当サイトは『主に二次元のキャラによる捕食行為』に関する創作物を扱っております、無断転載・配布・加工はご遠慮ください。 また当サイトは版権元とは一切関係ありません、版権元への問い合わせ等もできればご遠慮ください。 リンクはフリーですのでご自由にどうぞ! 『Sorry. This site is Japanese only』
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どのくらいの時間走っていたのだろうか、
いつの間にか僕は真っ暗な水路の中をひとりぼっちで歩いていた。
足が棒のようになるほどカチカチに疲れ切り、
体を引きずるようにしてそれでも歩くのをやめなかった。
僕は何のために歩いてるんだっけ…?
なんでこんなに疲れていても止まらないんだっけ…?
頭の片隅でそんなことをぼんやりと考えている、
でも考えるまでもなく理解している。
歩く理由は怖いから、
止まらない理由も怖いから。
立ち止まって冷静になってしまった瞬間、
きっと僕は自分の犯した罪を再度認識してしまう。
それがたまらなく怖かった。
僕は仲間を見捨てた、
苦しみ呑みこまれていく彼らを助けようともせずに逃げ出し、
そしていまひとりぼっちで恐怖に犯されながらそれでも逃げ続けている。
許されるものではない、
許してもらえることでもない。
いや、
もう許してくれる人たちさえいないかもしれないのだ…。
知らず知らずのうちにまた目から涙が溢れてくる。
徐々に僕の足の動きが鈍くなり、
ついに僕は座り込んで泣きじゃくってしまう。
涙が止まらない、
懺悔の言葉も止まらない。
ただただ僕は許されざる罪を許してほしくて、
ひとりぼっちで泣いていた。
終わりが近づいてきているのに、
気が付いているのにもかかわらず…。
※
いつの間にか僕は真っ暗な水路の中をひとりぼっちで歩いていた。
足が棒のようになるほどカチカチに疲れ切り、
体を引きずるようにしてそれでも歩くのをやめなかった。
僕は何のために歩いてるんだっけ…?
なんでこんなに疲れていても止まらないんだっけ…?
頭の片隅でそんなことをぼんやりと考えている、
でも考えるまでもなく理解している。
歩く理由は怖いから、
止まらない理由も怖いから。
立ち止まって冷静になってしまった瞬間、
きっと僕は自分の犯した罪を再度認識してしまう。
それがたまらなく怖かった。
僕は仲間を見捨てた、
苦しみ呑みこまれていく彼らを助けようともせずに逃げ出し、
そしていまひとりぼっちで恐怖に犯されながらそれでも逃げ続けている。
許されるものではない、
許してもらえることでもない。
いや、
もう許してくれる人たちさえいないかもしれないのだ…。
知らず知らずのうちにまた目から涙が溢れてくる。
徐々に僕の足の動きが鈍くなり、
ついに僕は座り込んで泣きじゃくってしまう。
涙が止まらない、
懺悔の言葉も止まらない。
ただただ僕は許されざる罪を許してほしくて、
ひとりぼっちで泣いていた。
終わりが近づいてきているのに、
気が付いているのにもかかわらず…。
※
ライボルトの消えた水面を見つめ、
ルカリオは気力が抜けたように手をつく。
そんな彼の体を、
容赦なく残ったベトベターが包み込んでいく。
ルカ「う…うあ…。」
すでに彼の下半身のほとんどがベトベターの中に消え、
ひんやりとした敵の体の感触で、
足の指先が痺れるように感覚がなくなってきているのが分かる。
ずるるぅ……。
ふいにベトベターの手のような部分が彼に向けて伸ばされる、
そして彼の肩にかけていた探検バッグをそのヘドロの手で取り上げてしまう。
ルカ「…!」
返せ、
そう言葉で叫ぼうにも恐怖で彼の喉からは掠れた音しか出てこない。
ベトベターはまるで物珍しいものでも眺める様にバッグを見つめている。
がちゃぁ……ざらざら…ざらざら…がじゅがじゅがじゅ……!
