正直知りたくもなかった…。
グマ「く…くっそぉ…!」
とにかくマッスグマはアーボから十分距離をとったところで、
敵をいかくするように爪を構える。
これでアーボが逃げるとはとても思えないが、
構えた体勢ならまた急に飛びかかってこられたときにもすぐに反応はできるだろうと思ったのである。
だがアーボは彼が距離をとったのにもかかわらず、
そのままゆうゆうとぶらさがったまま彼のことをじぃっと眺めていた。
グマ「なんだ…何を狙ってるんだ…。」
さすがにアーボの様子に不審な物を覚えたのか、
マッスグマの表情も疑問を含んだものになる。
もしも彼がアーボの立場なら、
さっき彼がうかつにアーボにぶつかった時点でその体にかぶりつき、
そのまま飲み込んでしまっていただろう。
なんでアーボはずっとあの赤い目で見つめて………、
ん、赤い目…?
確かアーボの目は黄色かったはず……。
グマ「まさか…!?」
ふいにある可能性に気付きマッスグマは急いでその場から離れ……できなかった、
まるで足が石にでもなってしまったかのように、
ぴりぴりと痺れ動くことができなくなっていた。
グマ「やられた…、【へびにらみ】か…!」
見つめたものをマヒの支配下に置くへび型ポケモンの技【へびにらみ】、
気付かないうちにマッスグマもその技の影響下に置かれてしまっていたのである。
マッスグマがマヒになったのが分かったのか、
アーボは余裕の表情を浮かべするすると地面へ降りてくる。
どうやら最初からこれが狙いだったようだ…。
グマ「ぐっ……あっ…ぐぅぅぅっ…!」
マッスグマは必死に足に力を込めるが、
自由の利かなくなった足はびくともしない。
しかも回り続けるどくのせいで意識さえもふらふらとかすみ始めてきていた。
グマ「ぐっ…くっそぉ……どうすれば……。」
どくにマヒ、
どちらも獲物を弱らせるのにピッタリな状態の異常。
そのどちらも受けた彼が逃げ切るのが至難の技であることも、
彼の旅の経験が非情に告げていた…。
そうしている間にアーボはするりと地面にその巨体を降ろす。
そして弱り切った哀れな獲物をゆっくりしゃぶりつこうと、
その巨躯を静かにマッスグマのほうに近づかせるのだった……。
やっと出せたよ今回の捕食者!
もしもこのアーボさん、
どこかで見覚えがあると思ってくださった方がいらしゃいましたら、
それだけで管理人は幸せでございます♪
※
それにしてもこの間の台風はすごかったです。
何がすごいって、
夜寝る前には家が壊れるんじゃないかってぐらいびゅんびゅん突風が吹いてたのに、
朝起きたらそれはもう快晴と呼べるぐらいにカラッと晴れておりまして、
台風どこいったって感じでございました。
まあそれでも近所では木がへし折れていたり窓ガラスが割れていたりしていたみたいで、
やっぱり自然の災害は怖いなぁと再認識させられちゃいましたけどね。
皆さんのところは大丈夫だったでしょうか…?
やっぱり自然を敵に回すのが一番怖いです。
(・ω・)
70000ヒットのお祝いありがとうございました♪
そんな更新をお待ちいただけるだけで感激でございます、いつもありがとうございますです♪
とりあえず記念絵は描こうかなと画策しとります、まずは小説を終わらせなければ、ああ一度にいくつもの作業を出来る方がうらや(ry
ばくはつ草は実際あって楽しそうですよね♪
ルビサファ時代の秘密基地に置ける家具のようなアイテムって想像してたら布団の中で吹きました♪(なぜ布団?
爆発した後はマザー2というゲームのテレポート失敗のよな黒焦げにとか想像して、授業中に一人で吹いてました♪(もうただの怪しい人です。
勉強頑張ってください、
といってもこの時間だともうテスト終わってますよね…♪
お疲れさまでしたゆっくりお休みください。(キリッ
>>レンさん
こんばんはです、
70000ヒットのお祝いありがとうございました♪
小説も更新楽しみにしていただけて嬉しいです、
なるべく早くにお届けできるよう頑張りますね♪
とりあえず小説終わったぐらいに何か記念絵を描けたら描こうかなと考えております。
のんびりお待ちくださいです♪
皆さんコメント&拍手ありがとうございました♪
たしかネスとか出て来る奴でしたよね!?
大乱闘スマッシュブラザーズでよくネスで「PKサンダー!」「うわぁぁぁ!!!」をやりまくってましたなぁ(笑)
ウィーのスマブラでのリュカもなかなかですな。(僕はワリオかロボットとかが使い出)
テストおわりました。英語数学オワタ\(^O^)/ですΣ( ̄* ̄;
応援ありがとうです^^
テスト終わったんで早速明日(今日)友達とゲーセンに「ハーフライフ」というゲームをしにいきまする(・∀・)
・追加・
とうとうルギャ様のソウルシルバー買ってしまいました!!
ルギア様を敵に回すとその何倍も怖い気がします………w
このアーボ…
ここで水タイプ二匹を食らったあの巨体アーボですねw
シャワとダイル(違うかな?)を……
こっちを出した後、直後にダイルさんがあのアーボに食べられるのを見せつけられたけどさ……w(ぇ
あの時は逃げろと言われて逃げてしまったけど……進化した今ならまけないはずっ!今行きます!(喰われフラグ
ちょっとなりきってみました~っと
コメントしづらいかもしれない…かな?
そうだったら、餌になってきますw
喰いごたえタップリだよ~
フサフサで暖かいから
ただいまソウルシルバーお供はルギ様・・w
後はバンギラスを育てれば・・・w
ニドの兄貴とね
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
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1 | 2 | |||||
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24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
(・ω・)
諸注意:
初めてきてくれた方は、
カテゴリーの『はじめに』からの
『注意書き』の説明を見ていないと
色々と後悔する可能性大です。
(・ω・´)
イラスト・小説のリクエストは
平時は受け付けておりません。
リクエスト企画など立ち上げる際は、
記事にてアナウンスいたしますので、
平時のリクエストはご遠慮くださいませ!
(・ω・`)
『Sorry. This site is Japanese only』
『絵チャット入口!(・ω・)』
絵茶会にて
ポケモンバトル交流も行ってます!
(行っていない場合もあります。)
どなた様でも参加大歓迎ですので、
絵茶会中のチャットにて
お気軽にお申し出くださいませです♪
『ともだちコード名簿(・ω・)』