しばらくいじっていたかと思うと、
なんと探検バッグの蓋を勝手に開き、
中身をまるで菓子袋の中身を空けるかのように、
ざらざらと口の中に流し込んでしまう。
ルカ「な…!?」
ルカリオが絶句している間も、
ベトベターは口いっぱいに入れた彼らの道具をひとしきり口の中で舐めまわすと…。
ぷっ…ぷっぷぷっ……!
といくつかの道具を吐き出し、
残りをゴクンっと飲み干してしまった・
ルカ「うぁ…あああ……。」
何が起こっているのか、
もうルカリオには冷静に考えている余裕などなかった。
ただ分かっていることは、
もう彼には反撃することも逃げることもできないということだけ…。
すでに彼の心は恐怖という酸に溶かされてしまっていた。
徐々に腰から肩へと包みこまれていき、
まるで床に押し付けられるように彼の体に強い圧力がかかっていく。
どろぉっとしたベトベターの感触が体中を這いまわり、
だんだん彼の意識も蝕まれるかのように薄れてくるのを感じる。
ルカ「や…やめ…。」
彼の顔が恐怖に歪み、
心が砕けそうになる。
いっそひと思いに飲み込んでくれと、
彼は知らず知らずに心の底で願っていた。
じゅるるぅ……。
まるでその願いに応えるかのように、
ベトベターの紫の口ががばぁっと彼に向けて開かれる。
むっとする臭気がルカリオの顔に吹きかかり、
涎のようにでろぉっとしたヘドロが彼の顔にぽたぽたと落ちてくる。
ルカ「ひぅっ…!」
滴り落ちるヘドロの感触が、
彼の恐怖心をさらに高ぶらせていく。
怖い、
なにも抵抗できず、
することさえ許されず。
ただただ恐怖のままに彼の体がこの生き物に呑みこまれ、
溶けてなくなろうとしている。
でも、
もしもこの口に呑みこまれてしまえば、
彼の感じる恐怖も無くなってしまうのだろうか。
ならばいっそのこと…。
ルカ「…。」
ルカリオはゆっくりと目をつむり諦めたように体の力を抜く、
そんな彼の体をベトベターは優しく舌を這わせ、
そして最後と言わんばかりに大きく口を開け、
彼の体を飲み込もうと覆いかぶさった…。
瞬間、
美味しそうに幸せな笑みを浮かべるベトベターの体が、
いきなり凄まじい衝撃に貫かれる。
…!?
ルカ「ぶはぁ…!」
ベトベターが衝撃によって吹き飛ばされ、
その体からこぼれ落ちる様にルカリオがはじき出され、
床にべしゃりと大量のヘドロとともに投げ出される。
ルカ「げっほ…えほえっほ…!」
「だいじょうぶ?」
ふいに、
彼の頭上から聞きなれない声が聞こえる。
ルカリオが顔を上げようとすると、
突然彼の体に冷たい水が浴びせかけられ、
体中についたヘドロが水と一緒に流れ落ちた。
ルカ「うわっぷ…!」
水がやみ、
彼はぷるぷると体を振って水滴を払うと、
ぼんやりする目で助けてくれた相手を見つめる。
そこにいたのは彼の体格よりも小柄で、
彼のことを見下ろすように見ていた。
それは『カメール』と呼ばれる水辺に棲むポケモンで、
彼のヘドロを洗い流したり、
ベトベターに攻撃をしたのは彼の放った【みずてっぽう】と呼ばれる技だった。
カメ「大丈夫かい、一応どこも怪我とかしてないみたいだけど…。」
ルカ「あ…、えっと大丈夫。助けてくれてありが…。」
ルカリオが礼を言いかけた所で、
カメールの手がそれを制止する。
見ると、
彼が吹っ飛ばしたベトベターは今の攻撃にもほとんどこたえず、
平気そうな顔をして再びこちらに詰め寄ってきていた。
ルカ「ひっ…。」
怯える様にルカリオは体がビクつく、
反撃した方がいいと頭で分かっていても、
敵の恐怖をじかに味わった体が彼が前に進むのをためらわせた。
そういっている間にも、
ベトベターはどんどんこちらに近づいてきている。
ルカ「に…逃げ…。」
カメ「ごめん、これ借りるよ…。」
逃げることを考えていたルカリオの前に進み出て、
カメールは彼をかばうように前に立つ。
そしてかれはすぅっと片腕を頭上に掲げると、
淡いブルーの光が辺り一面を照らし出した。
ルカ「あ…。」
カメールの手に握られていたのは、
透きとおった青色をしたふしぎだまだった。
ふしぎだまから放たれた光がベトベターを照らし出し、
敵はピタッとその動きを止める。
…?
ベトベターには何が起きたのか分からなかった、
ただ急に体中を変な光が照らしたかと思うと、
何か妙に体の中がざわざわするような感じで一杯になったのである。
…。
ベトベターは恐る恐る今しがた捕まえようとした獲物の方をちらりと見る。
そこにいたのはさっきと変わらない二匹の姿なのに、
なぜかそれがたまらなく恐ろしいもののようにベトベターには見えた。
カメ「さあ、どうした!」
カメールが強気に挑発しながらベトベターのもとに歩み寄る。
ちっぽけな姿のその生き物が、
まるで彼自身を滅ぼす存在のように見え、
ベトベターはブルブルと体が震えだす。
カメ「来ないなら…、こっちから行くぞ!!」
カメールの大きな声がベトベターを突き刺すと、
敵はまるでその姿に恐れをなしたかのように、
一目散に逃げ出した。
※
ルカリオはその光景を、
まるで信じられないものでも見るかのようにぽかんと見つめていた。
なぜあんなにも簡単にベトベターは逃げたのだろうか?
目の前にいるこのポケモンが何をしたのかさっぱり分からない。
カメ「…ふぅ、相手が逃げてくれて助かったよ…。」
そういう彼の手から、
コロンと使い終わったふしぎだまが転がり落ちた。
力を使ったことを証明するように、
青い色をしていた玉は今は鈍く黒ずんだような光をたたえている。
ルカ「な…何をしたの?」
カメ「ん、ああ『おびえだま』の力だよ。」
カメールは落としてしまったふしぎだまを拾い、
ルカリオに手渡す。
その顔は少し申し訳なさそうに笑っている。
カメ「ゴメン、これ君たちの依頼品だよね。勝手に使っちゃった。」
ルカ「…へ、ああ…!」
最初は何を言われているのか分からなかったが、
カメールの言葉を何度も頭の中で繰り返すと、
ルカリオは慌ててヨーギラスの落とした依頼品の袋を探す。
見るとすでにヨーギラスの姿はどこにもなく、
口の開いた袋から中身のふしぎだまがふたつほどころんと転がり出ていた。
ルカ「あ…、あいつもいなくなってる…。」
犯人に逃げられ、
依頼品のふしぎだまも(不可抗力とはいえ)使ってしまったのだ。
ようするに、
ルカリオ達の受けた仕事は失敗ということになる。
ルカ「はぁ……え、でも…。」
よく考えるとおかしい、
普通依頼品の道具は、
依頼を受けた者たちが勝手に使えないようになっているのだ。
それがどんな原理でなっているのかはよく分からないが、
なぜカメールはいとも簡単に使えたのだろうか。
それに聞きたいことはまだある…。
ルカ「なんであなたはこの依頼の道具を使えたの…?
それになんで僕達が依頼でここに来たって知ってるんですか…。」
ルカリオは堰を切ったようにカメールに話す。
それを聞くと彼は答えづらそうに頬をポリポリとかいていた。
カメ「え、いやその…。なんでだろうね…♪」
ルカ「ごまかさないでください!」
ルカリオはほとんど怒鳴るようにカメールに言葉をぶつける、
カメールはその様子を見ておもむろに口を開いた。
カメ「うーん、まあふしぎだまを使えたのは昔の仕事柄ちょっとね…。
でも君たちのことを知っていたのはちゃんと理由があるよ…。」
そういってカメールはごそごそと腰の辺りを探ると、
ルカリオに一枚の布きれを差し出す。
ルカ「え、これって…。」
カメ「君の仲間が落としていったものだよ、
奴らに襲われた時にね…。」
カメールの差し出したものは、
リザードがいつも首に巻いていたスカーフだった。
肌身離さず付けているこのスカーフが落ちていたということは…。
カメ「…ごめん、彼を助けるには距離が離れすぎていて…。」
その言葉を聞いてルカリオの目の前が真っ暗になる、
ライボルトだけじゃなく、
リザードまでもあの恐ろしいポケモン達に呑まれただなんて…。
ルカ「なんで…、どうして助けてくれなかったんですか!!」
知らず知らずにうちに彼はまるでカメールに全てをぶつけるかのように、
次々に言葉を浴びせかけてしまう。
カメールが悪くないことなんて分かってはいるはずなのに、
それでも彼は言葉を出さずにはいられなかった。
カメールはルカリオの言葉をただじっと黙って受け止めている、
だからこそルカリオは何度も何度も彼に言葉を投げかけてしまう。
いつしか彼の目からぽろぽろと涙があふれてきていた…。
誰が一番悪いかったかなんて本当は分かっている、
それは紛れもないルカリオ自身。
敵がどこにいるかも分からない場所で、
リザードをひとりきりで単独行動させてしまった罪。
おたずねものを捕まえた達成感に酔いしれ、
それゆえにライボルトを彼の身代りにしてしまった罪。
一度に二人の仲間を失った悲しみが、
深く強く彼の心を締め付けていた…。
だけど、
だからこそ彼にはまだやるべきことが残っているのである。
仲間を助ける、
他人の手や力ではなく、
自分自身の手で取り返さなくてはならない。
それが彼の犯した罪への贖罪であり、
一度は逃げ出そうとしてしまった自分への戒めだった。
ルカ「はぁ…はぁ…。」
カメ「もう、大丈夫…?」
ルカ「…はい、ごめんなさい。
あなたに文句なんか言える立場じゃないのに…。」
カメ「いいっていいって、そういうの言っとかないと辛い時ってあるし…♪」
ニャハハっと笑顔を浮かべて、
優しそうな表情でカメールはルカリオを見つめている。
その顔に幾分か恐怖も解きほぐされ、
ルカリオは涙を拭くとすくっと立ち上がる。
迷いや恐怖を吹っ切ったそんな表情だった。
カメ「仲間を助けに行くんだね。」
ルカ「うん、今から追いかければきっとまだ間に合うと思うから。」
やつらがどうやって獲物を食べるのかは分からないが、
あの【ようかいえき】で獲物を溶かすのならば、
完全に溶け切るまでには時間がかかるはずである。
それだけが今のルカリオに残された最後の希望だった。
ルカリオは地面に捨てられた探検バッグを拾う、
回復の道具も補助のふしぎだまもほとんどが無くなってしまい、
残った道具もベタベタになって使い物にはならなそうである。
カメ「オイラはついて行ってはあげられないけど…、
それでも行くの?」
ルカ「…うん、大切な仲間だもん…絶対に助けなきゃ!」
カメ「そっか…。」
ルカリオの決心を受け止めてくれたのか、
カメールはルカリオの持つ依頼品の袋を手に取ると、
中にある玉を何やらいじくって彼に返す。
カメ「せめてもの選別ってやつかな。」
そういうとカメールは二つの玉を指さしながら、
ルカリオの目を見つめて話す。
カメ「こっちの玉は君を助けてくれる玉、
もう一つの玉は君たち全員を助けてくれる玉だよ。」
ルカ「…。」
カメ「困ったことがあったら使うといいよ、
君でも使えるようにはしといたから。」
ニカッと人懐っこい笑顔を浮かべて、
カメールはルカリオに笑いかける。
それにつられてルカリオもにっと笑みを浮かべる、
彼を助けてくれた者へせめてものお礼のつもりだった。
カメ「あえて何の玉かは言わないよ?
全部オイラが助けたんじゃ意味がないみたいだし。」
ルカ「うん、自分の力でやらなくちゃ…だもんね。」
ルカリオはそういうと、
ぺこりとカメールに頭を下げて暗い水路をたどるように、
奥に向かって走り出した。
敵がどこにいるかは分からない、
でも水路の中に逃げた奴らを追うには、
水路を追いかけるしかないというのが彼の考えだった。
彼はひとりぼっちで暗い水路の奥へと駆けて行く、
しかしそれでも恐怖も恐れも感じてはいない。
ただひたすら仲間のもとへと走る戦士の姿がそこにあった…。
ルカリオは気力が抜けたように手をつく。
そんな彼の体を、
容赦なく残ったベトベターが包み込んでいく。
ルカ「う…うあ…。」
すでに彼の下半身のほとんどがベトベターの中に消え、
ひんやりとした敵の体の感触で、
足の指先が痺れるように感覚がなくなってきているのが分かる。
ずるるぅ……。
ふいにベトベターの手のような部分が彼に向けて伸ばされる、
そして彼の肩にかけていた探検バッグをそのヘドロの手で取り上げてしまう。
ルカ「…!」
返せ、
そう言葉で叫ぼうにも恐怖で彼の喉からは掠れた音しか出てこない。
ベトベターはまるで物珍しいものでも眺める様にバッグを見つめている。
がちゃぁ……ざらざら…ざらざら…がじゅがじゅがじゅ……!
しばらくいじっていたかと思うと、
なんと探検バッグの蓋を勝手に開き、
中身をまるで菓子袋の中身を空けるかのように、
ざらざらと口の中に流し込んでしまう。
ルカ「な…!?」
ルカリオが絶句している間も、
ベトベターは口いっぱいに入れた彼らの道具をひとしきり口の中で舐めまわすと…。
ぷっ…ぷっぷぷっ……!
といくつかの道具を吐き出し、
残りをゴクンっと飲み干してしまった・
ルカ「うぁ…あああ……。」
何が起こっているのか、
もうルカリオには冷静に考えている余裕などなかった。
ただ分かっていることは、
もう彼には反撃することも逃げることもできないということだけ…。
すでに彼の心は恐怖という酸に溶かされてしまっていた。
徐々に腰から肩へと包みこまれていき、
まるで床に押し付けられるように彼の体に強い圧力がかかっていく。
どろぉっとしたベトベターの感触が体中を這いまわり、
だんだん彼の意識も蝕まれるかのように薄れてくるのを感じる。
ルカ「や…やめ…。」
彼の顔が恐怖に歪み、
心が砕けそうになる。
いっそひと思いに飲み込んでくれと、
彼は知らず知らずに心の底で願っていた。
じゅるるぅ……。
まるでその願いに応えるかのように、
ベトベターの紫の口ががばぁっと彼に向けて開かれる。
むっとする臭気がルカリオの顔に吹きかかり、
涎のようにでろぉっとしたヘドロが彼の顔にぽたぽたと落ちてくる。
ルカ「ひぅっ…!」
滴り落ちるヘドロの感触が、
彼の恐怖心をさらに高ぶらせていく。
怖い、
なにも抵抗できず、
することさえ許されず。
ただただ恐怖のままに彼の体がこの生き物に呑みこまれ、
溶けてなくなろうとしている。
でも、
もしもこの口に呑みこまれてしまえば、
彼の感じる恐怖も無くなってしまうのだろうか。
ならばいっそのこと…。
ルカ「…。」
ルカリオはゆっくりと目をつむり諦めたように体の力を抜く、
そんな彼の体をベトベターは優しく舌を這わせ、
そして最後と言わんばかりに大きく口を開け、
彼の体を飲み込もうと覆いかぶさった…。
瞬間、
美味しそうに幸せな笑みを浮かべるベトベターの体が、
いきなり凄まじい衝撃に貫かれる。
…!?
ルカ「ぶはぁ…!」
ベトベターが衝撃によって吹き飛ばされ、
その体からこぼれ落ちる様にルカリオがはじき出され、
床にべしゃりと大量のヘドロとともに投げ出される。
ルカ「げっほ…えほえっほ…!」
「だいじょうぶ?」
ふいに、
彼の頭上から聞きなれない声が聞こえる。
ルカリオが顔を上げようとすると、
突然彼の体に冷たい水が浴びせかけられ、
体中についたヘドロが水と一緒に流れ落ちた。
ルカ「うわっぷ…!」
水がやみ、
彼はぷるぷると体を振って水滴を払うと、
ぼんやりする目で助けてくれた相手を見つめる。
そこにいたのは彼の体格よりも小柄で、
彼のことを見下ろすように見ていた。
それは『カメール』と呼ばれる水辺に棲むポケモンで、
彼のヘドロを洗い流したり、
ベトベターに攻撃をしたのは彼の放った【みずてっぽう】と呼ばれる技だった。
カメ「大丈夫かい、一応どこも怪我とかしてないみたいだけど…。」
ルカ「あ…、えっと大丈夫。助けてくれてありが…。」
ルカリオが礼を言いかけた所で、
カメールの手がそれを制止する。
見ると、
彼が吹っ飛ばしたベトベターは今の攻撃にもほとんどこたえず、
平気そうな顔をして再びこちらに詰め寄ってきていた。
ルカ「ひっ…。」
怯える様にルカリオは体がビクつく、
反撃した方がいいと頭で分かっていても、
敵の恐怖をじかに味わった体が彼が前に進むのをためらわせた。
そういっている間にも、
ベトベターはどんどんこちらに近づいてきている。
ルカ「に…逃げ…。」
カメ「ごめん、これ借りるよ…。」
逃げることを考えていたルカリオの前に進み出て、
カメールは彼をかばうように前に立つ。
そしてかれはすぅっと片腕を頭上に掲げると、
淡いブルーの光が辺り一面を照らし出した。
ルカ「あ…。」
カメールの手に握られていたのは、
透きとおった青色をしたふしぎだまだった。
ふしぎだまから放たれた光がベトベターを照らし出し、
敵はピタッとその動きを止める。
…?
ベトベターには何が起きたのか分からなかった、
ただ急に体中を変な光が照らしたかと思うと、
何か妙に体の中がざわざわするような感じで一杯になったのである。
…。
ベトベターは恐る恐る今しがた捕まえようとした獲物の方をちらりと見る。
そこにいたのはさっきと変わらない二匹の姿なのに、
なぜかそれがたまらなく恐ろしいもののようにベトベターには見えた。
カメ「さあ、どうした!」
カメールが強気に挑発しながらベトベターのもとに歩み寄る。
ちっぽけな姿のその生き物が、
まるで彼自身を滅ぼす存在のように見え、
ベトベターはブルブルと体が震えだす。
カメ「来ないなら…、こっちから行くぞ!!」
カメールの大きな声がベトベターを突き刺すと、
敵はまるでその姿に恐れをなしたかのように、
一目散に逃げ出した。
※
ルカリオはその光景を、
まるで信じられないものでも見るかのようにぽかんと見つめていた。
なぜあんなにも簡単にベトベターは逃げたのだろうか?
目の前にいるこのポケモンが何をしたのかさっぱり分からない。
カメ「…ふぅ、相手が逃げてくれて助かったよ…。」
そういう彼の手から、
コロンと使い終わったふしぎだまが転がり落ちた。
力を使ったことを証明するように、
青い色をしていた玉は今は鈍く黒ずんだような光をたたえている。
ルカ「な…何をしたの?」
カメ「ん、ああ『おびえだま』の力だよ。」
カメールは落としてしまったふしぎだまを拾い、
ルカリオに手渡す。
その顔は少し申し訳なさそうに笑っている。
カメ「ゴメン、これ君たちの依頼品だよね。勝手に使っちゃった。」
ルカ「…へ、ああ…!」
最初は何を言われているのか分からなかったが、
カメールの言葉を何度も頭の中で繰り返すと、
ルカリオは慌ててヨーギラスの落とした依頼品の袋を探す。
見るとすでにヨーギラスの姿はどこにもなく、
口の開いた袋から中身のふしぎだまがふたつほどころんと転がり出ていた。
ルカ「あ…、あいつもいなくなってる…。」
犯人に逃げられ、
依頼品のふしぎだまも(不可抗力とはいえ)使ってしまったのだ。
ようするに、
ルカリオ達の受けた仕事は失敗ということになる。
ルカ「はぁ……え、でも…。」
よく考えるとおかしい、
普通依頼品の道具は、
依頼を受けた者たちが勝手に使えないようになっているのだ。
それがどんな原理でなっているのかはよく分からないが、
なぜカメールはいとも簡単に使えたのだろうか。
それに聞きたいことはまだある…。
ルカ「なんであなたはこの依頼の道具を使えたの…?
それになんで僕達が依頼でここに来たって知ってるんですか…。」
ルカリオは堰を切ったようにカメールに話す。
それを聞くと彼は答えづらそうに頬をポリポリとかいていた。
カメ「え、いやその…。なんでだろうね…♪」
ルカ「ごまかさないでください!」
ルカリオはほとんど怒鳴るようにカメールに言葉をぶつける、
カメールはその様子を見ておもむろに口を開いた。
カメ「うーん、まあふしぎだまを使えたのは昔の仕事柄ちょっとね…。
でも君たちのことを知っていたのはちゃんと理由があるよ…。」
そういってカメールはごそごそと腰の辺りを探ると、
ルカリオに一枚の布きれを差し出す。
ルカ「え、これって…。」
カメ「君の仲間が落としていったものだよ、
奴らに襲われた時にね…。」
カメールの差し出したものは、
リザードがいつも首に巻いていたスカーフだった。
肌身離さず付けているこのスカーフが落ちていたということは…。
カメ「…ごめん、彼を助けるには距離が離れすぎていて…。」
その言葉を聞いてルカリオの目の前が真っ暗になる、
ライボルトだけじゃなく、
リザードまでもあの恐ろしいポケモン達に呑まれただなんて…。
ルカ「なんで…、どうして助けてくれなかったんですか!!」
知らず知らずにうちに彼はまるでカメールに全てをぶつけるかのように、
次々に言葉を浴びせかけてしまう。
カメールが悪くないことなんて分かってはいるはずなのに、
それでも彼は言葉を出さずにはいられなかった。
カメールはルカリオの言葉をただじっと黙って受け止めている、
だからこそルカリオは何度も何度も彼に言葉を投げかけてしまう。
いつしか彼の目からぽろぽろと涙があふれてきていた…。
誰が一番悪いかったかなんて本当は分かっている、
それは紛れもないルカリオ自身。
敵がどこにいるかも分からない場所で、
リザードをひとりきりで単独行動させてしまった罪。
おたずねものを捕まえた達成感に酔いしれ、
それゆえにライボルトを彼の身代りにしてしまった罪。
一度に二人の仲間を失った悲しみが、
深く強く彼の心を締め付けていた…。
だけど、
だからこそ彼にはまだやるべきことが残っているのである。
仲間を助ける、
他人の手や力ではなく、
自分自身の手で取り返さなくてはならない。
それが彼の犯した罪への贖罪であり、
一度は逃げ出そうとしてしまった自分への戒めだった。
ルカ「はぁ…はぁ…。」
カメ「もう、大丈夫…?」
ルカ「…はい、ごめんなさい。
あなたに文句なんか言える立場じゃないのに…。」
カメ「いいっていいって、そういうの言っとかないと辛い時ってあるし…♪」
ニャハハっと笑顔を浮かべて、
優しそうな表情でカメールはルカリオを見つめている。
その顔に幾分か恐怖も解きほぐされ、
ルカリオは涙を拭くとすくっと立ち上がる。
迷いや恐怖を吹っ切ったそんな表情だった。
カメ「仲間を助けに行くんだね。」
ルカ「うん、今から追いかければきっとまだ間に合うと思うから。」
やつらがどうやって獲物を食べるのかは分からないが、
あの【ようかいえき】で獲物を溶かすのならば、
完全に溶け切るまでには時間がかかるはずである。
それだけが今のルカリオに残された最後の希望だった。
ルカリオは地面に捨てられた探検バッグを拾う、
回復の道具も補助のふしぎだまもほとんどが無くなってしまい、
残った道具もベタベタになって使い物にはならなそうである。
カメ「オイラはついて行ってはあげられないけど…、
それでも行くの?」
ルカ「…うん、大切な仲間だもん…絶対に助けなきゃ!」
カメ「そっか…。」
ルカリオの決心を受け止めてくれたのか、
カメールはルカリオの持つ依頼品の袋を手に取ると、
中にある玉を何やらいじくって彼に返す。
カメ「せめてもの選別ってやつかな。」
そういうとカメールは二つの玉を指さしながら、
ルカリオの目を見つめて話す。
カメ「こっちの玉は君を助けてくれる玉、
もう一つの玉は君たち全員を助けてくれる玉だよ。」
ルカ「…。」
カメ「困ったことがあったら使うといいよ、
君でも使えるようにはしといたから。」
ニカッと人懐っこい笑顔を浮かべて、
カメールはルカリオに笑いかける。
それにつられてルカリオもにっと笑みを浮かべる、
彼を助けてくれた者へせめてものお礼のつもりだった。
カメ「あえて何の玉かは言わないよ?
全部オイラが助けたんじゃ意味がないみたいだし。」
ルカ「うん、自分の力でやらなくちゃ…だもんね。」
ルカリオはそういうと、
ぺこりとカメールに頭を下げて暗い水路をたどるように、
奥に向かって走り出した。
敵がどこにいるかは分からない、
でも水路の中に逃げた奴らを追うには、
水路を追いかけるしかないというのが彼の考えだった。
彼はひとりぼっちで暗い水路の奥へと駆けて行く、
しかしそれでも恐怖も恐れも感じてはいない。
ただひたすら仲間のもとへと走る戦士の姿がそこにあった…。
その6でごぜえます、
疲れた…。
現在2:30でございます、
あした普通に学校なのに…。
朝を迎えるのが恐ろしい…。
深夜のテンションにまかせて書いたせいか、
文がいつもよりもこっぱずかしいものになってますが、
うん、
がんがったよ自分。
とりあえず彼が再登場することだけは何となく決めてました、
今シリーズももう折り返しは迎えたかな?
とりあえず寝よう、
じゃないと明日が大変なことに…。
(・ω・)
疲れた…。
現在2:30でございます、
あした普通に学校なのに…。
朝を迎えるのが恐ろしい…。
深夜のテンションにまかせて書いたせいか、
文がいつもよりもこっぱずかしいものになってますが、
うん、
がんがったよ自分。
とりあえず彼が再登場することだけは何となく決めてました、
今シリーズももう折り返しは迎えたかな?
とりあえず寝よう、
じゃないと明日が大変なことに…。
(・ω・)
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★ プロフィール
HN:
森クマ
性別:
男性
自己紹介:
展示するのも恥ずかしい物しか置いていませんが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
(・ω・)
諸注意:
初めてきてくれた方は、
カテゴリーの『はじめに』からの
『注意書き』の説明を見ていないと
色々と後悔する可能性大です。
(・ω・´)
イラスト・小説のリクエストは
平時は受け付けておりません。
リクエスト企画など立ち上げる際は、
記事にてアナウンスいたしますので、
平時のリクエストはご遠慮くださいませ!
(・ω・`)
『Sorry. This site is Japanese only』
(・ω・)
諸注意:
初めてきてくれた方は、
カテゴリーの『はじめに』からの
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平時のリクエストはご遠慮くださいませ!
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★ 絵チャット
『絵チャット入口!(・ω・)』
絵茶会にて
ポケモンバトル交流も行ってます!
(行っていない場合もあります。)
どなた様でも参加大歓迎ですので、
絵茶会中のチャットにて
お気軽にお申し出くださいませです♪
『ともだちコード名簿(・ω・)』
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